江口寿史の「NO MANNER」。ポップな新作ペインティングが並ぶ個展を元麻布の「カイカイキキギャラリー」で開催中。

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江口寿史個展「NO MANNER」

漫画家でイラストレーターの江口寿史(えぐち・ひさし)の個展「NO MANNER」が元麻布のカイカイキキギャラリーで開催されています。

美少女とサブカルチャーを描いて多くのファンとフォロワーを生み、既成の美意識を一変させたアーティストの最新個展です。展示されているのは江口寿史の原画を元に村上隆の工房で制作された作品が15点。

江口寿史は浮世絵以来の日本の絵画の延長として「スーパーフラット」を提唱した村上隆にとっては避けては通れないアーティストの一人ということもあり、村上隆が主宰する元麻布の「カイカイキキギャラリー(Kaikai Kiki Gallery)」での個展開催なのでしょう

▲個展名の「NO MANNER」は最初のイラスト集「NO MATTER」から一回りしてという意味なのでしょう。

会期は2023年2月7日までの約3週間。江口寿史x村上隆が組んだ個展という話題性もあり、期間は長いようにみえますが後半は混み合うと思います。早めの訪問がおすすめです。

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ダブル・エルビス

階段で地下のカイカイキキギャラリーへ下り、ギャラリストが座るカウンターの隣にまず作品が。

▲なるほど~。

原画は既発表の女性像ですが、それをシルクスクリーンの作品に仕上げています。

見れば分かるとおり、アンディ・ウォーホルの「Double Elvis(ダブル・エルビス)」の引用です。

日本のサブカル作家の代表作を誰もが知るポップアート作品を引用して表現するという込み入った構造です。

ポップアートな作品たち

カカイカイキキギャラリーの展示室に足を踏み入れるとアクリルを使った1点ものの作品たちが展示されています。

▲作品集「彼女」などで目にした女性(Cow Girl)たちがポップアートな作品に変身。

▲これはアンディ・ウォーホルの「Elvis I & II」の引用です。

イラストレーション作品かと思ってよく見れば、立派な現代アート作品です。

そして右側のは銀箔が使われているようで、要するに日本画で使われる技法です。

つまり、日本画の技法を取り入れてポップアート作品を引用し現代サブカル作品を再構成する。とってもややこしいことを行っています。

▲同じ原画を元に色合いを変えているのが分かりますね。

右の女性をよーく見てみると・・・

▲点描画です。

ポップアートの巨匠ロイ・リキテンスタインの作風をなぞっているのです。

アンディ・ウォーホルにロイ・リキテンスタイン。江口寿史をそういう系譜の上に捉えなおそうという村上隆なりの意思表明なのでしょう。

▲こちらはアクリル絵の具を使った立体作品。いわば実物大のアクリルスタンド?

真ん中は江口寿史がこの手の女性たちを描き始めたきっかけでもある、ひばりくんですね。

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最新ペインティング

同じ展示室には他にも新作ペインティングが展示されています。

▲大中の作品が1点つづ。

左の作品の女性は同じ原画をあちこちの作品で使っています。

▲ヘッドフォンやレコードプレイヤーはTechnics(テクニクス、松下電器)のもの。江口寿史が若い頃に人気のあったオーディオブランドです。

手に取るレコードは大貫妙子の「MIGNONNE(ミニヨン)」。”シティポップ” として世界的に人気を博しているアーティストの初期の作品です。

こういうサブカルチャーなアイテムを使うことで彼女のいる世界を表現しているのです。


▲これもそう。帽子に付いているバッジはセックス・ピストルズに、ザ・フー、キッスそしてローリング・ストーンズ。

リアルタイム的には、このお上品な日本ではゲテモノ扱いされたり無視されたりバカにされていたバンドです。でもちゃんと江口寿史はレスペクトしているんですよね。

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新作ペインティング(続き)

カイカイキキギャラリーの畳敷きの展示室。

▲ここは靴を脱いで上がって鑑賞します。

▲同じ原画をもとに色を変えて制作された作品たち。

▲これは床の間の作品。

だいたいいつもイチ推しな作品が展示されていることが多い場所です。ということは今回の目玉作品?。

▲額縁に入っている作品はシルクスクリーンで1作品あたり限定100枚。

ギャラリーなので展示作品はどれも購入可能です。なお価格や販売開始日についてはカイカイキキギャラリーに問い合わせてください。

少し前まで江口寿史に所縁があり、千葉パイレーツの地元でもある千葉県でも展覧会が開催されていたのですが、やはり都内で作品を見られるのは嬉しいですね。

そしてこの展覧会は、漫画家でイラストレーターでもあるアーティストを今度は現代アートの枠でも捉え直そうという試みです。会期も3週間ありますし期間中に一度は足を運んでおきたいですね。

また、1月29日(日)には江口寿史と村上隆によるギャラリートークがあってこれも話題になりそうです。

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カイカイキキギャラリーの場所とアクセス

カイカイキキギャラリーがある元麻布は最寄り駅といえる駅もないのですが、逆に言えばどこの駅からも徒歩20分以内というロケーション。

▲広尾駅から有栖川宮公園沿いに六本木の方へ木下坂を登ってくるか、六本木ヒルズから旧テレ朝通りを使い中国大使館前を通って来ます。どちらも徒歩10分から15分くらい。

ファミマのある「愛育病院前」の交差点まで来たら、仙台坂の方へ曲がって50mほど先。カタール大使館の手前のビルの地階です。

麻布十番からちいバスの麻布西ルートに乗って「元麻布2丁目」で下りるのも迷わず確実です。

江口寿史の作品集はAmazonから購入できます。

江口寿史個展「NO MANNER」 基本情報

名称 江口寿史個展「NO MANNER」
場所 カイカイキキギャラリー
期間 2023年1月17日(火) 〜 2月7日(火)
撮影 写真、動画とも撮影可能
予約 不要
入場料 無料

カイカイキキギャラリー 基本情報

名称 カイカイキキギャラリー (Kaikai Kiki Gallery)
住所 港区元麻布 2-3-30
最寄駅 広尾駅、六本木駅
閉館日 日曜、月曜、祝日
時間 11:00 – 19:00  (展覧会期間中のみ開廊)
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