戦前のモダニズム住宅の傑作《土浦亀城邸》をPOLA青山ビルで見学できる。新美術館の《リビング・モダニティ》展でも展示中

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土浦亀城邸

2024年の3月。当時竣工直前だった南青山の「POLA青山ビル」の敷地の一角から仮囲いが取り払われ白壁のモダンな建築が姿を現しました。

あの建物は何だ!? と一部では話題になったその建物の正体は東京都指定有形文化財でもある戦前のモダニズム住宅の傑作「土浦亀城邸」。

戦前から戦後にかけて活躍した日本の建築家、土浦亀城(つちうら・かめき)の現存する数少ない作品ながら代表作であり自邸でもある住宅です。

戦後日本のモダニズム住宅の傑作「土浦亀城邸」写真:麻布ガイド

▲もともと品川区上大崎にあった住宅をPOLA青山ビルの敷地内に移転したもので、現在は月に2日のペースで有料一般公開が行われています。

仮囲いが取り払われた後は見るたびに工事の手が入り、2024年9月には念願の一般向け初公開。もちろん第1回の見学会に参加し内部も見ることができました(内部は写真撮影禁止)。

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土浦亀城とは

この住宅のもともとのオーナーで設計者でもあるのが1897年(明治30年)生まれの日本の建築家、土浦亀城です。

東京帝大工学部建築科に在学中、来日して帝国ホテルの設計をしていたフランク・ロイド・ライトを手伝うことになり、卒業後は彼の事務所である「タリアセン」で働くために渡米します。

帰国後は主に住宅の設計を手がけ、昭和初期からはバウハウスの影響を受けたモダニズム住宅の設計を行っていくことになります。

戦後日本のモダニズム住宅の傑作「土浦亀城邸」写真:麻布ガイド

▲POLA青山ビルに移築されてきたのは1935年(昭和10年)に竣工した自邸。

昭和初期のモダニズム建築を代表する住宅です。

外から見るだけでも白い箱型の外観、大きく開放的な窓とその上の庇、シンプルな箱型のベランダなど昭和初期の一般的な日本の住宅とはかけ離れたモダンな住宅だということが分かります

この写真は公開日に撮影したので内部に照明が灯っていますが、その照明もまたモダンなもの。戦前の洋行帰りの建築家ならではのものかもしれません。

土浦夫妻が亡くなった後は縁者の方が住みながら大切に保存してきたのですが、その方も引退ということになり今回ポーラに移築することになったそうです。

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土浦亀城邸の見学

一般公開が行われるのは月に2日。原則として水曜日と土曜日に実施されています。

戦後日本のモダニズム住宅の傑作「土浦亀城邸」写真:麻布ガイド

1日に2回または3回、ガイド付きツアーの形式で行われ。1回あたりの定員は15名。観覧料は1人1,500円です。

ただし入場できるのは小学生以上、また昭和初期という時代もあってバリアフリーには対応していません。

開催日や見学予約はPeatixから。当月と翌月の見学を申し込めるようです。

戦後日本のモダニズム住宅の傑作「土浦亀城邸」写真:麻布ガイド

▲実はPOLA青山ビル脇の道路からも見えちゃいます。

特徴的な白壁とテラス、リビングの大きな窓など外観の特徴はここからでもよく分かるのですが、内部に入るとその空間や設備など、とても戦前とは思えないモダンさにびっくりします。

アートとしての建築に注目が集まっている昨今、この土浦亀城邸も一度は見学しておきたいですね。

土浦亀城邸 基本情報

土浦亀城邸
公開日:月に2日。水曜と土曜を予定し、1日2〜3回のガイドツアー
詳細はPeatixにて
定員と観覧料:1回15名、1,500円/人
住所:港区南青山2-5-13 POLA青山ビル敷地内
最寄駅:南青山一丁目駅から徒歩1分、外苑前駅から徒歩5分
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国立新美術館の《リビング・モダニティ》展

土浦亀城という一般的な知名度としては正直あまり高くない建築家の自邸が南青山に移築してきたのと合わせてきたのか、六本木の国立新美術館で開催されている《リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s》展では20世紀の傑作住宅14邸宅の一つとして土浦亀城邸が紹介されています。

展示風景 、国立新美術館《リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s》2025、 写真:麻布ガイド

▲最近は ”建築” への注目が高まり、それはアート表現の一つして建築があるという意識が根付いてきたからだと思われます。

だから国立新美術館など ”美術館” で建築の展覧会が普通に開催されるのでしょう。

今回の《リビング・モダニティ》展は世界の傑作住宅14邸が紹介されていますが、写真撮影可能なのは展示室入口のこの空間、展示室内の建築模型それと一部の資料だけとなっています。

展示風景 、国立新美術館《リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s》2025、 写真:麻布ガイド

▲これは土浦亀城邸の模型です。

写真撮影はできませんが、土浦亀城邸内部の様子や土浦夫妻存命時にどのように使われていたか分かる資料も展示されています。

土浦亀城邸見学でも内部を見たり、資料を読んだりできますので、興味のある人は土浦亀城邸とリビング・モダニティ展をセットで訪問するのが良いでしょう。

展示風景 、国立新美術館《リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s》2025、 写真:麻布ガイド

▲他には菊竹清訓の「スカイハウス」の模型も。

展示風景 、国立新美術館《リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s》2025、 写真:麻布ガイド

▲ブラジルのデザイナー、リナ・ボ・バルディの「ガラスの家」の模型。

展示風景 、国立新美術館《リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s》2025、 写真:麻布ガイド

アルヴァ・アアルトの「ムーラッツァロの実験住宅

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「ロー・ハウス」の原寸大展示

《リビング・モダニティ》展のメイン会場は1階の展示室なのですが、2階の展示室も使用されています。しかも、2階の展示室は入場無料。つまり誰でも鑑賞することができるのです。

2階展示室、国立新美術館《リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s》2025、写真:麻布ガイド

▲クラウドファンディングで資金を集めたこの展覧会の見どころの一つ、近代建築の巨匠ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエの未完のプロジェクト「ロー・ハウス」の原寸大展示です。

2階展示室、国立新美術館《リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s》2025、写真:麻布ガイド

▲原寸大の「ロー・ハウス」には当然ながら、ミース・ファン・デル・ローエがデザインした最も有名な椅子バルセロナ・チェアが置かれています。

奥のダイニングセットの椅子以外は自由に座ってOKです。

▲朝から夜までの1日の光の変化を表現した演出もあります。

展示室の天井をロー・ハウスの中庭から見える空に見立てています。

これは昼間の青空かな? 夜の星空かな?

▲これは夕焼けでしょうか朝焼けでしょうか。

10分弱でローテートしていくのでロー・ハウスを見学するなら10分くらいその空間で過ごすのがおすすめです。

2階の展示室には各メーカー協賛(?)で名作家具を体験できるコーナーやVR体験できるコーナーなどもあります

《リビング・モダニティ》展 基本情報

名称:リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s
会期:2025年3月19日(水)〜6月30日(月)
休館日:火曜日 (4/29と5/6は開館し5/7は休館
時間:10:00〜18:00 (金土曜は20:00まで)
料金:一般 1,800円、大学生 1,000円、高校生 500円
会場:国立新美術館 企画展示室1E/2E
住所:港区六本木7-22-22
最寄駅:乃木坂駅直結、六本木駅から徒歩10分
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