建物公開2024 あかり、ともるとき
白金台の東京都庭園美術館で恒例の「建物公開」。
2024年は《あかり、ともるとき》というタイトルで、建物の見どころの一つでもある「照明」に焦点を当てた展覧会です。
2024年は春に《旧朝香宮邸を読み解く A to Z》という実質建築公開みたいな展覧会が開催されていたので、結局春と秋に建物公開が行われたようなものです。
やはり建築に対する注目が集まっているのと、館長が建築家の妹島和世になったことが影響しているのかもしれません。
毎年多くのファンが訪れる建物公開ですから、《建物公開2024 あかり、ともるとき》展の開幕初日は開館と同時にチケット売り場に行列ができるほどの混みようでした。
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会場の東京都庭園美術館
旧朝香宮邸として1933年、アールデコが全盛期を迎えていた時代に建設された貴重な建物で ”現存する世界一美しいアールデコ建築” ことも言われ建物自体が芸術品とも言えます。
朝香宮家が廃された戦後は外務大臣公邸、迎賓館などとして使われきた、日本の戦前戦後の歴史が刻まれた建物です。
旧朝香宮邸を改修した本館、現代美術作家の杉本博司を迎えて建設された新館が美術館としての主な展示会場。さらに 西洋庭園と和風庭園を備えているところが 「庭園美術館」たるところです。
▲正面玄関からは第一応接室がガラス窓を通して覗けるようになっていて、そこには毎回その展覧会を凝縮したような展示が行われています。
今回は中が見えやすく展示されています。
▲入館前にまず鑑賞し、帰りにもう一度じっくり観ると展示の意図がよりわかりやすいと思います。意外とこの展示に気づかず出入りしているお客さんが多いのでお見逃しなく。
今回はテーマが照明ということで、庭園美術館のシンボル的な照明の模型が置かれています。
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撮影と注意事項
通常の展覧会ですと、東京都庭園美術館は原則として本館内の撮影は禁止です。
しかし今回の《あかり、ともるとき》展では原則として写真撮影が可能です。ただし動画撮影は禁止です。
▲館内にこのような注意書きが設置されています。混雑状況などをみて会期中でも変更になることがあるので、必ず現地で最新の情報を確認してください。
撮影について
・本展では原則撮影可能です。ただし新館ギャラリー1で上映されている映像作品(さわひらきのPilgrim)は撮影禁止です。
・撮影についてそれ以外の注意事項は
フラッシュ、レフ板、三脚、自撮り棒、望遠レンズは使用しない
動画の撮影は禁止
接写や作品の前からの撮影、身を乗り出しての撮影など作品や建物に危険が及ぶ行為は禁止
です。常識的なことばかりですね。
注意事項
・撮影以外の鑑賞自体に対する注意事項は
作品、建築、家具、スクリーン等には手を触れない
混雑時の不意の接触にも注意する
要するに荷物はロッカーに入れましょう
傘・日傘の館内への持ち込みはできません
飲料、食料品は展示室内へ持ち込みできません
です。これも常識的なことばかりですね。
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あかり、ともるとき – 邸宅空間
この展覧会のために用意された邸宅空間を見てみましょう。
▲庭園美術館でも人気の高い「大食堂」。天井の照明はルネ・ラリックの「パイナップルとざくろ」
t普段の展覧会では作品保護のためカーテンを閉め切っていることが多いのですが、今回はカーテンを開け放って外光を入れています。
またテーブルにはディナーのセットが並べられ、宮廷時代の再現が試みられています。
天井のシャンデリアはこれもルネ・ラリックによる「ブカレスト」。
この部屋も2方向から内部を見学することができます(書斎内へは立ち入れません)。
書庫だけに太陽光は大敵。ということで、すでに書庫としての役割は果たしていませんが、ふだんはカーテンが閉められ書斎とつながる扉も閉じられていることが多いのですが、今回は天井の照明が見えやすいようカーテンも扉も開け放たれていて、かなり珍しい状態です。
1階の一番奥にある「小食堂」もカーテンが開け放たれて窓から新館が見えるようになっていてそれもかかなり珍しいです。
