蜷川実花 瞬く光の庭
白金台の東京都庭園美術館で蜷川実花の個展「瞬く光の庭」が開催されています。
その作品をひと目見ただけで蜷川実花だと分かる強烈な個性を持つ作家です。パンデミック直前に大規模な回顧展があり、ロックダウン中に新しい方向性を模索していた彼女の新作写真とインスタレーションが展示されています。
特に蜷川実花ファンだけでなく、日本を代表する写真家・映画監督である蜷川実花の次のステップが気になるアートファンも含めて話題になっています。
しかも会場は東京都庭園美術館。現存する世界一美しいアールデコ建築と蜷川実花の作品たちがどう対峙するのか。誰もが期待してしまいます。
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蜷川実花って?
極彩色のインパクトのある写真で特に知られる女性写真家です。2018年から巡回展示されていた「蜷川実花展-虚構と現実の間に-」でその評価をさらに高めています。
また写真だけでなく映画も撮ります。映画監督としては岡崎京子原作の漫画を沢尻エリカ主演で実写化した「ヘルタースケルター」、小栗旬主演の「人間失格 太宰治と3人の女たち」など、その独特の色彩感覚を映画にも展開した作品で高い評価を得ています。
ちなみに、父親は世界的にNINAWAGAで通じる高名な演出家の蜷川幸雄(ゆきお)。以前だったら ”幸雄の娘の蜷川実花” だったのですが、今はもう”幸雄” という冠は不要ですね。
花、瞬く光
¥2,640 (2025-01-17 03:02 GMT +09:00 時点 - 詳細はこちら価格および発送可能時期は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で当該の Amazon サイトに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます。)
人間失格 太宰治と3人の女たち Blu-ray
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会場の東京都庭園美術館
そんな蜷川実花を迎え撃つのは東京都庭園美術館。
▲旧朝香宮邸として1930年代、アールデコの時代に建設された貴重な建物です。
旧朝香宮邸を改修した本館、杉本博司を迎えて建設された新館が主な展示会場。さらに 西洋庭園と和風庭園を備えているところが 「庭園美術館」たるところです。
▲玄関のルネ・ラリックのガラスレリーフです。
ルネ・ラリックやアンリ・ラパンなどアールデコ期のフランスの作家たちからの協力を得て建設された建築物なので、至るところの調度品や意匠など感心するばかりです。
戦後は外務大臣公邸、迎賓館などとして使われ、日本の戦前戦後の歴史が刻まれた建物でもあります。このような土地や建物の記憶が刻まれた空間を創造物に反映させるというのはブライアン・イーノが得意とする手法ですね。
蜷川実花もこの建築と空間に負けない作品、インスタレーションを実現できているか。鑑賞前から楽しみじゃないですか。
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撮影できる展覧会 瞬く光の庭
「瞬く光の庭」展は一部で写真撮影が可能です。撮影可能とされている場所以外は、建物も含めて撮影禁止です。
また庭園美術館からもいくつか注意事項がアナウンスされているので、ここにまとめてみました。
注意事項
・本館1階で撮影可能なのは
大広間
大客室
大食堂
の3ヶ所だけです。それ以外の小部屋での展示作品はもちろん、室内も撮影禁止です。
・本館2階で撮影可能なのは
階段を上がった2階広間
ベランダ
北の間
の3ヶ所だけです。それ以外の部屋では、展示作品はもちろん、室内も撮影禁止です。
・撮影にそれ以外の注意事項は
同じ場所での長時間の撮影はしない
シャッター音を下げる
フラッシュ、レフ板、三脚、自撮り棒、望遠レンズは使用しない
動画の撮影は禁止
撮影機材が落下したり作品に触れる恐れがあるので、展示品の真上からの撮影、身を乗り出しての撮影、極端な接写はしない
です。常識的なことばかりですね。
・撮影以外の鑑賞自体に対する注意事項は
作品、建築、家具、スクリーン等には手を触れない
混雑時の不意の接触にも注意する
要するに荷物はロッカーに入れましょう
傘・日傘の館内への持ち込みはできません
飲料、食料品は展示室内へ持ち込みできません
です。これも常識的なことばかりですね。
本館1階
では本館1階から。受付で注意事項や撮影マップが掲載されたリーフレットをもらってまずは一読しましょう。
またこの展覧会では蜷川実花の作品を室内装飾や庭園の背景と合わせて鑑賞するものなので、個々の作品にキャプションは付いていません。
▲大広間は撮影可能エリアです。
この作品とプレゼンテーションは良いですね。
▲大広間から大客室へ移動して、庭園を借景にした作品を鑑賞。
もちろん展示されている作品はこれだけはありません。窓とは反対側にも展示されていますからゆっきり鑑賞しましょう。
▲大広間からさらに奥の大食堂へ。
この半円形の大食堂の窓にディスプレイされる作品。建築自体はものすごい贅沢なものですが、さらに庭園を借景にしています。
本館2階
大食堂から大広間に戻って階段から2階へ。
▲2階に上がったところの広間に展示されている作品。
