DIC川村記念美術館のコレクションが移転してくる六本木の国際文化会館とは? どんな施設なの?

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国際文化会館

六本木・鳥居坂には公益財団法人「国際文化会館」が運営する同名の施設があります。

国際理解のための文化交流などを目的とする財団の施設なので、宿泊施設や会議施設、レストランなどの機能を持っています。

この国際文化会館は2025年3月末で閉館する千葉のDIC川村記念美術館が移転してくるということで今注目を集めています。

でも会員制の施設なので利用者は会員かそのゲスト、あるいは結婚式や講演会などの招待者、あるいはレストランの利用者くらいで、つまり一般的には存在も含めほとんど知られていない施設です。

▲この国際文化会館の再編プロジェクトとDIC川村記念美術館の移転プロジェクトとが一致して、今回のアート・建築分野での協業とコレクションの中核を国際文化会館へ移転することが決まったようです。

でも今まで知られていなかった施設だけにいろいろな憶測や、中には明らかに誤った情報が一部で流れていたりするようです。そこで国際文化会館の実際を紹介したいと思います。

なお本記事で使用している写真は麻布ガイドがゲストとして訪問したりレストランを利用した際に撮影したものです。まだレギュレーションが緩かった時期のものなので、現在は入れなかったり撮影できない場所が含まれている可能性があります

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「国際文化会館」とは

戦後1952年(昭和27年)に設立された団体で、日米間の知的・文化的交流を主な目的として当時の日本の実業家や学者などとアメリカのロックフェラー財団などから支援を受け創立されました。

そして1955年(昭和30年)に建物としての国際文化会館が開館しています。

創立70周年となる2022年には、次の100年を見据えた基盤づくりを目指す募金を50億円を目標に立ち上げています。この将来への基盤づくりの中には、周辺地域の再開発(六本木五丁目再開発計画)に合わせて国際文化会館に新西館を建設し本館の内装改修を行う事業が含まれています。

国際文化会館の建物

今後再編されるという現在の国際文化会館を紹介します

▲あまりに有名な「本館(旧館)」。

モダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエに学んだ坂倉準三、日本のモダニズム建築の父アントニン・レーモンドに学んだ吉村順三、それとル・コルビュジエとレーモンドの2人の下で学んだ前川國男。この日本の建築界の巨匠3人による共同設計です。

竣工は1955年で2008年には文化庁の「登録有形文化財」として認められています。

写真で奥に見える部分の2階と3階が客室です。庭園レベルは地下1階となりホールや会議場/宴会場。その上のフロアはロビーやティーラウンジです。

この建物は20年前に保存再生工事が行われており、今回の再編では建物の内装を改修するそうです。

▲庭園から見た本館(旧館)と煉瓦色の「西館」。

西館は前川國男の設計で1975年に増築されたもので客室として使われています。

この西館が今回取り壊される対象です。

▲駐車場から六本木ヒルズを眺めたところ。

駐車場の奥の突き当りにあるのが「別館」。講堂やセミナールームとして使われています。

この別館と先程の西館が今回の取り壊し対象で、その跡地にSANAA設計の新西館が建築される予定。DIC川村記念美術館から移設されるマーク・ロスコの作品はその新西館内の新しい「ロスコ・ルーム」に展示されるようです。

別館のさらに向こう、六本木ヒルズの手前に見える茶色い建物は国際文化会館に隣接する無関係なマンションです。

国際文化会館の建築についてはこちらのドキュメンタリー映画をどうぞ(↓)

