ゴールデンウィークなどで東京都心を訪れた時、流行りのチェーン店やテレビや雑誌で紹介されたお店で食事をしたり休憩するのも良いのですが、せっかくなので昔からそこで営業していて地元の人からも愛されている老舗や、開業当時の時代や世相を反映させているレトロ(懐古趣味)なカフェなどを利用してみませんか。
エリア別に代表的な老舗、レトロカフェをまとめてみました。
なお、各店の定休日、営業時間は取材時のものです。その後変更になっている場合もあります。
麻布・六本木エリア
麻布十番や六本木は華やかなイメージもあり、それは古くから欧米の文化を取り入れる土壌があったからだと思います。銀座とか浅草の下町文化圏は第二次世界大戦前の欧州文化の香りが残っていますが、麻布や六本木それに青山は第二次世界大戦後のアメリカ文化の色が濃い印象です。
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カファ・ブンナ
六本木の老舗カフェ「カファ・ブンナ」。1972年創業で、おかげさまでそれからもう50年です。六本木通りのファミマとサイゼリアの角から小路に入り数十メートル。秀和六本木の手前のビルにカファブンナが店を構えています。お店の向かいは以前にも紹介した縁結びの神様の東京出張所「出雲大社東京分祠」です。
70年代初頭の六本木が最先端の大人の街だった頃からタイムスリップしたかのように、今も美味しい珈琲を提供し続けているカファブンナです。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
港区 六本木 7-17-20 六本木駅 水曜日 10:30 – 19:00 |
キャンティ (アル・カフェ)
六本木のカフェとして忘れていけないのが1960年創業の「キャンティ」です。
60年代の六本木文化を代表するような、そしてそれ以降の日本の大衆文化へも大きな影響を与えた場所の一つです。六本木の街からちょっと外れた飯倉片町のお店は今でもちゃんと営業が続いています。
「イタリアンレストラン」と紹介されることが多いのですが、1階は「アル・カフェ」というカフェで、ここには平日限定ですがランチメニューもあります。
今でもコーヒーを飲んでいてふと目を上げると向いの席に有名人がいたなんてことが普通にあって、現役感のあるカフェです。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
港区 麻布台 3-1-7 六本木駅、麻布十番駅 なし 11:30 – 23:00 |
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れいの
六本木で70年代から続く純喫茶「れいの」です。
▲六本木から西麻布へ向かう六本木通り沿いのこの店構え、見覚えのある人も多いと思います。西麻布の再開発で街が変わろうとしていますが、この辺りは再開発の予定もなくしばらく今のまま続きそうです。
ここもカファブンナと同じく綺羅びやかだった六本木の70年代文化を残しています。ちなみに今でも喫煙OKなのでタバコが苦手な人には無理かもしれません。
コーヒーはブラジルだけ、喫煙OKというようにこだわりの純喫茶なのはオーナー夫婦がクリエイティブ系出身だからかもしれません。
建築好きな人や近所のテレビ局の関係者にもファンの多い「れいの」。六本木ヒルズ周辺でレトロな喫茶店をという時のベストチョイスです。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
港区 西麻布 3-1-9 六本木駅 なし 11:30 – 22:00 |
西琲亜(せぴあ)
麻布十番にも六本木同様に老舗な喫茶店などがあって代表格は「西琲亜(せぴあ)」でしょうか。
▲麻布十番が六本木の奥座敷的存在だった地下鉄開通前、バブル以前の雰囲気です。
70年代から80年代初頭のヤンキー的感覚も感じられるところが面白いですね。店内に残るサインもヤンキーやフォークな人たちのものですし。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
港区 麻布十番 3-2-6 麻布十番駅 日曜日 10:00 – 20:00 |
カフェ・ドゥ・トワ(Deux Toits)
麻布十番の80年代、マハラジャが代名詞だった時代を残すのが「カフェ・ドゥ・トワ(Deux Toits)」です。
▲すぐ近くに「アオイスタジオ」があって、録音作業中に手っ取り早くご飯を食べるなら「カフェテラスアオイ」で、息抜きしたいなら「カフェ・ドゥ・トワ」みたいな使い方をされていたんじゃないでしょうか。
バブル時代的な内装が時代を感じさせます。でも今はそのネーミングや豪華な内装とは裏腹にかなり庶民的な街の喫茶店になっています。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
港区 麻布十番 1-2-1 麻布十番駅 日曜、祝日 11:00 – 18:00 (土曜は17:00まで) |
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松屋珈琲
神谷町や今は虎ノ門ヒルズ駅からも近い「松屋珈琲」は創業が1918年。100年超えの正真正銘の老舗です。
コーヒー豆の焙煎と販売がメインですが、テイクアウトもやっていてイートインも可能です。
▲平日だけ、それも17時までという訪問難易度は高いですが、日本最初のカフェから独立して100年という松屋珈琲は外せないですね。
周囲が再開発でどんどん地上げされ荒野の一軒家みたいになっています。でも神谷町からも虎ノ門ヒルズからも近いので東京タワーや虎ノ門ヒルズを観光したついでに訪問してみたいですね。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