なんとネオンと写真の融合です。
▲庭園美術館ではおなじみのベランダで展開されている作品。
ここも写真撮影可能ですが、人が滞留しないよういつもは設置されている椅子が取り除かれていました。
ゆっくり座って鑑賞することはできません。
▲これは庭園側から見た本館です。
2階がベランダで外側からも蜷川実花作品を観ることができます。
1階左側に見える半円形のところが大食堂、正面に見えるのが大客室です。展覧会を観たらそのまま帰らないで、いったん庭園に回って建物も鑑賞してくださいね。庭園美術館は展示される作品と同じくらい、建物もアートなのです。
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新館のインスタレーション
本館の次はお隣の新館へ移動。
新館にはミュージアムカフェの「cafe TEIEN」とミュージアムショップもありますが、まずはギャラリー1へ。
▲展示されているのはたった一つ「胡蝶をめぐる季節」という映像作品だけです。
写真もOK、動画もOKです。でも展示に利用されている紗のスクリーンに手を触れるのはNGです。
奥の正面にモニターがあって、そこにメインの映像が映し出されています。
でも、このモニターの映像だけ観ていては駄目で、入り口から奥にかけて何枚もぶら下がっている紗のスクリーンに投射される映像と合わせて ”映像” として鑑賞することが意図されています。
▲さらに言うと、このようにスクリーン越しに他の鑑賞者も合わせて見ることを想定されています。つまりモニターの映像とスクリーンに投射された映像と鑑賞者のコラボ作品という構造なのです。
(ギャラリー2では蜷川実花のインタビュー動画が流れていて、そこで彼女自身がそう発言していました)
▲他に鑑賞者がいないとこのようにサイケデリックな映像が展開されます。
このサイケ感覚はまさに蜷川実花ですね。
花を撮り続けるのは、その生命力とか一瞬の煌きを放つ儚さに惹かれてというような発言もしていましたが、そうしたコンセプチュアルな部分と隠しても隠しきれない尖った色彩感覚のバランスがこの人の魅力の一つなんでしょうね。
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グッズとミュージアムカフェ
新館のミュージアムショップではポストカードなどのグッズや蜷川実花の作品集などが販売されています。
▲今回の展覧会の出品作品のポストカード。
もちろん大型の写真集やペーパーバックなども。「花、瞬く光」には出品作品が多数掲載されています。
花、瞬く光
¥2,640 (2025-01-17 03:02 GMT +09:00 時点 - 詳細はこちら価格および発送可能時期は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で当該の Amazon サイトに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます。)
蜷川実花 虚構と現実の間に
¥3,056 ¥2,963 (2025-01-17 03:02 GMT +09:00 時点 - 詳細はこちら価格および発送可能時期は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で当該の Amazon サイトに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます。)
ミュージアムカフェの「cafe Teien」ではコラボメニューも用意されています。予約はできなくて先着順です。
▲レストランの「Du Parc(デュパルク)」でもコラボメニューとしてランチコースが用意されています。
カフェと違ってレストランの方は事前予約推奨です。
六本木で蜷川実花
六本木complex665の「小山登美夫ギャラリー」でも蜷川実花の「花、瞬く光」という展覧会を開催しています。
庭園美術館と違い、8月13日までという短い期間ですがもっと濃密な展示が行われているので、蜷川実花ファンは是非六本木まで足を運んでみましょう。
▲仕組みは庭園美術館新館の映像作品と似ているのですが、こちらの方がいろいろ凝っています。
そして何より、作品の中に入って鑑賞することができるので。
庭園美術館の展覧会も、六本木の小山登美夫ギャラリーでの展覧会も、どちらも蜷川実花らしいビジュアルに満ち溢れ、SNS映え間違いなしです。蜷川実花ファンの人も未だの人も足を運んでみたい展覧会です。
またこれまで強烈なビジュアルを本領としてきた彼女の、生命の儚さを押し出した新しい方向性を確かめる良い展覧会にもなっていてお薦めです。
蜷川実花 「瞬く光の庭」展 基本情報
名称 | 蜷川実花 「瞬く光の庭」 |
会場 | 東京都庭園美術館 |
会期 | 2022年6月25日(土) 〜 9月4日(日) |
時間 | 10:00 − 18:00 |
入館料 | 一般 1,400円、大学生 1,120円、中高生・65歳以上 700円 |
予約 | オンライン事前予約制 |
東京都庭園美術館 基本情報
名称 | 東京都庭園美術館 |
住所 | 港区白金台 5-21-9 |
最寄駅 | 白金台駅、目黒駅 |
休館日 | 月曜日 |
時間 | 10:00 − 18:00 (土日祝は17:30まで) |