「パビリオン・トウキョウ2021」の草間彌生など青山・表参道周辺のパビリオンについて紹介したので、次に神宮外苑周辺の作品を紹介します。
建築家の藤森照信や現代美術の会田誠それにメディアアーティストの真鍋大度です。
▲会田誠と藤森照信の作品は外苑西通りや神宮外苑いちょう並木といった目立つ場所に設置されているので、イベントの開幕前から既に目にしてあれはなんだろうと思われた方も多いでしょう。
茶室「五庵」 藤森照信 – ビクタースタジオ前
まずは建築史家であり建築家でもある藤森照信の作品。
新国立競技場すぐ近くの仙寿院交差点の角、ビクタースタジオ前の駐車場というロケーションです。
サザンオールスターズやSMAPのファンの方なら、あああそこかと分かる場所かもしれません。
東京オリンピック2020のメイン会場である新国立競技場が見える場所なので ”五輪” にあわせて ”五庵(ごあん)” なのですね。
写真右のクルマが連なっているのは外苑西通り。この角を左へ曲がれば千駄ヶ谷トンネル。こんなロケーションなので通る人やクルマからは注目度満点ですし、オリンピックで新国立競技場へ向かう人(無観客でなければ)にも目に付く場所です。
▲外側に芝生が植えられた土台の建物に上にちょこんと茶室が乗っています。
▲約3週間経過したところ。当初は青々としていた芝生も枯れ始めた部分もありますね。
▲特に直射日光が厳しい南側(ワタリウム側)は芝生の衰えが目立ちます。
鑑賞を考えている方はなるべく早いうちに訪問した方が良さそうです。
▲藤森照信といえば茶室が有名です。これは長野県の茅野市(諏訪大社の近く)にある「高過庵(たかすぎあん)」。
▲新国立競技場のすぐ近くにどんな茶室が出来ているのか楽しみですね。
茶室そのものの外壁はこんがり焼けて炭化した木材です。
茶室「五庵」の中へ
外観を鑑賞するのは自由ですが内部を見学するのには予約が必要です。予約方法はこちら。
予約はオンラインでは行えず、近くのワタリウム美術館のカウンターで当日予約のみ受け付けています。
いろいろ制限があるので注意事項をよく読んで訪問してください。
内部には数人座れるベンチが用意されていて、2階の茶室へ入る前後には藤森照信のインタビュー映像を見ることができます。
▲2階の茶室へはこのハシゴを使って昇り降りします。なのでスカートで訪問するのはお勧めできません。
またハシゴを狭い入り口から身を捩らせて茶室へ入るのでお年寄りの方は十分注意を。
茶室「五庵」の内部
ハシゴを昇り茶室内へ顔を出すと思った以上に広い空間が拡がっています。
でも実際は四畳半もない狭い空間です。狭い入り口から入るので視覚的に広く感じるよう狙って設計しているそうです。
▲五庵から仙寿院の交差点を見下ろしたところ。意外と高さがあって驚きます。
交差点の斜向かいは新国立競技場。
外苑西通りを挟んで反対側はメディアセンター。特にスタジオ設備が用意される建物で、そこから世界に映像が配信されるのですね。
▲茶室の真ん中には大きなテーブルが置かれ、盆栽や茶道具が置かれています。
ここに座ってお茶でもいただきながら新国立競技場を眺められたら優雅ですね。
漆喰の天井に隅が塗り込められています。背の高い人はうっかりすると頭をぶつけて痛い思いをするので気を付けたいです。
いちおうお湯が沸かせるようにはなっていました。
ただ実際には3人が限度でしょう。予約も1組最大2名までの受付になっています。
内部を鑑賞したり新国立競技場を眺めたりしているとあっという間の10分間です。
帰りはさっきのハシゴを降りないといけないで気を付けて降りましょう。
茶室「五庵」の場所
千駄ヶ谷の「ビクタースタジオ」の前、今まで来客用駐車場だった場所です。
ビクタースタジオというとSMAPや嵐といったジャニーズ事務所のグループ、あるいはサザンオールスターズがずっとレコーディングに使用していたスタジオとして音楽ファンには有名です。
SMAPやサザンのファンの方は新国立競技場と五庵とビクタースタジオをいっぺんに訪問できるチャンスかもしれません。
▲ワタリウム美術館で予約をして外苑西通りを千駄ヶ谷方面へ向かうと数分でこの五庵が見えてきます。
“2020-2021” 真鍋大度+Rhizomatiks – ワタリウム美術館前
五庵の当日予約を受け付けているワタリウム美術館。その目の前にはパビリオン・トウキョウ2021に特別参加している真鍋大度の作品があります。
Perfumeのライブ、ビョークのMVそしてリオ五輪閉会式でのディレクションなど日本を代表するクリエイターです。
