新国立競技場の「スタジアムツアー」
東京オリンピック2020が終わりその原状回復工事を行っていた霞ヶ丘の新国立競技場は工事も終わり、サッカーや陸上競技などの競技利用が始まっています。
その国立競技場では2022年4月からは新たにオリンピックのレガシー体験ができる「国立競技場スタジアムツアー」が定期的に開催され人気を博しています。
2023年はGWの期間中はずっとスタジアムツアーが実施される予定です。
▲「スタジアムツアー」には選手ロッカールームや競技トラックなどのエリアを巡る「国立競技場スタジアムツアー」と、VIP用の設備や4階の展望エリアを見学できる「VIP用のエリア&展望デッキツアー」の2種類があります。
開催回数が少ない「VIPエリア&展望デッキツアー」に参加した際の様子を紹介します。
参加するにはスタジアムツアーの公式サイトから申し込みます。毎月10日前後から翌月分の予約受付を開始するというシステムなのですが、まだあまり知られていないのか人気がないのか、いつもツアーには空き枠が残ります。ただ連休などに重なるとすぐに埋まってしまう場合もありますから、見学したいなら早めに予約するのが良いでしょう。
じつは国立競技場の施設内には誰でも自由に入れるのですが、客席やトラックなどは見学できません。内部を見られるのはサッカーや陸上競技会の時だけですが、それもやはり見られる範囲は限定されています。
スタジアムツアーに参加すれば国立競技場内部のかなりディープなところまで見学できるので、これはかなり嬉しい機会ですね。
麻布ガイドでも「おすすめ見学ルート」や「キラー通りや国立競技場周辺のカフェ」に「フィールド展望」、そして「11点のモザイク壁画」といった記事を紹介してきたので、そちらもあわせて読んで新国立競技場を堪能してみください。
ちなみに当初は陸上トラックは残さず球技専用スタジアムとなるはずだった国立競技場ですが結局陸上トラックは残っています。当初の方針を変え、さらに競技規則まで変えて無理くり残すあたり東京オリンピックのすったもんだはまだまだ続いています。
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ゲートから違うVIPエリア
VIPエリア見学ツアーはまず入り口から通常の「スタジアムツアー」とは異なります。
▲VIPエリアに入る、つまりVIP(Very Important Person)が使う出入り口は「Cゲート」。国立競技場の「中央門」を通ってまっすぐ、メインスタンド側のゲートです。
隈研吾建築らしい和モダンな柱が目を惹きます。
▲天井も和のテイストを醸し出すよう、折り紙をモチーフにした意匠。
このCゲートのエントランスは「1層スタンド」と同じレベルにあるので、フィールドの様子もチラッと見えて気分が上がります。
VIPエリアのスタンド
VIPエントランスからエスカレータで2層スタンドへ上がります。▲メインスタンドの2層レベルから見た国立競技場。緑の芝生とトラック、トラックの五輪マークが目に映えます。
▲広角で写真を撮るとこんな感じ。実際に目に入る光景もこんな感じです。
大きく開いた屋根と芝生。こうしてみると良いスタジアムだなぁと感じますね。
▲この日は東京都の陸上競技選手権が行われていました。当たり前ですけど表彰台はメインスタンドに、つまりこっちに向かって置かれているんですね。
ここはVIPエリアツアーの次の見どころです。
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VIPラウンジ
メインスタンドのフィールド側とは反対側にVIPラウンジが設置されていて、そこも見学できました。
スタジアムという特性からどこにも直線がなくて、それがうまく効いています。
▲向こうに「東京体育館」がその勇姿を見せているこちら側には、このように木調のテーブルが並んでいます。VIPの皆様はこのラウンジでご歓談ください。という趣旨のようです。
貴賓室
VIPラウンジから上のフロアに移動すると貴賓席とNS(National Sponsor)席です。
重要な賓客とか国や自治体レベルの首長とか競技団体のトップとか、まぁそういう特別な接遇が必要な人たち向けの部屋です。
東京オリンピックの時にはIOCのバッハさんとか組織委員長の橋本聖子さんとか開催都市首長の小池百合子さんとかが座ったんでしょうね。
ツアー参加者は椅子に座って座り心地を確かめたり、バッハ会長に成り切って記念写真を撮ったりできます。
普通は入ることはおろか目にすることもできないエリアなので細部までしっかり見ておきたいところです。
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スポンサー室
貴賓室の隣はNS室。
▲要するにスポンサードする企業さんたち向けの控室みたいなものですから、ちょっとビジネスライクになっています。
貴賓室は無理でもNS室なら頑張れば行けるかなぁと思ってしまいます。
「聖地」と書かれています。国立競技場がいろいろな競技などの ”聖地” だからだそうです。
貴賓席
