岡本太郎記念館
南青山にある岡本太郎記念館は、1954年から太郎が亡くなる1996年までの約50年に渡りアトリエ兼住居として使用していた場所で、1998年から岡本太郎記念館として生まれ変わり一般公開されています。
▲骨董通りからも美術館通りからも一本入ったところにあり、こじんまりした岡本太郎の個人美術館なのですが、いつも国内外からの岡本太郎ファンで賑わっている一種の聖地のような美術館です。
麻布ガイドでは数年前の「太陽の塔」展の時に紹介しています。記念館の詳細はその記事にも詳しいです。
赤と黒
岡本太郎記念館の2022年は3月から7月にかけて「赤と黒」展を開催中です。
「赤と黒」といっても状況主義なアーティストたちが使うコミュニズム、アナーキズムのシンボルカラーの話ではなくて、岡本太郎の絵画を象徴する色としての赤と黒です。
生命と死を象徴する赤、岡本太郎の生き方を象徴する黒。
その2色をテーマにした展覧会が「赤と黒」展です。
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赤 : 生であり、死なのだ
まずは「赤」。
岡本太郎記念館の2Fには企画展用の展示室が2つあり、今回は1室づつ「赤」と「黒」のテーマに沿った作品が展示されています。
▲「赤」をテーマにした部屋だけに床から壁まで赤で統一された ”赤い部屋” になっています。
展示されている作品もすべて赤が効果的に使われている作品ばかり。
”この血の色こそ生命の情感であり、私の色だ。”
”赤はまさに、生であり、死なのだ。”
こうした死生観て50年代/60年代のアーティストに共通する感覚みたいですね。
▲絵画も椅子も岡本太郎らしいパワー溢れる作品です。
2Fの2つの展示室はブリッジで結ばれているので赤い部屋を後にして黒い部屋へ向かいます。
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黒 : 黒い道を選ぶのだ
「黒」は岡本太郎が60年代以降積極的に使い始めたモチーフです。
▲生命感溢れる「赤い部屋」から照明も落とされ暗い「黒の部屋」へ。
▲梵字のようでもありアブストラクトでもあるモチーフを黒を基調に描いています。
▲照明も太陽の塔のような造形で、全体的に日本土着の何かを描いたような作品群です。
後方には ”己を滅びに導く、というより死に直面させるような方向、黒い道を選ぶのだ。” という岡本太郎の言葉が書かれています。
作品数は決して多くないものの、こうしたテーマで岡本太郎の作品群を切り取るのも新鮮でした。岡本太郎のパワーにやられてぐったりしてしまいますね。
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サロン
岡本太郎記念館の1Fは受付を通った奥に「サロン」と「アトリエ」がありあす。
▲玄関から入って右手にサロンとアトリエへ続く入り口があります。
”頭上注意” とあるように高さが170cmくらいしかありません。男性の半分くらいは頭をゴツンとやっている感じなので、特に男性は要注意です。
▲そして入って右手には「サロン」。
ここには岡本太郎の作品が常設展示されています。
また岡本太郎ご本人も。
数年前の訪問時と比べてみたら展示されている作品も違いますし、そもそも岡本太郎の着ているスーツが違います。
けっこう頻繁に模様替えをしているのでしょうね。
▲壁の作品などは変わりませんが、以前とは岡本太郎と岡本敏子さんの位置関係が変わっていたりします。
やはり企画展の都度足を運ぶようにしないと記念館が所蔵する作品すべてを見ることができないかもしれません。
アトリエ
この記念館の1階奥には岡本太郎が制作していたアトリエがほとんど当時のまま残されています。
でも筆や絵の具の跡などから、熱い想いで制作に励んでいた当時の様子が目に浮かぶようです。
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岡本太郎記念館の庭園
記念館の庭。ここも立派な展示スペースです。
▲いわゆる庭園とは違って、緑溢れる環境に岡本太郎の作品を置いただけ。
そう感じさせるところがポイントです。
▲人間世界なんか全部お見通しだ・・といった風情で静かに見下ろす太陽の塔。
▲庭園には全部で10点の彫刻が展示というか置かれています。
「樹人」、「動物」、「歓喜」、「犬の植木鉢」、「午後の日」、「めばえ」、「母の塔」、「若い太陽」、「乙女」それと「鳥」の10点です。
探して数えているだけで時間が経ってしまいますね。
なお、庭園には記念館のチケットを持つ人だけが入ることができます。ノーチェックで入れてしまうので時おり勝手に入っていく人を見かけますが、きちんと観覧料を払いましょう。
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ミュージアムショップ
記念館のミュージアムショップも当然岡本太郎一色です。
画集や著作本の他に、大小様々なグッズが所狭しと並んでいます。ガチャガチャもありますよ!
▲あのレディー・ガガ様も来館して「岡本藝術」をお買い上げになったようです。
意外に思われるかもしれませんが、でもレディー・ガガの感性を考えると岡本太郎は好きそうだなぁと思えますし、岡本太郎的世界が好きな人はレディー・ガガの世界も気にいると思います。
▲DVDや「地底の太陽」のフィギュアなど以前より充実しています。
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岡本太郎記念館の場所
骨董通りを六本木通り方面に直進して、「クリントンストリートベイキング」の先の信号を左折します。
左折してSOUSOUを左にみながら一本目を右折すると左側にあります。
▲岡本太郎、1967年の作品「殺すな」。オリジナルは、反戦広告としてアメリカのワシントン・ポスト紙に掲載されたものです。
そしてこれは、日本のアーティスト集団「Chim↑Pom」の2013年の作品「殺すな」。半分くらい蔦に覆われてしまっていますが、まだしっかり残っています。
ちょうど今六本木の森美術館ではChim↑Pomの回顧展「ハッピースプリング」を開催中です。この「殺すな」のオマージュ作品はありませんが、Chim↑Pomが岡本太郎の太陽の神話を使ってメッセージをアピールした事件は大きくフィーチャーされています。
「赤と黒」と「ハッピースプリング」を合わせて観るのも良いと思います。2000年代と1960年代の日本の先端アーティスト同士です。
▲企画展示はもちろん常設展示も少しづつ模様替えしていて変化する岡本太郎記念館ですが、階段のこの岡本太郎だけは変わらないですね。
展覧会名 | 赤と黒 |
会期 | 2022年3月18日(金) 〜 7月18日(月) |
岡本太郎記念館 基本情報
施設名 | 岡本太郎記念館 |
住所 | 港区南青山6-1-19 |
最寄駅 | 表参道駅 |
休館日 | 火曜日 |
開館時間 | 10:00 – 18:00 |
観覧料 | 一般 650円、小学生 300円 |