岡本太郎記念館の「岡本太郎の1世紀」。大規模個展「展覧会 岡本太郎」と合わせて観ておきたい(閉幕)

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岡本太郎の1世紀

南青山の「岡本太郎記念館」では「岡本太郎の1世紀」展が開催されています。会期は2022年7月20日から11月20日までの4ヶ月間。

これは7月に大阪から始まった大規模回顧展「展覧会 岡本太郎」の開催に合わせ、本家である岡本太郎記念館で、岡本太郎の創作の歴史と1996年からの没後の記念館の活動を振り返るという趣旨での展覧会です。

▲キービジュアルはおそらく30代後半頃の岡本太郎。フランス帰りのかっこいい芸術家然していますね。

大阪での「展覧会 岡本太郎」は閉幕しましたが、東京では上野の東京都美術館で2022年10月18日から12月28日まで開催です。

関東・東日本の岡本太郎ファンはまずこの「岡本太郎の1世紀」でショート版を鑑賞してから、本命の「展覧会 岡本太郎」展に臨むのが良いのではないでしょうか。

麻布ガイドでは「展覧会 岡本太郎」も初日に鑑賞してきたので、岡本太郎記念館での「岡本太郎の1世紀」展とあわせてレポートします。

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岡本太郎とは

”藝術は爆発だ!” のイメージばかり強調されがちですが、日本が生んだ偉大な芸術家ですね。

生命力に溢れる彼の作品は世界中のアーティストたちからも人気が高く、以前レディ・ガガが来日した際にも岡本太郎記念館を訪れ作品集を購入しています。▼

その岡本太郎の史上最大の個展とも謳われる「展覧会 岡本太郎」がまず大阪で2022年7月から、そして東京では10月から開催されます。

岡本太郎記念館も主催者の一員として収蔵作品を出展しているので、その「展覧会 岡本太郎」と合わせ「岡本太郎の1世紀」が企画されたということのようです。

岡本太郎の1世紀 第一展示室

いつものように650円を受付で支払いスリッパに履き替えて館内へ。

まずは2階へ上がって赤い第一展示室から鑑賞です。

▲今回の展覧会の目玉作品。タイトルは不詳。

1947年という日本での創作活動初期の作品です。

▲この第一展示室では戦後1940年代から1980年代までの作品が展示されています。

左端に見えるのは有名なポーズを取る岡本太郎のポートレートです。

▲下書きやスケッチなどの資料も。

▲岡本太郎記念館自体は岡本太郎の邸宅を改装した小規模なものですから展示されている作品数も決して多くはありません。

ところで、太陽の塔のレプリカって訪れるたびに向きが変わってる気がするのですが。企画展ごとに向きを変えているのかもしれません

また吹き抜けの壁は「岡本太郎の歩み」という年表になっています。少し前までは「Roll Over TARO」でしたね。

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岡本太郎の1世紀 第二展示室

第二展示室の方は岡本太郎記念館の活動に焦点が当てられた展示構成です。

▲奥に岡本太郎の作品が1点。

椅子が見えますが、これに座ってプロジェクト映像を観るためのものです

▲上映されているプロジェクト映像は左から

「太陽の塔」再生プロジェクト

TARO100祭り

「明日の神話」再生プロジェクト

です。

▲これまでも繰り返し上映されてきているので特に目新しくはないのですが、最近岡本太郎を知った若い人には興味深い内容ではないでしょうか

▲右が第二展示室の入口側の壁ですが、ここには1996年以降の岡本太郎記念館の活動記録が展示されています

▲多くはここでの企画展。それと主催したり協力したりしてきた岡本太郎関連の展覧会や出版物などですね

ちなみに、 ”1996➡︎” とあるのは、岡本太郎が亡くなった1996年以降は記念館の活動というような意味でしょう。

「岡本太郎の1世紀」展、1947年の秘蔵作品を観ることができたり、プロジェクト映像を3本まとめて観ることができたりで、これから「展覧会 岡本太郎」を観に行く人には十分なウォームアップになると思います。

