ブリヂストン美術館永坂分室(閉館)

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京橋の「ブリヂストン美術館」はタイヤメーカー大手のブリヂストン創業者の石橋正二郎氏が自身のコレクションを公開するために開設された美術館でした。

ビルの建て替え工事のための長期休館を経て、2020年1月に「アーティゾン美術館」という新しい館名で再開館しています。

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ブリヂストン美術館永坂分室

そのブリヂストン美術館の展示あるいは研究活動を補完するための施設として、またブリヂストン美術館を運営する石橋財団の事務局が入る施設として、麻布永坂に「ブリヂストン美術館永坂分室」が開設されていました。(2019年で閉館しました)

その存在を広くアピールしているわけでもなく、ブリヂストン美術館のホームページにもまったく記載がありません。

しかも麻布永坂という人通りもない場所に立地しているので地元の人以外は存在に気づくこともない、まさに知る人ぞ知る美術館です。

通常はこのように門扉も閉まっているので偶然通りかかっても ”ああ麻布永坂らしいお金持ちのお屋敷なんだなぁ” としか見えません(まぁ実際はその通りなのですが)

でも平日の限られた時間帯だけですが一般にも公開されているので紹介したいと思います。

小さく開館日と開館時間が書かれています。
毎週月曜日から金曜日までの13時から16時まで。

ただし都合で休館ということもたびたびありますし、1日の入場人数を10組に制限しているそうなので、訪問される時は事前に電話で確認するのが良いでしょう。

永坂分室の建物

開館中はこのように門が開いています。

予約の有無に関わらず、中に入っても構いません。

この建物がブリヂストン美術館永坂分室です。
玄関左側の灯りが灯っている部分が石橋財団の事務局です。

1978年新築ですから、築40年ほど。設計は朝吹四郎。

建てられてから10年ほどは実際に石橋家の人々が住んでいたようです。

まるでホテルのように豪華な玄関。

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永坂分室への入館

そもそも積極的に存在を知らしめている訳ではないので普通の美術館のように至れり尽くせりの案内やサービスがあるわけではありません。

玄関脇のベルと ”御用の方は横のベルを押してください” と書かれたプレート。予約しての訪問にしろ、いきなりの訪問にしろ、まずはこのベルを押さないといけません。

ベルを押すと事務局の方から ”少々お待ち下さい” と声をかけられるのでドアを開けてもらうまで待ちます。
お客さんが来てから館内の電気を灯したり作品のカバーを外したり来客の準備をするようです。ですのでドアを開けてもらうまで2,3分待つことになります。

これが玄関。住宅として使用していた時から使われているようです。
ちなみに、館内は撮影禁止です。

玄関のガラス戸から内部を除くのが精一杯ですね。

ドアを開けてもらうまでの時間を使って玄関前の緑などを鑑賞しましょう。

永坂でも標高のあるエリアなので東京タワーもこのように。

なお一度入館すると玄関ドアが施錠されますから、帰る時は係員さんに声をかけて解錠してもらってください。

永坂分室の内部

「館内撮影禁止」ということで館内の写真はありません。

入館するとスリッパに履き替え、数枚のペーパーをもらいます。
1枚はこの ”永坂分室のご案内”
麻布十番から徒歩15分とありますが絶対そんなにかかりません。

こちらは館内のお願い。まぁ当然のことばかりですね。

もう1枚はその時の展示作品の解説が書かれたものが1枚。

この時は18点の作品が展示されていました。中世ペルシャから現代美術まで幅広い内容でした。

この図で館内の様子がなんとなく分かるかと思います。
完全にお金持ちのお屋敷です。

第1サロン、第2サロンは来客用の大部屋だったのだと思います。
左側は「会議室」とありますが、広いダイニングホールだったのではないかと思います。

建物の両端はおそらく住居部で第2サロンの隣にも部屋があり大理石の立派なベランダがあります。
建物の裏には手入れの行き届いた芝生の庭や庭園があり、ベランダに座って庭を眺めていたのでしょう。

今は美術館としての利用がメインなのでしょうが、館内や庭や植樹の行き届いた手入れから想像するに、今でも時折石橋家やブリヂストン社が利用しているのではないでしょうか。

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永坂分室の場所とアクセス

駐車場はないので徒歩か自転車かタクシーです。

徒歩の場合は麻布十番駅から永坂を上るのが一番近いのですが、六本木一丁目駅から麻布通りを歩いてくることもできます。

飯倉片町を麻布十番方面へ曲がり、麻布通りに歩いていくと左に逸れる道があるのでそちらに入ります。

十番側からの場合は参院副議長公邸も過ぎて永坂更科のビルも過ぎたあたりに右に逸れる道があるのでそこから入ります。

突き当たったら左へ。

永坂分室はすぐそこです。

振り返ると首都高の向こうに六本木ヒルズが見えるはずです。

ちなみにこの写真の地点の近くには日本一のお金持ちの邸宅があったりします。

さらに、写真の白いワゴン車の手前を左に入っていくと、保釈中のカルロス・ゴーン氏が住んでいた制限住居もあったりします。ここから麻布通りに出て十番からグランドハイアット東京へ向かったか?
▼あるいは植木坂から目立たぬように狸穴公園へ下ってから十番へ抜けたのかもしれません。

さらに少し進むと、右側にブリヂストン美術館永坂分室の門が見えてきます。左手には 「植木坂」の標識もあるのでそれも目印ですね。

麻布永坂というエリアで一般人が入れる邸宅と考えると、この永坂分室はかなりおすすめです。
展示される美術作品の点数は決して多くありませんが、ブリヂストン美術館本体をバックにしているのでローテーションで展示される作品の質はかなり高いです。
さらに戦後の富豪の邸宅をそのまま見学できるわけで、どのような生活をしていたのかを垣間見れてちょっと下世話な関心も満足できます。

2019年秋で閉館しました。

しかし、アーティゾン美術館が2020年にオープンするためか、こちらの永坂分室は2019年秋で閉館し。11月から解体取り壊し工事が始まっています。

以前は取り付けられていた案内板も外されています。

▲まだ工事は本格化していないようですが、あの邸宅も12月中には取り壊されてしまうそうです。

アーティゾン美術館の方はすでに施設は完成し、あとは陳列を待つばかりですので、そちらがオープンしたらレポートする機会があるかもしれません。

永坂分室は保存されるのかも?

年が明け2020年になっても、1月18日にアーティゾン美術館がオープンしても、永坂分室で何か工事が始まった様子はありません。

▲これは2月になっての永坂分室。

銘板などは取り外されていますが外観に大きな変化はありません。
邸内に置かれたいたコーンなども撤去され、解体工事が延期というより中止になったのではないかと思えるほど平穏な雰囲気です。

▲植木も手入れされていますしロータリーの地面もきれいですし放置されている雰囲気は微塵も感じられません。
やはりミッドセンチュリーな貴重な建築ということもあり保存する方向に変わったのではないでしょうか。それはそれで喜ばしい限りです。

ブリヂストン美術館 永坂分室 基本情報

港区麻布永坂1丁目
開館日:毎週月曜日〜金曜日
開館時間:13:00 – 16:00 (入場は15:30まで)

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