Brian Eno
イギリスの音楽家ブライアン・イーノのインスタレーション展「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO (ブライアン・イーノ・アンビエント・キョウト)」が2022年6月3日から京都で開催されています。
古くから彼とその音楽を知っている人は「Eno(イーノ)」という表記がお馴染みでしょう。そして音楽家ではあるけど ”ノン・ミュージシャン” であることも。
そしてビジュアルアートの先駆者でもあってそららはiPhoneの無料アプリ「Bloom」などで簡単に体験することもできます。
▲さらに「Oblique Strategies」というクリエイティブ作業にインスピレーションを与えるツールを世に出したりもしています。上の写真はイーノのショップで購入したOblique Strategies(オブリック・ストラテジーズ)のカードが印刷されたTシャツです。創作活動中に行き詰まったりしたらOblique Strategiesからカードを引いて、そこに書かれた言葉を手がかりに創作を進めようというツールです。
ソロとしての最初の頃はプロト・パンクなサウンドとして多くのアーティストに影響を与え、1975年に交通事故に遭ってベッドで寝ている時に「アンビエント」音楽を発明したのもイーノですし、またデヴィッド・ボウイやディーボ、さらにU2にトーキング・ヘッズなど、アバンギャルドな音楽のプロデューサーとしての活動もよく知られています。
たぶんいつも耳にしている音楽のほとんどは多かれ少なかれイーノの影響を受けていると思って間違いありません。
そんなイーノの久しぶりに日本でのちゃんとしたインスタレーションということで、麻布ガイド初めての京都取材編です。
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Brian Eno Ambient Kyoto
「Brian Eno Ambient Kyoto」は京都の「京都中央信用金庫 旧厚生センター」で2022年6月3日から9月3日までの会期で開催されています。
あまりに人気なので当初の閉幕予定を2週間延期し、9月3日までになりました。8月一杯はやっているということなので、もう一度夏休みのスケジュールを調整して京都へ行きたいですね。
会場 : 京都中央信用金庫 旧厚生センター
会場は京都市の「京都中央信用金庫 旧厚生センター」。京都駅からも徒歩圏内の築90年という歴史的建築物を1棟丸ごと使っています。
▲会場の外観です。その土地の歴史が刻まれた建造物もインスピレーションの源泉とする方法はデヴィッド・ボウイのベルリン3部作をも想起させるものです。
初日は平日ということもあり訪問してくるのは予約したお客さんだけ。でも週末は当日券を求めるお客さんでかなり混んだようです。
会場構成
3階建ての会場の各フロアにインスタレーションが展示されています。
▲フロアマップ。
ここには記載されていませんが2Fには「LOUNGE」スペースも設けられています。
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77 Million Paintings
77 Million Paintingは2006年にラフォーレミュージアム原宿で展示されて以降、世界中で展示されてきた作品で、それを16年ぶりに日本で体験することができます。
▲広い会場内にはソファーが置かれ、リラックスして体験することができます。
▲イーノのビジュアルアートを代表する作品です。同じ瞬間は二度と訪れないので好きなだけこのアート空間に身を置くことができます。
▲今回の作品エリアで一番広いスペースを使いますが、会場には人数制限がかかっているので満席の場合は空くまでウェイティングスペースで待つことになります。
THE SHIP
タイタニック号の沈没をテーマにした2016年の作品「THE SHIP」のオーディオインスタレーションです。
▲暗い会場内にいくつもスピーカーが設置され、場所によって聴こえてくる音が異なるようにデザインされています。
「THE SHIP」が全曲流れるので全部体験するには1時間弱かかります。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバー「I’m Set Free」でクライマックスを迎えるので、ぜひそこまで滞在して感動的な瞬間を体験してみください。
I’m set free to find a new illusion
新しい幻影を探すために自由になる
“I’m set free”の一節ですが、このような真実をワンフレーズで言い切る音楽があんなシチュエーションで流れれば、それは感動するしかありません。
「THE SHIP」のテーマはタイタニック号の沈没ですが、イーノはお互いに影響を与えあっているイギリスの現代音楽家ギャヴィン・ブライアーズの「タイタニック号の沈没」をプロデュースしたこともありますし、沈みゆくタイタニック号の船上で奏でられていた音楽にはイギリスの音楽家たちにとって創造意欲を掻き立てる何かがありそうです。
Light Box
LEDを使い常に光りながら新しい色の組み合わせへ変化していく作品です。
▲会場に置かれているLEDボックスは3つ。それぞれ連動しているような独立しているようなタイミングで光が変化していきます。
▲大きなものが2点。右側のがウクライナカラーになっているのはたぶん偶然です。