港区 虎ノ門 3-8-16 神谷町駅、虎ノ門ヒルズ駅 土曜、日曜、祝日 8:30 – 17:00頃 |
カフェ・ド・ラペ (Cafe de laPaix)
乃木坂の桂由美やTOTOのギャラリー間(ま)の奥の路地の隠れ家が「カフェ・ド・ラペ (Cafe de laPaix)」。
1981年創業ですから40年超え。最近では山ちゃんと蒼井優がデートしたことで有名になったりしています。
▲パソコンとタブレットの使用はご遠慮くださいとのこと。ゆっくり休むべき時間を過ごす場所なので野暮なことしないでねということです。
店内の設えや食器なども含め、70年代後半からバブル前夜にかけて東京のセンスが世界に認められ始めた時期の、勢いのあるセンスが感じられます。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
港区 南青山 1-15-20 乃木坂駅、六本木駅 不定 11:00 – 23:00 |
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青山・表参道
アンセーニュダングル原宿 (Enseigne D’angle)
原宿の伝説的な隠れ家カフェ「アンセーニュダングル原宿 (Enseigne D’angle) 」。
1975年創業ですからもうじき半世紀なろうという老舗です。
▲すっかりキッズたちの街になった原宿と違う、大人の街だった時代の原宿の雰囲気を今も残しています。
というのはいわゆる原宿でイメージする原宿駅や竹下通りとは少し離れた場所にあることが幸いだったのかもしれません。
SNS映えするメニューもあるし、店内自体が絵になるし、ちょっと違う原宿を知りたければ訪問してみたい喫茶店です。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
渋谷区 千駄ヶ谷 3-61-11 原宿駅、明治神宮前駅 なし 10:00 – 23:00 |
レピドール
原宿のど真ん中ともいえる竹下通りの老舗喫茶「レピドール 」。
70年代創業で竹下通りでは2番目に古いという老舗喫茶です(一番古いのはNOA COFFEE)。
▲日本で最初にイタリアンローストのコーヒーを出したのがここ「レピドール」。
70年代当時から世界と繋がっていた原宿らしいです。パンデミック前はお客さんの3割以上が海外からだったという世界的にも知名度のある竹下通りの老舗喫茶です。
でも今でも街の気のおけない喫茶店ぽいところがまた良いのです。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
渋谷区 神宮前 1-16-5 原宿駅、明治神宮前駅 月曜日 12:00 – 20:00 |
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原宿クリスティー
1980年、まだ大人とキッズが入り混じって遊んでいた原宿でオープンした「原宿クリスティー 」。
当時としては珍しかった紅茶専門店です。
▲今でも紅茶専門ですがケーキやサンドイッチなど英国風なメニューが楽しめます。
看板に描かれているマスターもそれなりに歳を重ねていますが今もご健在で店頭に姿を見かけます。
クリスティーも昔の大人の街の原宿を残す老舗喫茶です。またwith Harajukuが出来たことでアクセスが格段に向上しています。原宿の老舗喫茶でしっかりお腹を満たしたい時のベストチョイスです。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
渋谷区 神宮前 1-16-1 原宿駅、明治神宮前駅 なし 11:00 – 22:00 (日曜は20:00まで) |
花泥棒 ヴォルール・ドゥ・フルール(Voleur de Fleur)
1979年創業の原宿の隠れ家カフェ「花泥棒 ヴォルール・ドゥ・フルール(Voleur de Fleur) 」、通称 ”花泥棒” です。
昔はフランス語の五感とその店名から女性に人気でしたが、最近はレトロ喫茶が注目を浴びるようになって再び人気のようです。
▲原宿のモーツアルト通りのはずれにあります。”花泥棒は珈琲屋です” というフレーズでも有名ですね。
原宿の大きな通りから一本入った静かなエリアです。
年中無休なので平日はもちろん週末も静かに過ごせるまさに隠れ家のようなレトロなカフェです。
花泥棒の前の小道は ”モーツァルト通り” でこの道を進む途中から ”フォンテーヌ通り” になり、その突き当りで階段を昇り降りした先が ”ブラームスの小径”。そしてブラームスの小径を突き当たりまで行くと紅茶専門店「原宿クリスティー」です。
原宿の裏通りで花泥棒とクリスティーが繋がっているんですね。クリスティーから竹下通りに出ればすぐ右に「レピドール」があります。
裏道で簡単に老舗喫茶、レトロカフェを行き来できるので原宿散策の際にもどうぞ。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
渋谷区 神宮前 1-10-23 原宿駅、明治神宮前駅 なし 12:00 – 19:00 (土日は20:00まで) |
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蔦珈琲店
1988年創業の南青山の隠れ家カフェ「蔦珈琲店」。
▲蔦に囲まれた店舗。前の道は通称 ”アイビー通り” と呼ばれています。
蔦珈琲は名物マスターの淹れるコーヒーが名物でしたが現在は休業中です。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
港区 南青山 5-11-20 表参道駅 月曜日 10:00 – 22:00 (平日)、12:00 – 20:00 (土日祝) |
レジュ・グルニエ (Cafe Les Jeux Grenier)
