火薬を使う作品で知られる蔡國強の大規模個展「宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」が国立新美術館で(閉幕)

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蔡國強(さい・こっきょう)

乃木坂の国立新美術館で蔡國強(さい・こっきょう)の大規模回顧展「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」が開催されています。

蔡國強は火薬を使ったドローイングやインスタレーション、屋外爆発イベントなどで知られる中国出身の現代アーティストですが長く日本に在住し、その火薬を使ったスタイルも日本時代に開拓したものです。

今はニューヨークを拠点として活動している蔡國強のいわば凱旋公演ともいえるこの展覧会、主催は国立新美術館とサンローラン。

ファッションブランドであるサンローランが共催に入ったことで、メディアへの露出も増え、また様々なイベントも同時に開催されるようです。 ▲2023年も多くの展覧会やイベントが開催されていますが、その中でも最大級の話題になりそうなのがこの「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」展です。

大規模に展示されているのは90年代からの火薬を使った作品、最近の鏡の作品やインスタレーション。そして日本に来日してから現在までの膨大な作品が時系列に沿って展示されています。

この記事では「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」展の見どころと注意点を紹介します。また記事の最後では六本木に設置されている蔡國強のパブリックアートも紹介します。

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屏風作品

国立新美術館の広い展示室の中央に展示されているのは7点の屏風仕様の作品たち。

「胎動II:外星人のためのプロジェクトno.9」(1991年)東京都現代美術館蔵

▲見ただけで蔡國強と分かる作品。これはまだ日本で制作活動していた時代の作品です。

「月にあるキャンバス:外星人のためのプロジェクトNo.38」(2023年)

▲これは鏡に描かれた作品です。2023年制作ですから最新作です。

このような巨大な屏風の作品がどーんと置かれていてそれは圧巻です。蔡國強のパワフルな世界に浸れます。

壁面のドローイング

展示室の壁面にも火薬を使った巨大なドローイング作品が展示されています。 ▲展示室内の入口側には中央に屏風作品、壁面にドローイングという構成で展示が行われています。

展示作品は主なもので約50点。そこにアーカイブ資料や記録映像もあるというボリュームです。

「延長」(1994年)世田谷美術館蔵

▲これは1994年のドローイング作品。

これも日本在住時代の作品です。 ▲蔡國強ご本人も登場して解説。 ▲サイズも時間軸も宇宙的なスケールの蔡國強なので展示される作品の中にはこのような巨大サイズのものも。

「歴史の足跡」のためのドローイング(2008年)

▲こちらもドローイング作品。ニューヨークに活動拠点を移してからの作品です。

空中に何か浮いていますね。これが今回の展覧会の最大の注目作品「未知との遭遇」の一部です。

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未知との遭遇

展示室の奥の方にはLEDを使ったキネティック・ライト・インスタレーションであり「未知との遭遇」が展示されているのですが、とにかく巨大な作品です。

「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」展「未知との遭遇」2023年

▲LEDなので色が変わったり点滅したり。見ていて飽きない作品です。 ▲広い展示室の半分を使って展開されている「未知との遭遇」。

触ることはできませんが、作品の中を自由に歩き回って楽しむことができます。

凧揚げ少年(AR)

さらに凧揚げをする少年が展示室内や「未知との遭遇」の中を移動するARの演出を見ることができます。 ▲このARでの演出はスマホのブラウザで鑑賞できます。未知との遭遇のキャプションの近くに一見QRコードには見えないQRコードが貼ってあるので、それをスマホのカメラで読み込んで鑑賞します。

QRコードを読み込むコツはちょっと離れて読み込むこと。チャンレジしてみてください。

▲スマホを展示室内や未知との遭遇の方に向けると凧揚げ少年が画面に現れます。

壁面のドローイング、屏風の作品、未知との遭遇とAR。一点づつ楽しむより、全体を巨大なインスタレーションとして身体で感じ取りたい展覧会です。

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アーカイブ

展示室の壁面には過去の作品がアーカイブ的に時系列に並んでいて、これを見れば蔡國強をよく知らない人でもその活動を理解することができると思います。

この展示は宇宙が誕生する以前、ビッグバン、そしてインフレショーンという宇宙の歴史と自身の人生を重ね合わせた構成になっています。 ▲初期の実験的作品から制作資料まで。

左「火薬画No.8-27」(1987年)右「火薬画No.8-25」(1987年)

