新しいお札と北里柴三郎
2024年の7月3日からデザインが変わった新しい日本のお札(紙幣)の発行が始まります。
新しい千円札の肖像は北里柴三郎(きたさと・しばさぶろう)。白金の北里研究所の設立者というだけでなく、ペスト菌の発見や血清療法の開発など多くの業績を残しノーベル賞を受賞してもおかしくなかった偉大な微生物学者です。
なお1万円札の肖像は実業家の渋沢栄一で裏面は東京駅。五千円札の肖像は津田梅子です。
1万円札や五千円札よりも使用する機会が圧倒的に多い紙幣ですから、北里柴三郎の肖像もこれから見慣れたものになっていくのでしょう。また裏面は葛飾北斎の《冨嶽三十六景(神奈川沖浪裏)》。世界的にも知られる名画ですからインバウンド観光客の良いお土産にもなりそうです。
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北里柴三郎記念博物館
白金には北里柴三郎が設立した「北里研究所」とその研究所が設置した「北里大学」があり、「北里通り」という道路までありますし、白金台の「東大医科学研究所」は北里柴三郎のために設立された機関ですし、なにかと港区とは縁の深い北里柴三郎です。
その北里柴三郎自身や業績を知るための資料を収集、保存、展示しているのが北里研究所内の「北里柴三郎記念博物館」です。新札への切り替えを前に北里柴三郎の業績を確かめようと、北里柴三郎記念博物館を訪問してみました。
なお2023年10月までは「北里柴三郎記念館」という名称でしたが最近「北里柴三郎記念博物館」に改称されています。また生まれ故郷である熊本県阿蘇郡小国町にも関連施設である「北里柴三郎記念館」があります
▲記念博物館の外壁には「北里柴三郎記念館」という文字が刻まれています。これはスゴイです。
一つは揮毫したのが元北里研究所長でノーベル生理学・医学賞受賞である化学者の大村智(おおむら・さとし)であること。
そしてコンクリートの壁面に微細な線でかつての北里研究所の姿が刻まれていること。
日本の医学、化学の先駆者である北里柴三郎の記念館を後継者の一人でもある大村智が揮毫するというところに歴史の重みを感じます。
▲記念博物館内には一般の人にも分かるような資料を展示する「展示室」があります。
入館料は無料ですが写真撮影はNG。このロビーだけは撮影可能でした。
北里柴三郎博士の等身大パネルがあるので記念撮影も可能です。
展示室内には研究で使われた実験装置や留学時代の写真など多くの資料を見ることができますし、また大村智博士のコーナーもあったりして素人が見ても分かるよう充実しています。
▲今はこんなに立派な建物になっています。その名もプラチナタワー。
▲その西側に2017年に完成したのが「北里柴三郎記念博物館」です。
北里通りからもよく見える場所です。
北里研究所と北里大学
北里柴三郎記念博物館がある北里研究所は病院もありますし大学も併設されているので一般の人も特に受付や訪問予約することなく入構可能です。
▲正門から入ってプラチナタワーの奥に入ると北里柴三郎記念博物館です。
案内板によると「大村智記念研究所」もこの奥にあるようです。
なお北里大学には医学部や理学部などもありますが白金キャンパスには薬学部しかありません。
▲記念博物館を見学したら併せて参拝しておきたいのが、駐車場の片隅にあるこの神社。
「コッホ・北里神社」です。
もともとは北里柴三郎が留学時代に師事したドイツの細菌学者ロベルト・コッホが祀られていましたが、北里柴三郎の死後は合祀され「コッホ・北里神社」となっています。
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場所とアクセス
白金の北里通り沿いです。
最寄り駅はどこも遠いので病院を利用する方たちはバスやタクシー、自家用車で来られるようです。
駐車場もありますが午前中はいっぱいになることも多いので自家用車で訪問するなら午後の方が空いていると思います。
▲最寄り駅の広尾駅から徒歩10分ちょっと。外苑西通りを進んで天現寺橋明治通りを渡り恵比寿三丁目の交差点から北里通りに入ります。
白金高輪駅からなら北里通りをまっすぐ恵比寿方面へ歩けば北里研究所です。徒歩15分くらい。
渋谷駅や恵比寿駅から都営バスの田87系統田町行きに乗ってその名も「北里研究所前」というバス停で降りれば北里研究所の文字通り正門前です。
新しいお札の顔となる北里柴三郎の業績を簡単に知ることができる博物館なので新札に切り替わる前に一度は訪問しておきたいですね。
また細菌とウィルスという違いはありますが、北里柴三郎やロベルト・コッホなどによる感染症対策の歴史の積み重ねがあったからCOVID-19などシリアスな感染症の拡大も防ぐことができたという意味で、記念博物館と神社にお礼の訪問もしなければなりませんね。
北里柴三郎記念博物館 基本情報
店名 | 北里研究所 北里柴三郎記念博物館 |
住所 | 港区白金 5-9-1 |
最寄駅 | 広尾駅、白金高輪駅 |
開館日 | 月曜〜金曜 |
開館時間 | 10:00 – 17:00 |
入館料 | 無料 |