今回の「VIPエリアツアー」のたぶん目玉の一つがスタンドの貴賓席に座れることです。
▲これは前回の「フィールド展望」イベントの時に見たメインスタンドの様子です。
2階の右のところが貴賓席ですね。
▲当然ですが通常のスタンド席とは作りもシート間隔も全く違ってこれなら快適です。
隈研吾建築のあちこちで見るあの雰囲気です。
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貴賓席とVIP席と一般席の違い
貴賓席とVIP席、それと一般席の違いを実際に使われているシートを通して見てみましょう。
なお今回のVIPエリアツアーでは一般席に実際に座ることはできませんでした。
座面はクッション性があるわけでもないプラスチック製。背もたれも同様です。
それとシート間の間隔も完全に日本人仕様です。ちょっと大柄な人は文字通り肩身の狭い思いするかもしれません。
試合中はずっと立ちっぱなしなサッカー用ならこれでもいいのでしょうけど、座って観戦する陸上競技には辛いものがありそうです。
▲これはVIPエリアのシート。VIPシートですね。
肘掛けが付きました。そしてシート間隔もたっぷりあるので、大柄な人が着膨れして座っても大丈夫です。
なお有名日本メーカーの製品です。
肘掛けは木製になりカップホルダーも付きます。
▲もちろんシート間の間隔もたっぷり。このようなお一人様席もあります。
ただVIPシートも同様ですが大歓声の中でも隣の人と話ができるよう、適度な間隔というのは考えてあるようです。
こうしてシートの松竹梅を観察してみるのも面白いですね。
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展望デッキ
ツアーの最後は4Fの展望デッキからフィールドを見下ろして終了です。
▲VIPエリアツアーはもちろん、通常の「スタジアムツアー」も最後は南側の展望デッキです。
何度も確認しましたが「スタジアムツアー」で見学するのは南側の展望デッキだそうです。
でも以前の「フィールド展望」で開放されたのは北側の展望デッキでした。
▲サッカーのゲーム中は気になってしょうがないこの45分時計は北側展望デッキの電光掲示板脇にあって、南側にはありません。
このように間近に見ることができないのは残念ですね。何か開放できない理由があるのでしょう。
▲もしかしたら北側展望デッキだとフィールドが逆光になるのが理由かもしれないですね。
▲今回は晴天の日でしたが曇天や雨天の日が面白くないかという、全然そんなことはありません。
雨天の展望デッキもこのように劇的な空間を見ることができるので、スタジアムツアーの日の天気を気にしなくても大丈夫です。
▲これは「フィールド展望」時の北側展望デッキ下のスタンド。スタンドの結構下の方まで行けていました。
このようにスタンドで移動できる範囲も広く、また時間もたっぷりあったのですが、「VIPエリアツアー」では時間も忙しく、また自由に移動できる範囲も狭くなっていました。
もっともそれだけに見どころも多く、1時間弱のツアーですが本当にあっという間に終わった感じです。
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空の杜
「スタジアムツアー」や「VIPエリア&展望デッキツアー」で国立競技場の裏側を堪能したので、今度は無料で楽しめる「空の杜」も見学してみます。
▲国立競技場の5階部分、スタジアムを回廊のようにぐるっと廻る歩道が「空の杜」。その名の通り単なる回廊でなく植物を植えられた緑の空間になっているのが特徴です。
▲和のテイストを出したい国立競技場を特徴づける庇(ひさし)も空の杜からはよく見えます。
ちなみに国立競技場の庇が三重になっているのは三重塔や五重塔を参考にしたからだそうです。
▲すぐ向かいの「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」が見えます。
このホテルからは新国立競技場が正面に見えるのです。「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミアと国立競技場」でも紹介したように、ホテルの屋上には雑誌「CASAブルータス」で嵐の櫻井翔さんが国立競技場を眺めたスポットがあります。
▲こんな凄いロケーションにあるホテルですが、意外とリーズナブルな価格で泊まれるホテルです。
国立競技場を上から眺められる三井ガーデンホテル神宮外苑の杜。
参考までに「フィールド展望」ツアーの動画を用意しました。
空の杜へのアクセス
「空の杜」は誰でも無料で利用可能ですが、5階まで階段で上るというのがネックです。
競技場内に入ればエレベーターが利用可能なので簡単に行き来できるのですが。
▲あまり知られていないかもしれませんが、パブリックエリアに設置されている「N2」エレベーターは誰でも、つまり競技場利用者でなくても使えるエレベーターです。これに乗れば階段を使わず5階の空の杜へ直通です。
Aゲート付近にあるので探してみてください。
スタンドとフロアの対応がよく分かると思います。
