tramps – リボル・フォイチーク写真展
広尾のチェコ大使館に併設される「チェコセンター」では、およそ100年前にチェコスロバキア(当時)で発生した「tramping(トランピング)」というカルチャーを紹介する《リボル・フォイチーク写真展「TRAMPS チェコの自然の中で生まれたサブカルチャー」》が開催されています。
このようなカルチャーがあったとはまったく知りませんでした。新大陸アメリカへの憧憬、自然への回帰などその後の世界のサブカルチャーの先駆けみたいな動きが東欧のチェコにあったのですねぇ。
このtrampingをする人を “tramp” と称するようで、そうした人々の姿を収めた写真展です。
▲正直、写真だけ見ても詳しい背景などは全然わからないのです、でもそうしたくなるだろうなぁと共感できるところは沢山あるという。同じようにアメリカ文化への憧憬を持つ日本人が見ても興味深い写真展です。
今からおよそ100年前、建国と同じ頃のチェコスロバキアでは、アメリカ文化に影響を受けた「トランピング」と呼ばれるアウトドア・アクティビティが盛んになり、やがて国内最大のサブカルチャーへと発展していきました。山で過ごし、狩猟や木彫り、山登り、スカウト運動、カントリー音楽など、独自のトランピング文化を楽しむ人々「トランプ」たちを捉えた写真作品
これはチェコセンターサイトの写真展ページに掲載されている紹介文です。
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trampsたち
英語で “tramp” って放浪者みたいなイメージですから、彼らも森と自然の中へ歩き行く冒険者を気取りながらもちょっと謙遜してtrampと称したのかもしれないですね。
trampingというカルチャー自体は20世紀初頭からのものですが、写真展で展示されている写真は比較的最近の、1990年代(たぶん)以降のもののようです。
▲左はtrampのアクティビスト、右は集合写真。
左の彼は年をとったビートニクス、あるいは老成したヒッピーのように見えますけど、本質的には同じようなタイプの人なのでしょう。
▲左のピックアップトラックは星条旗カラー。まるでモンタナとかオレゴン辺りの田舎町みたいな光景ですけど実際はチェコのようです。新大陸、西部への憧憬も21世紀にはこういう表現になるのですかね。
右の写真のカップルは放出物の軍服を来ているようですけど、これは正統的なtramp文化のようです。
また男性の方はカウボーイハットを被っていますが、これも米西部(フロンティア)の憧れを示しているのでしょう。
▲右の写真の人はネイティブアメリカンの伝統衣装風な服装に、テントはネイティブアメリカンのもの。
たしかに米西部には違いないですけど。むしろtrampingの元祖としてネイティブアメリカンを捉えたということでしょうか。
▲右の写真、松葉杖の人物は長髪にカウボーイハット、タトゥーありという出で立ちでまるでモータヘッドのレミーみたいです。
trampsの写真にはこのようにヘルズエンジェルスのアウトドア版みたいな人が何人も登場します。たしかにアメリカですが、こういう方向性のtrampもいるのですね。
▲これは定住派のtrampsでしょうか。森の中に本格的な小屋を建てて別荘代わりに使っているようです。
停まっている赤い車はプジョー605。1989年発売の自動車ですから、この写真はそれ以降に撮られてものだと思われます。
▲そして写真展のキービジュアルにもなっている、これから森の中へ踏み入れようとするtrampsの親子。
自然と向き合うことにロマンを感じる冒険者の姿ですね。
ヴィンテージな軍服と簡素な衣装、レトロなナップザックに荷物を詰めて、今夜は星を見ながら子どもの将来の夢でも語り合うのでしょうか。
なんか今の日本のアウトドアアクティビティで使われるようなハイテクギアはなにもないけど、日本にないものは全部ここにあると思わえるような出で立ちです。
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tramps展 会場の様子
いつものようにチェコセンター地下の一室だけの展示です。
▲展示されている写真の点数はそれほど多くはありませんが、その背景など想像しながら見ていると単にtrampsたちの写真というより、アメリカの憧憬だけにとどまらない複雑な事情も垣間見えてきます。
残り会期も短いですが、平日の夜など訪問してtrampsたちの姿を見て欲しいですね。
新設されたコーヒーコーナー
チェコセンターには年に何回か訪問しているのですがいつの間にかコーヒーコーナーが出来ていました。
▲無料じゃなくて1杯100円ですが、展覧会の後のひと休みに使えてこれは嬉しいですね。
▲ただドイツ語圏と違い、チェコは特にコーヒーにこだわりがある訳ではないそうです、普通のカプセル型のインスタントコーヒーです。
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チェコセンター東京
東京のチェコセンターは広尾のチェコ大使館に併設されています。
▲日赤通り沿いにあるチェコ共和国大使館の入り口。今はウクライナへの連帯を示すための国旗が掲揚されています。
チェコも1968年に旧ソ連とその同盟国から侵攻を受けていますから他人事ではないのです。
なおチェコ大使館の建物はレーモンド設計事務所によるもの。詳しくはこちらの記事をどうぞ。
▲チェコ政府観光局もあってパンフレットなどももらえます。
パンデミックが落ち着いたら東欧プラハなど旅行してみたいですね。
チェコセンターの入館方法
インターフォンでドアロックを解除してもらって入館します。
▲チェコセンターは1番上のインターフォンで用件を告げてドアのロックを解除してもらいます。
もちろん日本語で大丈夫です。
また身分証を示す必要もないですし、訪問時に氏名などを明かす必要もありません。
チェコセンターへの行き方
広尾駅からだと広尾の商店街を進みホームワークスの角を右に曲がります。聖心女子大の南門を過ぎて道なりに進み最初の角を右に曲がります。200mほど歩くと左手にチェコ大使館があります。
それより簡単なのが日赤医療センターから。渋谷駅あるいは恵比寿駅から日赤医療センター行きのバスに乗るか、ちいバスの青山ルート(行き先は六本木ヒルズでも赤坂見附でもかまいません)に乗って日赤医療センターで降ります。日赤通りを広尾方面に300mほど歩くと右手にチェコ大使館です。
基本的に平日だけの開館ですが夜は19時ぎりぎりまで入館できます。今まで知ることもなかったチェコのサブカルチャーの写真展という興味深いものですからチェコ好きな人、世界のサブカルチャーに興味のある人にはぜひ足を運んで欲しいですね。
チェコセンターでは過去にもこんな展覧会・イベントを開催しています。イベントをいつもチェックしておきたいです。
tramps – リボル・フォイチーク写真展 基本情報
名称 | tramps – リボル・フォイチーク写真展 |
会場 | チェコセンター |
住所 | 渋谷区広尾 2-16-14 |
会期 | 2022年8月24日(水) 〜 10月7日(金) 土日祝は休館 |
時間 | 10:00 – 19:00 |
料金 | 無料 |