とにかく若い岡本太郎ファンにはオススメの展覧会です。

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サロンの岡本太郎

2階で「岡本太郎の1世紀」展を観たら、次は忘れずに1階の「サロン」と「アトリエ」も観ておきましょう。

▲サロンもアトリエも定期的に衣替えや配置換えがされているので、一度観たからいいやという訳にはいかないのです。

この写真は2022年の7月20日、「岡本太郎の1世紀」開幕日のサロンです。

岡本太郎の等身大の人形が置かれていますが、スラックスに半袖シャツに帽子という夏らしい装いの岡本太郎です。

▲別のときはスーツ姿。

実際に生前着ていたもので、ちょっと見えにくですがネクタイは岡本太郎デザインのもの。

定期的に衣替えしているので、訪れたびに何を着ているのかチェックするのも楽しみです。

▲このときはノーネクタイのシャツにジャケットとスラックス。

軽やかなスタイルなので初夏って感じでしょうか。

サロンには岡本太郎と岡本敏子の写真や作品が置かれているのですが、とにかく訪れるたびに配置が変えられていて、”間違いを探せ” 状態なのです。

この奥にある「アトリエ」も定期的に配置される作品が変わるので、毎回異なる姿のアトリエを見ることできます。

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ベランダの太陽の塔

岡本太郎記念館の庭とベランダにも作品が置かれています。庭は入館料を払った人だけが入れるので、記念館の中を鑑賞したら庭も忘れずに鑑賞していきましょう。

▲羽田空港への着陸ルートが変わり、午後南風が吹くときは南青山の真上、こんな低いところを旅客機が飛んでいくんですよね〜

いや、飛行機じゃなくて、ベランダにいるべき作品がありません。

▲いつもはベランダから太陽の塔が顔を覗かせているのですが、その姿が見えません。

時々出張で居なくなる時があるのです。

今はまさにその「展覧会 岡本太郎」に長期出張なのでした。

岡本太郎の1世紀の見どころ

1947年のタイトル不詳の作品と没後のプロジェクト映像。最近岡本太郎を知った人も、これまで作品をフォローしてきた人も、ワインポイントですが見どころととなるポイントがあります。岡本太郎が実際に住んで制作を行っていた南青山のここで、岡本太郎の作品や歴史を振り返ることができるというのもポイントが高いです。

本命の「展覧会 岡本太郎」には20代の岡本太郎がパリで描いたと思われる作品3点がお披露目されるなど、史上最大規模を謳うだけの内容を誇っているようですし、絶対外せない展覧会ですができれば事前に「岡本太郎の1世紀」展でウォームアップしておきたいですね。

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展覧会 岡本太郎

上野公園の東京都美術館で始まった「展覧会 岡本太郎」(以下 ”岡本太郎展” )。

事前にNHKなどメディアでも大きく取り上げられ期待が高まる中での開幕。初日からごった返す幕開けでした。

▲お茶の間にも人気だった80年代頃の写真が使われているポスター。

▲まず迎えてくれるのは「若い夢」。よく見かけますね。

岡本太郎記念館の庭にはこの小さいのが置いてありますね。

▲命と死を象徴する赤、岡本太郎の生き方を象徴する黒。

展覧会の最初が黒い部屋(つまり岡本太郎の生き方)。ここに初期作から晩年の作品までがピックアップされ展示され、続いて年代別にエリア分けされるという構成になっています。

▲岡本太郎のもう一つのカラー「赤」。

岡本太郎記念館ではお馴染みの展示方法。赤い壁に展示される絵画たち。

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岡本太郎記念からの出張

岡本太郎記念から出張している作品たちも。

▲青山の旧子どもの城にもある「こどもの樹」。これは岡本太郎記念館のサロンに置かれているものですね。赤い大きな手もサロンに置かれ、いつも岡本太郎か岡本敏子の写真が飾られています。

▲「座ることを拒否する椅子」。これも岡本太郎記念館のサロンのものじゃないでしょうか。

▲これは「顔」。岡本太郎記念館の庭にいますね。

お馴染みの作品がいくつも出品されていて何故か懐かしくなります。

▲これは「雷人」。岡本太郎記念館収蔵作の中でも人気の高い作品です。

▲1967年にベトナム戦争に反対する日本の団体(ベ平連)がアメリカのワシントン・ポスト紙に掲載した反戦広告。この「殺すな」の文字を揮毫したのが岡本太郎です。

日本のアーテイスト集団「Chim↑Pom」の作品「殺すな」は、この作品にインスパイアされたもので南青山の岡本太郎記念館の壁に描かれています。今もかすかに文字を読み取ることができるので岡本太郎記念館を訪問したらぜひチェックしてみてください。