▲厚みもあるので正面からも楽しめますし、横から角度を付けて見ても別の表情が楽しめます。
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Face to Face
今回が世界初公開となるのがこの「Face to Face」。
ブライアン・イーノを含む実在する21人の人物の顔画像を使い、ゆっくり変化させて実在しない人々、中間の人々の顔を創り出すという作品。昔で言う ”モーフィング” 作品ですかね。
▲常に3人の顔が映し出されていますが、少しづつ変化していきます。イーノのあの額や口元が出てくるとすぐ分かりますよ。
The Lighthouse
イーノは2021年から、その膨大なアーカイブからの新曲や未発表曲を紹介するパーソナルラジオ局「The Lighthouse」を、有料のインターネットラジオ局「Sonos Radio HD」でスタートさせています。
「Sonos Radio HD」は日本では視聴できないのですが、今回の展覧会で初めて日本でオフィシャルに「The Lighthuse」が利用され公開されています。
実は「Light Box」と「Face to Face」で聴ける音楽は、その「The Lighthouse」のものなのです。
(The Lighthouseについてはbrien-eno.netを、またその音の一部はSonos Radioのmixcloudチャンネルの番組「Introducing The Lighthouse from Brian Eno」でちょっとだけ聴くことができます)
▲また会場内の廊下や階段、化粧室などにもSonosのスピーカーが設置され、会場全体でThe Lighthouseを体験することができるようにもなっています。
▲トイレのドアにもSonosのスピーカーが設置されています。さすがに個室内には設置されていないので安心してください。
LOUNGE
会場2階にはLOUNGE(ラウンジ)もあって、ここでもThe Lighthouseを聴いたり、ちょっと休憩したりすることができます。
▲突き当りがLOUNGE。会場内には階段やちょっとした棚に盆栽など日本のシンプルなアートも展示されていて、90年の建物の歴史や1000年を超える京都の歴史を感じながらThe Lighthouseを体験するというコンセプトになっているのだと思います。
▲ラウンジにはノートも置かれ、イーノへのメッセージを書き残すことができるようにもなっています。このノートは展覧会終了後にイーノに送られるそうなので、たぶんイーノに読んでもらえます。
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ENOSHOP
会場1階にはENOSHOPも。
イーノの公式サイトenoshop.co.ukの店舗ですが品揃えは本国とちょっと異なるようです。
▲公式グッズの一つが図録。ENOSHOPは代官山の蔦屋にも期間限定でオープンしていますが、京都会場の方が安く購入することができます。
特に関東地方の人、図録は重いし帰ってから代官山で買おうとは考えないように。代官山では公式グッズはどれも1,000円以上高く売っているので、重くても京都会場で買って買えるのが良いです。
▲これも公式グッズのTシャツ。色はグレーと白。サイズはM/L/XLでした。
グレーの方が人気だそうですが、白い方も「Another Green World」のジャケットみたいでいいですね。
今はトートバッグが入荷してENOSHOP現地で購入できるようです。入荷前に訪問した人の購入はオンラインで。購入には会場に掲示されていたQRコードとパスワードが必要です。
代官山の蔦屋書店にも入荷するそうですが、トートバッグが8,250円! 京都で買うより2,000円以上も高いです。買うなら京都の現地ENOSHOPで。
あと公式グッズとして和菓子(落雁)もあるのですが、私たちが訪問した時には売り切れていました。初日の午後早い時間だったのに。
和菓子の次回入荷は未定だそうですから、もしあるのを見つけたら迷わず買っておくのが良さそうです。
▲京都会場、代官山会場で販売されているOblique Strategies(オブリック・ストラテジーズ)。クリエイター必携のツールですね。
これは本国で販売されている第5版と同じでした。しかもイギリス本国での価格が50ポンド、つまり8,000円前後なのに、京都会場でも代官山会場でも9,000円で販売されているのでかなりお買い得です。
イギリスから送料込みで買うよりもしかしたら安く購入できるので、クリエイターの方は考えた方がいいですよ。
また今回の展覧会に合わせていくつか書籍が刊行されているので、事前に読んでおくのも良いでしょう。
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展覧会の注意事項
この展覧会は会場もちょっと特殊ですし、サウンド系のインスタレーションということで鑑賞時間もそれなりにかかります。注意事項をまとめてみました。
会場・展示室内の注意事項
・写真撮影は可能です
・フラッシュ撮影、シャッター音は禁止です
・携帯電話はマナーモードで、会話も禁止です
・飲食はラウンジでドリンクのみです
・マスク着用です
・会場にロッカーの用意はありません。バッグなど手荷物は少なくした方が良いです。
・77 Million PaintingとTHE SHIPは靴を脱いで展示室に入ります。
・会場建物内は各所にSonosのスピーカーが置かれThe Lighthiuseが流れています。スピーカーを探してみましょう。