▲市松模様の床がカッコいい2階「ベランダ」。
四角錐型の照明がシャープでいいですね。
▲いつもは非公開の「ウィンターガーデン」も建物公開のような特別な展覧会の際に公開されることがあります。
市松模様の床は人造大理石。
ほとんど人が入ることがない場所なのでべランダと違って新品のような美しさが残っています。
ウィンターガーデンに入るには、本館西側の階段のところでスタッフに口頭で見学を申し込み、注意事項を了承した人だけが室内を見学することができます。
見学にあたっての注意事項は
・定員は9名
・混雑時の見学は10分以内
・階段の手すり壁から身を乗り出さない
・火災など緊急時は係員の指示に必ず従う
これを了承したら階段を上がってウィンターガーデンへ向かいます
写真で見えている天井の照明の他に、ベランダにも照明があります。
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あかり、ともるとき – 照明
《あかり、ともるとき》展のメインは館内の照明。
車寄せの天井灯は宮内省内匠寮によるデザイン。入館前に見落としていても帰る際にはもう一度見るチャンスがあるので忘れずに。
▲ウィンターガーデンがある3階へ上がる階段下、姫宮寝室前の天井には「チェーンペンダント照明」。
庭園美術館のアイコン的存在なので見逃せません。
高さを調節できるのだそうです。
それにしても、これらの照明って100年近く前のデザインです。最先端の人々の美意識というのは時代を超えるものなのですね。
▲これなんかは照明をぶら下げるチェーンが作り出す影まで計算したデザインです。
浴室の照明が点灯しているのも珍しいです。こんな色味をしていたんですね。
▲「合の間」、要するにウォークインクローゼットなんですが、そこの照明ですら凝りに凝っています。
ペンダント型の照明なのです。
いつもはスルーですけど今日は主役の一つです。
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新館ギャラリー1
杉本博司による新館にも展示が続きます。
▲新館では庭園美術館所蔵の作品をメインに、アールデコの時代の工芸作品が展示されています。
1920年頃の作品だそうです。
▲新館のギャラリー1ではさわひらきの「Pilgrim」と7分23秒の映像作品が上映されています。静止画であっても撮影禁止です。
映像作品の舞台は庭園美術館なのですが、そこにこの複葉機が主役的に登場します。
この写真はその作品中に登場する複葉機の模型。2階の妃殿下居間にさりげなく置かれています。が、実はこれ、複葉機の模型のように見えますがボンボニエール(お菓子入れ)なのです。若宮である朝香宮孚彦王の成年式のために作られたものだそうです。
Cafe TEIENの特別デザート
庭園美術館での展覧会後の楽しみはCafe TEIENの特別デザート。
《建物公開2024 あかり、ともるとき》展でも特別デザートが用意されています。
「合の間」のペンダントをイメージしたものだそうです。
あかり、ともるとき展のポイント
「照明」に焦点を当てた建物公開ということで、庭園美術館のアールデコ建築とアールデコ期の照明、さらにアールデコのデザインが楽しめるという3倍おいしい展覧会後です。
さらに、会期後半になると日没が早くなり館内の照明が映えるようになります。明るいと点灯しない車寄せの天井灯も点灯しますし、展示自体が会期前半とは異なるようになるはずです。余裕があったら会期前半とより映えるようになる後半の2回、訪問してみてください。
建物公開2024 あかり、ともるとき 基本情報
名称 | 建物公開2024 あかり、ともるとき |
会場 | 東京都庭園美術館 |
会期 | 2024年9月14日(土) 〜 11月10日(日) |
時間 | 10:00 − 18:00 |
入館料 | 一般 1,000円、大学生 800円、中高生・65歳以上 500円 |
予約 | オンライン事前予約制 |
撮影 | 写真撮影可能、動画撮影禁止 |
東京都庭園美術館 基本情報
名称 | 東京都庭園美術館 |
住所 | 港区白金台 5-21-9 |
最寄駅 | 白金台駅、目黒駅 |
休館日 | 月曜日 |
時間 | 10:00 − 18:00 |