1976年創業の南青山(表参道)の隠れ家カフェ「レジュ・グルニエ (Cafe Les Jeux Grenier)」。
90年代頃までは隠れ家どころか押しも押されもせぬ人気店だったそうです。
▲蔦珈琲はアイビー通りでしたが、グルニエは骨董通りを挟んで向かい側のさらに小道の奥です。
椅子やテーブルはパリの蚤の市で買い付けて来たというウッディーなもの。店内のレイアウトも暖炉があったり隠れ家風で落ち着けます。
週末は今でも行列になるくらい人気店ですが夜になれば空いてきます。
老舗店らしくコーヒーやトーストに名物メニューあるのでそれらも楽しみにどうぞ。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
港区 南青山 5-9-5 表参道駅 なし 11時頃 – 23時頃 (日祝は10:30から) |
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代官山・渋谷
ヒルサイドカフェ
1991年創業、代官山ヒルサイドテラスの「ヒルサイドカフェ」。
展覧会なども開催されるヒルサイドフォーラムと隣り合っています。
▲黒を基調とした調度品。旧山手通りからセットバックしていて存在が見えないので、人出の多い代官山でもお客さんは多くありません。
すぐ近くにアート作品があり、静かに落ち着いて時間を過ごすにはこれ以上ないカフェではないでしょうか。
代官山もいいけど、T-Siteはじめどこも混んでいるしなぁという方におすすめです。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
渋谷区 猿楽町 18-8 代官山駅 月曜日 11:00 – 19:00 |
カフェ フォリオ
1982年創業の代官山の老舗喫茶が「カフェ フォリオ」。
代官山の週末は旧山手通り沿いのカフェに行列ができるくらいですが、でもフォリオならゆっくり休日のコーヒーを楽しめます。
▲ジャズが流れる地下の空間で、ネルドリップで丁寧に淹れた昔ながらの喫茶店のコーヒーが飲めます。
昔の大人の文化の街だった代官山の雰囲気を今でも楽しめるのがここフォリオです。
代官山でゆっくりという時は、八幡通りをアドレスの前まで行ってフォリオで地下に潜ってみてください。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
渋谷区 猿楽町 23-3 代官山駅 第1, 3, 5水曜日 11:00 – 21:00 |
カフェ・ミケランジェロ
いつも大行列していることで知られる代官山の老舗「カフェ・ミケランジェロ」。
少し前まで広尾店もあったのですが、今は代官山だけです。
▲古き佳きイタリアのカフェを再現したというミケランジェロの店内中庭。
旧山手通りに面したテラス席が目立ちますが、このように店内にも陽を浴びながらのテラス席が用意されています。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
渋谷区 猿楽町 29-3 代官山駅 水曜日 11:00 – 22:00 |
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B.Y.G
1969年創業の渋谷百軒店の老舗ロック喫茶、ライブハウス、ロックバーの「B.Y.G.」。日本のロックやフォークを聴いている人ならその名を一度は目にしたことがあるだろう伝説的なお店です。
パンデミックでライブハウスが目の敵にされていた時期もありましたが、今はライブも復活しています。
▲Music From B.Y.G.(Beautiful Young Generation)。The Bandの”Music From Big Pink”のもじりですが、当時の若い世代の新しい音楽を届けようという心意気が感じられます。
70年代から80年代にかけては百軒店には多くのロック喫茶やバーがあったそうなのですが、今に残っているのはここB.Y.G.だけのようです。
店内には「はっぴいえんど」などのコンサートポスター、「はちみつぱい」などここでライブを行ったアーティストのサイン、B.Y.G.に来店した海外アーティストのサインなどが所狭しと飾られています。そうした痕跡を探すのも楽しいかもしれません。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
渋谷区 道玄坂 2-19-14 渋谷駅 なし 11:30 – 20:00 (当面の間) |
茶亭羽當(さてい はとう)
1989年創業ということで今回の記事で一番新しい喫茶店ですが、世界的に影響を与えた喫茶店としても知られているのが渋谷の「茶亭羽當(さてい はとう)」。
ここはブルーボトルコーヒー創業者のジェームズ・フリーマン氏にインスパイアを与えた喫茶店だから。実際フリーマン氏は何度も羽當の素晴らしさについて言及していて、いわばサードウェーブコーヒーの原点となる喫茶店です。
▲ブルーボトルが大いに参考した雰囲気とコーヒー、それらがもたらず ”体験” の原点を羽當で味わってみたいですね。
ジェームズ・フリーマンはまた、日本の喫茶店は1950年代60年代のボヘミアン文化の残り香にオーナー個々の情熱が加味された独特のものだと彼は言っていて、羽當のこの店舗からもそうした香りは感じられますね。
住所 最寄駅 定休日 営業時間 |
渋谷区 渋谷 1-15-19 渋谷駅 なし 11:00 – 23:30 |
羽當についてはこちらの記事もどうぞ。
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主だった老舗喫茶やレトロカフェを紹介してみました。最後の羽當のところでジェームズ・フリーマン氏の言葉を紹介しましたが、そうした文化の残りやオーナーの情熱という視点を持って訪問してみると新しい発見があるかもしれませんね。