▲1987年の作品。

まだ来日したばかりの頃に暮らしていた板橋の四畳半のアパートで制作したものでしょう。

見どころと注意事項

「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」展の見どころと注意点です。

見どころ

全部が見どころなのですが、やはり90年代に日本に在住していた頃の火薬を使ったドローイングはすべて見どころと言えるかもしれません。ゆっくり時間をかけて鑑賞したいです。

そして「未知との遭遇」。体験型作品でもあるので気の済むまでゆっくり鑑賞、体験してみましょう。SNS映えという点では周囲に人が少ない方が良いので、午前中の早い時間帯または金曜日・土曜日の夜間開館の時間帯が良いでしょう。

注意事項

ここまで書いてきたことをまとめますね。

・展示室内は静止画については撮影可能です。動画については制限されているエリアがあるので現地での指示に従ってください。

・手を触れてOKな作品はありません。

・「未知との遭遇」など立体作品もあるのでリュックや大きなバッグなどは展示室に入る前にロッカーにしまっておきましょう。

ミュージアムショップ

お決まりのミュージアムショップですがホームページで案内されている以上に商品が置いてありました。 ▲Tシャツにトートバッグ。どれも黒色。

Tシャツの柄は作品「胎動II:外星人のためのプロジェクトNo.9(震動記録、脳波図、心電図)」です。

展覧会の公式図録も販売されています。Amazonでは7月8日出版予定となっていますが展覧会場では既に購入可能です。


▲作品を身に纏いたい方はスカーフが2種類あります。

新美術館でのビデオ上映

展覧会で蔡國強の世界に圧倒され、ミュージアムショップで図録と来場記念の品を買い、あとは帰るだけ・・・新美術館ではもう一つ、蔡國強の展示が行われています。 ▲場所は1階のカフェ コキーユの一角。ミュージアムカフェ「サロン・ド・テ ロンド」の下のミュージアムコーン前に設置されたモニターです。

ここで蔡國強が世界各地で行ったイベントやパフォーマンスを振り返るビデオが2本、繰り返しで上映されています。全部見ると30分弱になるのでカフェ コキーユでコーヒーでも買って、テーブルに座ってゆっくり見るのがおすすめです。 ▲さらに、展覧会開幕直前の6月26日に福島県いわき市で開催された白天花火、つまり白昼の花火イベント「満天の桜が咲く日」のサンローランによる公式映像がサンローランのサイトで公開されています。

蔡國強といわき市については展覧会の「蔡國強といわき」というセクションで詳しく紹介されていますからそちらの参照ください。

なお、サンローランのサイトでの映像公開は期間が明示されていません。突然終了するかもしれないので早めに見ておくのが良いでしょう。

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六本木の蔡國強

国立新美術館にもほど近い六本木ヒルズのホテル、グランドハイアット東京のエントランスには蔡國強のパブリックアートが設置されています。 ▲タイトルは「高山流水-立体山水画」。2003年、つまり六本木ヒルズが開業した時からここに設置されている立体山水画です。

個展会場の国立新美術館から徒歩でアクセスできる場所にあるのでせっかくなら個展と合わせて鑑賞したいですね。

国立新美術館の場所とアクセス

「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」展が開催されている国立新美術館の場所は六本木。

ただ最寄り駅でいえば地下鉄千代田線の乃木坂駅です。6番出口から新美術館直結です。

六本木の交差点からなら、外苑東通りを青山方面へ向かいガソリンスタンドの交差点を左へ曲がればすぐですし、慣れた人なら龍土町美術館通りに入ってブルーボトルの前を過ぎて行けば近道もできます。

また、六本木ヒルズからも六本木通りを渡ってホテル六本木の横の小路をくねくね下っていくとあっという間に新美術館到着です。

久しぶりに日本で開催される蔡國強の個展ですが、規模も多ければアーカイブ資料も充実していて回顧展とも言える内容です。でもまだまだ衰えを知らない創作意欲に溢れた新作も見られますから、蔡國強、アートファンにとっては絶対見逃せない展覧会です。

ほぼ夏休み期間中の開催という会期なので、夏休みのアート巡りでは絶対外せません。

蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる 基本情報

名称 蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる
会場 国立新美術館
会期 2023年6月29日(木) 〜 8月21日(月)
時間 10:00 − 18:00 (金土は20:00まで)
入館料 一般 1,500円、大学生 1,000円、高校生以下・18歳未満は無料
予約 不要
撮影 可能

国立新美術館 基本情報

名称 国立新美術館
住所 港区六本木 7-22-2
最寄駅 乃木坂駅、六本木駅
休館日 火曜日
時間 10:00 − 18:00 (会期中の金土は20:00まで)
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