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本館(旧館)の外観

本館のうち ”東館” とも呼ばれる客室部分を外から見てます。

▲駐車場側から見たところ。

規則正しいグリッド、そこにアクセントを加える窓枠。

▲駐車場から振り返ると東京タワー(中央)や麻布台ヒルズ(左)が見えています。

▲これは側面から見たところ。

鳥居坂から国際文化会館の敷地に入れはすぐに見えてきます

本館(旧館)の内部

本館の内部も日本を代表するモダニズム建築としての見どころが多いです。

あくまでゲストとして立ち入ることができるエリアだけを紹介します。

▲本館入口を入ったところがロビー。

眼の前には屋上庭園が広がり、その向こうには国際文化会館のもう一つの名所である日本庭園も見えています。

基本的に再編プロジェクトではこの本館(旧館)と庭園を遺していくことに主眼が置かれているようなので、たぶんこのロビーからの眺めはこれからも楽しめそうです。

▲これは本館1階図書室から屋上庭園を見たところ。

部屋の外の煉瓦色の壁は西館の壁です

▲屋上庭園は時期によってはもっと青々としています。

▲これは本館のレストランSAKURAを見下ろしたところ。

日本庭園の池辺に釣殿風の建物が張り出し、さらに屋上は庭園になっていて暑さを防いでいます。

このレストランは西館とは別の建物なので、おそらく再編でもこのまま残るのだと思います

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日本庭園

建物と一緒に残されるのが日本庭園。旧岩崎邸庭園です。

1930年に三菱財閥当主岩崎小彌太が京都の名造園家「植治(うえじ)」こと7代目小川治兵衛に依頼し作庭したものです。

なお、現在庭園は会員のみが立ち入り可能です。

▲港区の名勝にも指定されている名園です。

夏はよく手入れされた緑の芝生が眩しい!

▲桜や紅葉の季節も。とても六本木とは思えません。

その時期はティーラウンジ「ザ・ガーデン」からの眺めも最高です。

▲以前庭から撮影した庭園と本館(現在は会員以外は立入禁止)。

この景色もそのまま残されるはずです。

国際文化会館の日本庭園についてはこちらのドキュメンタリーをどうぞ(↓)

ティーラウンジ「ザ・ガーデン」

会員制の国際文化会館の中で唯一、会員でなくても自由に利用できるのがティーラウンジの「ザ・ガーデン」です。

▲週末や結婚式などがある日を除けば比較的空いていて、いわば知る人ぞ知るなティーラウンジです。

宿泊施設に併設されるカフェなので朝は7時から開いています。まだ涼しい夏の朝に散歩がてら訪れて朝食やケーキセットなどをいただくのもお奨め。

ふと顔を上げると誰もが知る有名人がさり気なく朝食を摂っていたりするのも六本木ですね。

▲窓際に席をとって庭園を見下ろしながらのコーヒーやランチが良いです

ランチは2,000円台から、ケーキとドリンクのセットなら1,000円台前半からになります。

国際文化会館もザ・ガーデンも広く知られてしまったので、これからは平日でも混むようになるかもしれません

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国際文化会館の場所とアクセス

とても都心とは思えない港区の名勝、旧岩崎邸庭園を庭園として持つ国際文化会館ですが、大きな通りからは全く見えない場所になります。

六本木という地名から多くの人がイメージする猥雑で喧騒として街とは全く違い、周辺は東洋英和やシンガポール大使館などがある鳥居坂にあり、通りからは簡単な「国際文化会館」のプレートしか見えないので、知らなければ本当に通り過ぎてしまうかもしれません

六本木と麻布十番を結ぶ「鳥居坂」の麻布十番寄りの場所なので住所的には六本木ですが最寄り駅としては麻布十番駅の方が近いです。

また駐車場もあるので自動車での訪問も可能です。

2030年には新西館が完成しマーク・ロスコの作品を始めとしたDIC川村記念美術館の中核でもあるコレクションが移転してきます。

あのロスコ・ルームが近所で見られるようになるのは喜ばしいことなので、期待を持って2030年を待ちたいと思います。

また、移転後は今より多くの人が訪れるようになるでしょうから、今のうちに静かで落ち着いたザ・ガーデンでのカフェタイムを堪能しておきたいですね

国際文化会館 基本情報

名称:国際文化会館
住所:港区六本木 5-11-16
アクセス:地下鉄 麻布十番駅、地下鉄 六本木駅、駐車場あり
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