▲ワタリウム美術館の外苑西通りを挟んで向かいの空き地。ずっと昔オン・サンデーズがあった場所です。
三角形の空き地に、隣接する建物沿いにディスプレイが設置されメッセージが表示され続けています。
▲LEDの全面に反射板が取り付けられているのでぼんやりした文字が浮かび上がってきます。でお目視でならしっかり文字を読み取ることができると思います。
▲壁にはアーティストグループ「Chim↑Pom」の「いきのこる」というグラフィティが描かれています。これは今回のパビリオン・トウキョウとは無関係で以前から描かれていたものですね。
▲Chim↑Pom と 真鍋大度の “2020-2021” の共演。
今回のグダグダなオリンピックの開会式がどうなるのか分かりませんが、この ”2020-2021″ を見ると真鍋大度はもう全く、1ミリも絡んでいないんだなということだけは分かります。
”2020-2021”の場所
▲外苑前の駅から徒歩7分。外苑前の駅を出たら青山通りを表参道方面へ歩いて南青山三丁目から外苑西通りを千駄ヶ谷方面へ向かいます。表参道から青山通りを歩いて南青山三丁目で外苑西通りでも同じですが10分くらいかかります。
ワタリウム美術館ではパビリオン・トウキョウ2021と合わせて「パビリオン・トウキョウ2021展 at ワタリウム美術館」という展覧会を開催しています。パビリオン・トウキョウ2021の参加アーティストに関する資料や年表、映像などを展示していますから事前準備にもぴったりですね。
また五庵の当日予約をしてから時間調整で見学するのも良いと思います。
東京城 – 会田誠
▲こちらは青いビニールシートで覆われています。なかがどういう構造なのかよく分かりません。
ワタリウムの「パビリオン・トウキョウ2021展 at ワタリウム美術館」を見れば中の様子が分かるかもしれません。
▲”仮設性、頼りなさ、ヘナチョコさ──しかしそれに頑張って耐えている健気な姿” を表現したかったとのこと。
▲でもビニールシートという外観の醜悪さと安っぽさ、何もかも覆い尽くす不透明性など、今の日本、そして東京への強烈な皮肉のようにも感じます。
いちょう並木の反対側、青山一丁目駅側の天守閣を観てみましょう。
▲こっちは石垣が高く積まれた天守閣。でも素材は段ボールです。
なんでも吸水性のある段ボールなので風雨にも耐えるよう設計されているそうです。
▲向こうに建つのは某巨大商社のビル。この対比も狙ったのでしょう。
▲梅雨の雨にも東京を襲った暴風雨にも、梅雨明けの暴力的な日差しにもしっかり耐えています。
それにしても、高い石垣が感じさせる権威性、でも段ボールだという頼りなさ。これもまた批評性たっぷりの作品です。
▲それにしても、東京オリンピックの賛同イベントのはずなのに真鍋大度といい会田誠といい、ある意味でオリンピックやその開催意義を突くような作品になってます。まぁ分からない人には分からないから多分大事にはならないと思いますが。
「東京城」の場所
いちょう並木の青山通りとの交差点のところです。
▲外苑前の駅から徒歩3分、青山一丁目駅からも徒歩3分ですね。
私たちは「五庵」から「東京城」まで神宮外苑の中を歩いて移動しました。移動方法はこちらの記事が参考になると思います。
お勧め鑑賞コース
外苑前駅からワタリウム美術館へ行って(徒歩7分)、「五庵」を1時間半くらい先の時間で予約して、
ワタリウムで「パビリオン・トウキョウ2021展 at ワタリウム美術館」を1時間くらい見て、
信号を渡って真鍋大度+Rhizomatiks を10分くらい眺め、それから五庵まで5分歩いて到着。
五庵では30分くらい外から鑑賞したり茶室に入ったり。
それからオリンピックミュージアムを抜けてスタジアム通りへ出て、ちょっとショートカットしていちょう並木へ。
いちょう並木で会田誠を見てから外苑前駅へ戻るというコースはどうでしょう。トータルで3時間くらいです。
まだまだ元気があれば外苑前から表参道駅まで移動して、平田晃久と藤原徹平と草間彌生をまとめて鑑賞することもできます(草間彌生は一週間前に予約する必要がありますが)。。
なお、各パビリオンの場所は公式サイトのこのマップから確認できます(おすすめ店舗とかおすすめ建築も表示されますが、それより麻布ガイドのサイドで検索してください)。
残りは代々木公園の藤本壮介と浜離宮の妹島和世、それと九段ハウスの石上純也です。そちらはまた次回で!
パビリオン・トウキョウ2021
クリエイター : 藤森照信 / 妹島和世 / 藤本壮介 / 平田晃久 / 石上純也 / 藤原徹平 / 会田誠 / 草間彌生
特別参加 : 真鍋大度+Rhizomatiks