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競技場の敷地内散策
もっとついでに国立競技場の敷地内も見学してみましょう。
なお施設内の外構部はいつでも誰でも入場できるます。空の杜も競技場外という扱いなので誰でも利用できるようになっています。
▲今回のツアーの集合場所だったEゲート。外苑前駅からも近いですし、キラー通りからも入りやすい場所です。
▲これは青山門のところの1964年東京オリンピックの炬火台。
オリンピックミュージアムにも3/4スケールのレプリカがありますがこちらは本物です。その代わり触れたり間近に見ることはできません。
説明書きには書かれていませんがデザインはデザイナーの佐藤オオキ。なんでもボランティア(無償)でデザインしたそうです。聖火台が開くのですが、機械仕掛けにして本番で万が一にも動かなかったら悲惨なので、人力で開閉させる仕組みなのだそうです。
これ以外にも1964年オリンピックのモニュメントとか、TOKYO 2020のあれやこれやが残されているので探してみるのも面白いでしょう。
また、すぐ近くの「オリンピックミュージアム」も併せて見学すればさらに面白いと思います。
▲近くの六本木ヒルズの屋上「スカイデッキ」から見た国立競技場です。
神宮球場や新宿御苑などとの位置関係もよく分かります。国立競技場のスタジアムツアーと合わせてスカイデッキに登るのも楽しいと思います。
▲2022年9月末から一般公開が始まった11点のモザイク壁画。1964年の東京オリンピックの際に旧国立競技場のために制作された日本を代表する芸術家たちの作品です。
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VIPエリア&展望デッキツアー
今回参加したVIPエリア&展望デッキツアーは2022年のゴールデンウィーク時期限定のツアーでした。
その後「スタジアムツアー」の企画はアップデートされ、今はVIPツアーも回数は少ないですが定期的に開催されています。
新しい国立競技場を裏側までしっかり見ることができる機会ですから、東京見物の人はもちろん、地元の人でも楽しめる企画です。
ツアーパス
オリジナルエコバッグ
パンフレット
スタジアムマップ
この4点セットが配られました。マップは国立競技場のサイトで配布しているものと同じです。
(2022年VIPツアー時の資料です。最新のツアーとは異なることもあります)
▲またツアーパスに印刷されているQRコードからアンケートに回答すると、シール付きポストカードがもらえます。
これはずっと前からノベルティで配っているものですね。
国立競技場の裏側まで見学できるスタジアムツアー、通常のツアーは大人1,800円、VIPツアーは大人3,000円という価格ですが見学内容を考えるとそれだけの希少性はあると思います。
▲またその際には競技場周辺を散策したりオリンピックミュージアムを見学したりするのも良いと思います。
オリンピック直後は日本人で、今はインバウンドのお客さんで長い長い記念撮影の順番待ち行列が出来ていた五輪モニュメント。天気の良い日に国立競技場をバックに写真撮影してみたいです。
▲さらにJOC内のオフィシャルショップもガラガラです。出迎えてくれるのは金メダリストの高木美帆さんとメダリストの宇野昌磨くん。
(ほぼ)等身大のボードがあって、空いているので一緒に撮影し放題です。
▲金メダリストの小平奈緒さんもいますよ。好きな選手とポーズを決めて記念撮影したいですね。
国立競技場へは前泊したり試合後にそのまま近くで泊まりたい場合もあります。そんな時は周辺の手頃なホテルが良いでしょう。
国立競技場を上から眺められる三井ガーデンホテル神宮外苑の杜から見る国立競技場す。
国立競技場の改修に合わせて移転改築した日本青年館ホテルもオススメです。
国立競技場ツアー 基本情報
施設名 | 国立競技場 |
住所 | 新宿区霞ヶ丘町 10-1 |
最寄駅 | 国立競技場駅、千駄ヶ谷駅 |
喫煙・禁煙 | 敷地内禁煙 (喫煙所はありません) |
イベント名 | 国立競技場スタジアムツアー |
開催期間 | 2022年4月1日(金) 〜 2024年3月31日(日) |
概要 | 選手ロッカールームや競技トラックなど、通常は見ることのできないエリアをオリンピック・パラリンピックの記憶と共に紹介しながら巡るスタジアムツアーです。 指定エリア内を自由に回遊するもので、解説員等の同行や引率はありません。 |
料金 | 大人 1,400円、高校生以下 800円 |
入場時間 | 11:00から30分毎。最終入場は17:00 |
予約 | 日時事前予約 |
イベント名 | VIPエリア&展望デッキツアー |
開催期間 | 2022年4月30日(土) 〜 |
概要 | 通常の国立競技場スタジアムツアーでは見ることのできないVIPラウンジやVIP客席エリアを巡る特別なツアーです。 45分間程度スタッフと共に歩きながら施設を見学するツアーです。 |
料金 | 大人 3,000円、高校生以下 1,500円 |
入場時間 | 10:00から概ね15分毎。最終入場は16:30 |
予約 | 日時事前予約 |