コンテンポラリーなアートスポットNADiff a/p/a/r/tがそれまでの名前を変え表参道から恵比寿に移転してきたのが2008年。そして恵比寿で15年を迎えたことで店舗をリニューアルしました。
以前は1階がアート関連の書籍、地階1階が展示スペースでしたが、リニューアルされギャラリーとしての展示スペースが拡充されました。
恵比寿には恵比寿ガーデンプレイスに東京都写真美術館や恵比寿ガーデンシネマといったアートスポットがあるのですが、NADiff a/p/a/r/tとMA2というさらにエッジの立ったスポットもあるのです。
建物の外観自体はほとんど変わっていません。
PR
ナディッフのはじまり
NADiff a/p/a/r/tは、池袋にあった西武美術館で「アール・ヴィヴァン」というショップを運営していた西武百貨店の子会社ニューアート西武が原点です。
西武が文化活動事業からの撤退を決め、ニューアート西武を解体することになったので、新しい会社を作ったのが現在のナディッフです。
働く従業員も業務内容もそのままだったので、名前も今までの「ニューアート西武」に因み、ニューアートを頭に、目的は「広める活動」=diffusion(普及)ですから、New Art Diffusion(ニューアートディフュージョン)略して「NADiff」という社名となりました。そして、1997年に新会社の本店として、表参道にショップをオープン。
そして2008年に恵比寿の今の場所に移転しています。恵比寿一丁目の店舗が本店ですが、東京都写真美術館(写美)や東京都現代美術館、それと水戸芸術館のミュージアムショップもナディッフです。
なお、諸事情があって今はCCCカルチャーコンビニクラブのグループ会社になっています。
恵比寿・本店
表参道のビル取り壊しに伴い、2008年に恵比寿へ移転してきました。
▲このNADiff/a/p/a/r/t 恵比寿・本店への行き方、実は道順がちょっと難しいのです。
興味を持って行ってみよう! と思った方、この記事を最後まで読んでくださいね。
店舗入り口には鳥居をイメージした赤い柱が立っています。この鳥居だけでなく、実はこの建物色々なこだわりがあるようです。それは現地に行って確認してみて下さいね。
▲以前はこの写真左側の壁に ”バンクシーかもしれない絵” が描かれていました。誤解を招きそうなので今は塗りつぶされていますが。
NADiff以外の2つのギャラリー
恵比寿に移転した当初はナディッフ以外に3つのギャラリーと1つのカフェが入っていましたが、現在はカフェだった4Fはオフィスとなり、2Fには「Sgùrr Dearg Institute for Sociology of the Arts(スクールデレック芸術社会学研究所)とスタジオスペース「PEOPLE」、3FにMEM(エムイーエム:Multiply Encoded Message)といったテナントが入っています。
スクールデレックは展覧会を年に1回行うかどうかという頻度ですがMEMは年に数回ほど展覧会を開催しています。
ナディッフ訪問時にはこの2つのギャラリーも忘れずにチェックしておきましょう。
PR
NADiff Gallery
ナディッフのビルの地下にはNADiff直営のNADiff Galleryがあります。
リニューアル後これまでの地下スペースに加え、1階にもギャラリースペースが設けられています。
ナディッフで開催された最近の展覧会は地下スペースだけでは収まりきらないことも多かったので、これからはスペースのことを気にしないで企画できるようになるのでしょう。
▲地下のギャラリースペースへは店内奥の螺旋階段から入ります。
▲窓のない小さい空間ですが、先鋭的な展覧会を常時開催しています。
これはこけら落としとして開催の加賀美健「ミニマリズム」展の様子です。
一見何もない空間に見えますが安心してください、ちゃんと作品が展示されています。
▲これは2018年7月に開催していたChim↑Pomの展覧会の時。
1Fの床、すなわち地下の天井に穴を開けてそこから水を流すというびっくりなインスタレーションを行っていました。
▲その時に1階と地下を結ぶ穴を穿ったのですが、取り出されたコンクリート片は今でも螺旋階段のところに展示されています。
Chim↑Pomもここで展覧会を行ったんだなぁと思い出してあげてください。
PR
NADiffの店内
建物は変わらずギャラリースペースが拡張されたということは何処かにしわ寄せがいっているわけです。
▲NADiff(ナディッフ)の本店として、国内外のアート雑誌、画集、写真集などアート関連書籍の種類は日本で一番と言っても過言ではなかったのですが、その書籍陳列スペースがバッサリ減らされています。