なお「岡本太郎展」に展示されている作品の多くは川崎の岡本太郎美術館収蔵のもの。そこに岡本太郎記念館の収蔵作品が加わってそれでほぼ全てです。

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太陽の塔と明日の神話

岡本太郎の評価と人気を決定付けた2つの大作「太陽の塔」と「明日の神話」。この2作だけのコーナーも設けられていました。

▲1970年の大阪万博のシンボル「太陽の塔」。

これは岡本太郎美術館収蔵のレプリカです。よくみると岡本太郎記念館のレプリカとは素材などが微妙に違っています。

それにしても、背景に見える人、人、人。初日の夕方でこうですから、週末は相当な混雑が予想されます。

しっかり事前予約するのと、可能ならば平日の訪問を検討するのも良さそうです。

▲意外と知られていないようですが太陽の塔は背面にも顔があります。

「黒い太陽」という名で人類の過去を表現しているのだそうです。

▲太陽の塔の内部の模型です。

奥に見えるのは岡本太郎のもう一つの代表作「明日の神話」。

▲作品自体は渋谷駅(マークシティ)に設置されているので多くの人が目にしていると思います。

ここに展示されているのは下絵に相当するものです。

▲でもやはり大きいですね。

▲渋谷の「明日の神話」実物とこの下絵ではちょっと絵柄がズレていますね。
(このズレているところにChim↑Pomがイタズラをしたのです)。

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展覧会 岡本太郎 限定グッズ

展覧会ですので公式グッズ、限定グッズも販売されています。

▲これはほんの一部。

▲展覧会ではお馴染みな限定Tシャツ。

右のカラフルなので会場限定のTシャツ。左の黒いのは岡本太郎記念館でも購入できるパーカーです。

▲限定の折りたたみ傘。絵柄は雷人・・・。雷が落ちたりしないのでしょうか、ちょっと心配です。

▲限定の絞りバッグ。

ただ問題はですね、売られているグッズの多くは岡本太郎記念館で普通に売られているものなのです。せっかくだからと記念に買ったものが簡単に手に入るものというのは悔しいですよね。

事前に岡本太郎記念館でグッズをチェックしておくか、「限定」と明記されているグッズだけにしておくのが無難だと思います。
Amazonやオークションサイトでは「岡本太郎展 限定」と称して岡本太郎記念館でも売っているグッズが法外な価格で転売されているようなので、それにも気を付けましょう。

展覧会 岡本太郎と岡本太郎の1世紀

岡本太郎をテーマにした展覧会が南青山と上野で同時に開催されているわけですが、どちらを観ようか迷う人はほとんどいないと思います。上野で「岡本太郎展」を観て、じゃ岡本太郎記念館で「岡本太郎の1世紀」も観た方がいいのか? そう迷う人がほとんどだと思います。

結論から言うと、「岡本太郎の1世紀」も一緒にどうぞ。住居兼アトリエであった岡本太郎記念館は岡本太郎の息遣いをその場から感じるような貴重な美術館です。

特に岡本太郎記念館未訪問の方はこの際ですから岡本太郎展とあわせて訪問してみてください。新しい発見などが必ずあると思います。

▲岡本太郎記念館のベランダから地上の人々を見つめていた「太陽の塔」。最近姿を見かけないなぁと思ったら、やっぱり岡本太郎展に出張していました。岡本太郎の作品ではないので展示室の外、エスカレーター脇にいました。

東京の次は愛知があるし、2023年4月まで南青山には帰って来られないのでしょうか。

岡本太郎の1世紀展 基本情報

名称 岡本太郎の1世紀
会場 岡本太郎記念館
会期 2022年7月20日(水) 〜 11月20日(日)
入館料 一般 650円、小学生 300円
予約 予約不要

岡本太郎記念館 基本情報

名称 岡本太郎記念館
住所 港区南青山 6-1-19 MAP
最寄駅 表参道駅
休館日 火曜日
時間 10:00 − 18:00

 

展覧会 岡本太郎 基本情報

名称 展覧会 岡本太郎
会場 東京都美術館(上野公園内)
会期 2022年10月18日(火) 〜 12月28日(水) ※月曜日休館
時間 9:30 〜 17:30 (金曜日は20:00まで)
入館料 一般 1,900円、大学・専門校 1,300円、65歳以上 1,400円
予約 日時指定予約制

最後に、岡本太郎展でも展示があった、宇宙人を岡本太郎がデザインした日本のSF映画「宇宙人東京に現る」。映画としては超B級ですが、参考までにどうぞ。

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