鑑賞時間
・THE SHIPは約1時間かかります
・トータルで最低でも2時間みておくのがよいです
ENOSHOP
・イーノの意向によりショッピングバッグの用意はありません。エコバッグなど持参する必要があります。
・トートバッグの入荷前に訪問した人はオンラインサイトから購入になります。オンラインサイトへのアクセスにはQRコードが、購入にはパスワードが必要です。QRコードもパスワードも会場限定で掲示されているので購入を検討している人は説明を写真に撮って保存してください。
・公式グッズとしての和菓子は京都会場限定です。また入荷量が少ないようなのなので見かけたら即買いましょう。
チケット
・チケット購入については公式サイトをどうぞ
・当日券の販売もありますが特に週末は混雑が予想されるので、事前に日時予約チケットを購入しておくのが確実です。まだ始まったばかりで好きな日、都合の良い時間で予約することができます。会期後半になるほど予約が取りづらくなるので、とにかく早めの予約、訪問をお勧めします。
・特典付き前売りチケットを購入した人は、入場時にその旨を口頭で申し出ないと特典ステッカーがもらえません。
・6月25日以降の土日祝は開場を1時間早め、10:00からになりました。
でも要するに作品の数は少ないけど時間がかかる展覧会だということです。その代わり密度が半端ないです。久しぶりのイーノの展覧会ですから事前準備してしっかり楽しみたいですね。
手元でイーノ (Brian EnoのiPhoneアプリ)
どうしても京都に行けない方や、会期中行く予定だけど先になってしまう方、ブライアン・イーノって今回初めて知った方、その世界観を予習したい方などはブライアン・イーノが2008年にリリースした「Bloom」というiPhoneアプリがおすすめです。いち早くアプリの可能性に目を付けるあたりがヴィジュアル・アートのパイオニアで新しもの好きなイーノです。アプリは有料ですが、イーノの作品を購入すると思ったら安いですね。
Bloom 10 Worlds(¥980)– Bloomアプリの発売10周年を記念したバージョン
Bloom (¥490)– オリジナルのBloomアプリです。下の動画は実際にiPhoneで動くところを撮影したものです。
また、「Reflection」という3,800円のアプリも見つかると思います。これはイーノがアルバムの「Reflection」をアプリという形態でリリースしたものです。内容はCDと同じですしBloomアプリのようなインタラクティブ性もありません。購入には気を付けてください。
会場へのアクセス
京都駅から烏丸通りを七条通りまで歩いた「烏丸七条」の交差点のところ。駅から徒歩5分です。
当日券もあるようですが週末に訪問するなら日時指定予約した方が良いでしょう。そして早めの予約と訪問を。
とにかくこのために京都まで行くのも惜しくない展覧会です。
京都へのツアー、宿泊予約は下の画像をクリックしてどうぞ。
代官山のブライアン・イーノ公式ストア『ENOSHOP』
今回の展覧会自体は京都会場のみ、東京での開催はありません。
その代わり代官山T-SITEの蔦屋書店内を使った公式ストア「ENOSHOP」が期間限定(6月3日〜7月14日)でオープンしていました。
(既に終了しています)
▲3号館の駐車場側には「77 Million Painting」がディスプレイされていました。
なお代官山蔦屋のENOSHOPで販売されていた公式グッズは次のとおりでした。()カッコ内は京都会場での価格です。
図録 : 4,950円 (3,960円)
Tシャツ : 5,500円 (4,500円)
トートバッグ : 8,250円 (6,000円)。
蔦屋書店のホームページには公式グッズが和菓子も含めて4点と紹介されていますが、代官山の蔦屋で和菓子は取り扱っていません。その点は注意が必要です。
また蔦屋会場では未発表作品のアーカイブ「The Lighthouse」をSONOSスピーカーとSONOS Radio(日本は現時点では対象外)で流しているそうですが、店内各エリアのBGMや雑音であまりEnoの音楽を聴くことはできませんでした。京都会場の雰囲気を体感するのはちょっと難しいので、京都へ行けない人が公式グッズを買い求めたり、Eno特集のグッズ販売する場所と考えておくのが良さそうです。
▲ENOSHOPのメインはこの建物(代官山側から見て一番奥の建物)2階のMUSICコーナーです。
イベント名 | BRIAN ENO AMBIENT KYOTO |
会期 | 2022年6月3日(金) 〜 8月21日(日) *)休館日なし |
会場 | 京都中央信用金庫 旧厚生センター |
住所 | 京都市下京区中居町七条通烏丸西入113 |
開館時間 | 11:00 – 21:00 6月25日以降の土日祝は10:00から |
チケット | 平日 :一般 2,000円、大学生 1,500円、中高生 1,000円、小学生以下 無料 土日祝:一般 2,200円、大学生 1,700円、中高生 1,200円、小学生以下 無料 |
予約 | 日時予約制 |
公式サイト | 公式サイト |
イベント名 | ブライアン・イーノ公式ストア『ENOSHOP』 |
会期 | 2022年6月3日(金) 〜 7月14日(木) *)年中無休 |
会場 | 代官山T-SITE 蔦屋書店 |
住所 | 渋谷区猿楽町 16-15 |
開館時間 | 7:00 – 23:00 |
入場料 | 無料 |
予約 | 予約不要 |