面積としては1/3ほどに減らされ書籍点数としては1/10くらいという感覚です。
CCCとしてはアート関連書籍ならオンラインで買ってもらうか、もっと広い代官山T-SITEに行ってもらいたいということなのでしょう。
▲あの書棚が並んでいたこの壁面もリニューアル後は展示スペースになっています。
美術書や海外の洋書にアートグッズなど、どっぷり現代美術に浸れる空間となっていたのですが、かなり様変わりしています
なお、店舗の入り口にベンチや椅子が置かれ壁や棚に日本中の展覧会の告知のポスターとフライヤーがあってちょっとしたアート情報コーナーなっているのは変わっていませんでした。
リニューアル前のナディッフの様子はこちらの記事に詳しいです。
PR
各階各ギャラリーの様子
上階の各ギャラリーへはエレベーターでも行けますし、階段でも行けます。
▲3FはMEMgallery。NADiff Galleryに次いで展覧会が多いです。
2Fは「PEOPLE」とSgùrr Dearg Institute for Sociology of the Arts(スクールデレック芸術社会学研究所)の二つです。
階段から上がると手前にPEOPLEあり奥にSgùrr Dearg Institute for Sociology of the Artsなのですが、これがちょっと入りにくい雰囲気です。
入り口側がどう見てもオフィスなのですが、そこは臆せず入っていくと奥にギャラリー空間がありますので、見逃さないようにしましょう。
▲ガラス扉を開けて奥へと入って行きます。
スクールデレックで開催される展覧会はどれも刺激的な展示が行われているので目を離せません。
ただ年に1回くらいしか開催しないんですよね。
▲以前開催されていたケネス・アンガー「アイコニック・メモリ」展。
アメリカのアングラ映像作家ケネス・アンガーが自身の映像作品を自身で写真にしたものを展示していました。今の感覚で見ても新鮮で強烈なビジュアルイメージを放つアンガーの作品展なんて他ではなかなか見られません。
PR
加賀美健「ミニマリズム」
NADiff a/p/a/r/t リニューアルのこけら落としは現代美術アーティストの加賀美健の個展「ミニマリズム」です。
会期は2023年9月12日(火)から9月24日(日)まで。もちろん入場無料です。
▲以前は書籍売り場だったところ、今はギャラリースペースの壁に”WALL PAINTING” というフレーズが描かれているウォールペインティング。「ミニマリズム」展の作品です。
駄洒落ですけどこれは加賀美健の芸風なのでしょうがないですね。
現代アートを皮肉る言葉が書き連ねてあって、これも「ミニマリズム」展の作品です。
▲そして地下のギャラリースペースにも作品が3点、展示されています。
写真ではよく分かりませんが、実際にナディッフに足を運べば「ミニマリズム」展のミニマムという言葉の意味そのままだということが判ります。
タイトルは “Screw N03” 。2023年制作の新作です。
PR
NADiff a/p/a/r/t の場所とアクセス
NADiffの近所では、スマフォを持ってうろうろしている人を見かけたり、はっきりナディッフという店を知りませんか? と尋ねられたりします。分かりづらい場所なんですよね。
恵比寿駅からの道順を紹介すると、まず恵比寿駅東口からドトールのある五差路の交差点へ出ます。
その交差点のルノワールと酒屋さんの間の道を入り直進。
タコの滑り台のある恵比寿東公園に突き当たったら右折します。この公園沿いの道をずーっと直進します。
▲上の写真のような電柱が見えてきたらもうすぐです。
この電柱の1本先の路地を右に入ります。
え!?行き止まりじゃないの?と感じても奥へ進みましょう。
突き当たった左手がNADiff a/p/a/r/tなのです。
最後の右折ポイントからお店が見えないので見逃しがちなのですが、恵比寿東公園沿いの道をずんずん直進して伊達公子さんのドイツパンのお店、フラウクルムまで行ってしまったらそれは行き過ぎですから要注意です。
この辺りまで来ると恵比寿駅周辺のざわざわした雰囲気はかなり薄れていて、落ち着いて食事やお茶を楽しめるお店も多くなります。恵比寿みたいな場末はちょっと苦手という方にも足を延ばして欲しいエリアです。
NADiff a/p/a/r/t 基本情報
店名 | NADiff a/p/a/r/t 恵比寿・本店 |
住所 | 渋谷区恵比寿 1-18-4 |
最寄駅 | 恵比寿駅、広尾駅 |
定休日 | 月曜日 |
営業時間 | 12:00 – 20:00 |
入場料 | 無料 |