東京都とアーツカウンシル東京が主催する「Tokyo Tokyo FESTIVAL」。”多彩な文化プログラムを展開し、芸術文化都市東京の魅力を伝える取組” だそうです。
公募で選ばれた13のプロジェクトが進行中(一部は既に終了)で、そのうち「パビリオン・トウキョウ2021」が7月1日から9月5日までの日程で開幕しました。
これは日本の9名の現代美術作家、建築家たちが新国立競技場周辺9ヶ所のパビリオンで未来の建築やアートを紹介しようというプロジェクトです。
プロジェクトの趣旨やパビリオンの場所、展示される作品と作家の解説などの情報が掲載されています。
新国立競技場周辺ということは青山、表参道など。つまりこのブログの守備範囲なので、ええもちろん大雨だったけど初日からほぼ全部見てきました。9箇所もあるので2回に分けて紹介します。
PR草間彌生 – 渋谷区役所美竹分庁舎
前衛芸術家(本人がそう自称しています)の草間彌生のインスタレーション。もしかしたら今回のプロジェクトの目玉かもしれません。
作品名は「オブリタレーションルーム(消滅する部屋)」という観客参加型のインスタレーションで、最近だと国立新美術館での「草間彌生 わが永遠の魂」にもありましたね。。インスタレーションですけど権利はオーストラリアのクイーンズランド州立現代美術館が持っているので今回もオーストラリアからの出張展示という形式になります。
▲各パビリオンにはこのような看板が立っています。またその近くには作家の紹介と作家からのメッセージが書かれたキャプションがあるので探してみてください。
さて、この草間彌生ですが観るのにはちょっと手間がかかります。
まず、入場は完全事前予約制です。
(ホームページには ”毎週日曜日の12:00から翌週分の予約を受け付けます” と記載されていますが、7月4日までは翌日の予約ができるようです。たぶん7月5日からは翌週の予約しかできなくなると思います)
そして予約は”ArtSticker” という専用アプリから行います。逆に言うとスマホを持っていないと予約できません。
iPhone用はこちらから、Android用はこちらから。それぞれダウンロードできます。
ArtStickerのアプリがダウンロードできたらまずユーザ登録をしてから草間彌生の「オブリタレーションルーム」の予約をしてください。
予約は毎時00分から、20分から、40分から。それぞれ10人までの人数制限があります。例えば00分からの予約で19分に入場すると1分で部屋から追い出されてしまいますから、時間に余裕を持って入場したいです。
予約した時間の10分くらい前に会場に着いて、ArtStickerアプリを起動してQRコードを読み取ってもらえば入場可能になります。
「オブリタレーションルーム」 – 草間彌生
オブリタレーションルームには靴を脱いで入場します。また内部は壊れやすいオブジェが並んでいるので大きな荷物などを持って行くのは避けた方が良さそうです。
部屋も白、ゴミ箱も白、自転車も白。
これを水玉型のシールで埋め尽くすのが観客に与えられた役割です。
▲まだ開幕初日の午前中、予約の空き状況からすると3,4番目くらいの入場でしたが、既にプレスや関係者が入場した後なのでそこそこシールが貼られていました。
会期の早い時期に行くと後から来た人に上書きされるし、遅くなると貼る場所がなくなるし、悩みどころです。
だいぶ埋まって来ましたがまだまだ隙間、空白だらけです。あと1ヶ月で部屋が消失するのはちょっと難しいかなぁ。
▲中に入るとキッチンがあり、その奥にリビングがあり、さらに奥には床の間付きの和室があります。
好きなところ目立つところにシールを張りながらぐるっと一周して出口です。
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「草間彌生 わが永遠の魂」の時は観客1人に1枚のシールでしたが、今回は1シートにいくつもシールが付いているので思う存分貼りまくることができます。
みんな頑張ってシールを張りに行きましょう。
もう誰かが椅子に可愛い目鼻口を貼ってる! でも1週間もすれば分からなくなりますよ。
床にシールを貼っても後から来た人に踏まれて剥がれるので床に貼る場合は踏まれそうもない場所を選ぶこと、オブジェによっては表面がざらざらでシールがうまく貼れない場所がある。
いろいろ勉強したのでもう1回、今度はシールだらけになった頃を狙って再訪問してみます。
会期は9月5日までですが、どんどん噂が評判を読んで予約が取りづらくなると思います。早めに1回は訪問しておきたいです。
オブリタレーションルームの場所
渋谷区役所第二美竹分庁舎です。以前渋谷区役所の仮庁舎があったところです。
渋谷駅から徒歩10分くらいでしょうか。
PR「ストリートガーデンシアター」- 藤原徹平
建築家の藤原徹平は”東京の道先の植物と人間の関わりあいに着目した植物と人のための劇場” 「ストリートガーデンシアター」を展示しています。
会期中に植えられた木や草が育ち、花を咲かせ変化していく様子やそれを包み込む劇場が作品です。
▲青山通りの旧こどもの城の前、岡本太郎の「こどもの樹」の後ろに建つ木組みがその「ストリートガーデンシアター」です。
既に見かけた人も多いでしょう。
上から青山通りを見下ろしてみました。
▲ここも植物が育っていくと林の中のような景色になるのでしょうか。楽しみですね。
▲奥のテントにはボランティアスタッフの方が常駐していて、パンフレットや小冊子を配布しています。
▲また水も無料で配布しています。なんで東京都主催のイベントでこのような不思議なモノを配布しているのか分かりません。飲んでみましたが、とりあえず身体に影響はなさそうです。
”QRコードを読み込んで、スタンプを取得し引換券を係員に提示” とありますがQRコードを読んでも怪しいサイトに繋がるだけです。それはスタッフも分かっているらしく、水をくださいと言えば貰えます。
また ”無料カート走行中” とありますが、無料カートが走るのは週末だけ。カートも2台だけなそうなので、遭遇できたらむしろラッキーくらいに思っておいた方が良さそうです。
「ストリートガーデンシアター」の場所
表参道の駅から5分、渋谷の駅からも10分ちょっとです。
PR「Global Bowl」- 平田晃久
平田晃久の国際連合大学から草間彌生の渋谷区役所第二美竹分庁舎まで青山通りと美竹通りで5分しか離れていないので、この3ヶ所は一度に回るのがおすすめです。
草間彌生だけは事前予約が必要ですが、藤原徹平と平田晃久の作品は10時から18時までいつでも自由に鑑賞できます(外から見るだけならいつでもOK)。
各パビリオンの場所は公式サイトのこのマップから確認できます(おすすめ店舗とかおすすめ建築も表示されますが、それより麻布ガイドのサイドで検索してください)。
それにしてもこの企画、すべてに漂う ”部分的には優秀だけど全般的に素人”な感じはなんなんでしょう。アーティストの作品をパブリックな場で観られるのは非常に嬉しいのですが、開幕しても出来上がらなかったパビリオン(石上純也)、更新が中途半端な公式サイトにリンクが貼られていない自称協力サイト(公式サイトとは異なるうえ誰でも取得できる.comドメイン)、ボランティアの扱いなどなど。けっこう呆れるところも多いのですが、これはそういうものだと大きな気持で望むことが必要です。
まずは青山・表参道の3ヶ所3アーティストを紹介しました。次回は新国立競技場近くのパビリオンを紹介します。
パビリオン・トウキョウ2021
クリエイター : 藤森照信 / 妹島和世 / 藤本壮介 / 平田晃久 / 石上純也 / 藤原徹平 / 会田誠 / 草間彌生
特別参加 : 真鍋大度+Rhizomatiks