勝どき橋(勝鬨橋)
銀座から築地を抜けた先、隅田川にかかる「勝どき橋」は日本でも最大規模の跳開式の可動橋。橋の真ん中から左右にガバっと橋桁が跳ね上がり、その間を船が通れる仕組みです。
建造から80年以上経ちながら今も現役どころか銀座と埋立地を結ぶ大動脈です。
その勝どき橋の心臓部とも言える運転室と実際に橋桁を上げ下げする機械室をほぼ誰でも参加できる見学ツアーが開催されています。
▲橋桁を跳ね上げるる(跳開)とその間は晴海通りを通行止めにしないといけなくて、そんなことをしたら晴海通りとそこに繋がる日比谷通りなど都心が大渋滞してしまいます。そのため定期的に跳開されていたのは1960年代前半まで。最後に跳開したのは1970年で、それ以降50年以上は開かずの可動橋となっています。
でも可動させるための機構自体は健在で機械遺産にも認定されています。
見学ツアーはパンデミックの影響で休止していたのですが、2023年1月から再開しています。機械好きの人はもちろん歴史好きな人、珍しいものが好きな人など絶対楽しめるツアーです。
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勝どき橋 橋脚内見学ツアー
勝どき橋のたもと「勝どき橋西」交差点の角には「かちどき 橋の資料館」という、勝どき橋の資料や関連情報を展示・公開する入場無料の施設があります。
そしてこの資料館では毎週木曜日にボランティアが案内する「勝どき橋 橋脚内見学ツアー」を開催していて、実際に勝どき橋の橋脚内に入り、橋桁(はしげた)を開閉する機械やそれを操作する運転室などを見学することができます。
この記事ではパンデミック前に見学した際の写真を使て橋脚内見学ツアーの様子を紹介します。そのため現在の見学ツアーとは細部で異なる部分があるかもしれません。
この見学ツアーの料金は無料ですが、1回の参加者は10名程度まで。それを超える場合は抽選になります。
さらに年齢的には小学生以上(小中学生は保護者同伴)、体重は100kg以下、身長は110cm以上という安全確保上の制限があります。体重、身長にまで制限ある理由は記事を読んでもらえば納得できると思います。
日時や申し込み方法など詳細はこの記事の最後で紹介しています。
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勝どき橋の外観
見学ツアーは毎週木曜日の10時からと13時30分から。各回とも約90分かかります。
少し早めに到着して勝どき橋の外観を見たり橋の資料館を見学しておくと、見学ツアー時の理解が早まります。▲築地側から隅田川対岸を見たところ。橋の全長は246m。自動車ならあっと言う間ですが歩けば3分くらいかかります。。
真ん中に橋脚が2つ見えます。この橋脚間の橋桁が跳ね上がってその間を船舶が通行します。
すぐ川下に新しい築地大橋が見えます。六本木ヒルズから築地大橋は見えるんですけど勝どき橋は見えないんですよね。
▲これは勝どき側から築地側を見たところ。歩道が広いので歩行者も安心して渡れます。
写真でその歩行者の先に見える建物が運転室。橋の上げ下げの制御を行う場所で、ツアーではその内部も見学します。
また写真のこの辺りには東京タワーとスカイツリーの両方が見えるスポットがあります。探してみてください。
今はロックされていて動きませんが、本来ならこの鉄板のところから橋桁が左右に跳ね上がります。
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右側が陸側の固定されている橋桁、左側が跳ね上がる橋桁です。
自己言及型という珍しいものです。
作動はしていませんが信号機が残っています。歩道側に付いているので人によってはトマソンに見えるかもしれません。
これは歩行者用のマーク。橋が開閉している間はこのマークより陸側で待ってくださいという印です。
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かちどき 橋の資料館
勝どき橋の見学だけで簡単に30分くらい経ってしまいます。
さらに「橋の資料館」でもやっぱり30分くらいは見学したいので、見学ツアーの最低でも1時間前には到着しておきたいですね。
橋桁を開閉するためのモーターは直流式なので、交流から直流に変換するための変電所の跡地を利用しています。
これを見ればどのように橋が開閉していたのかひと目で分かります。50年間閉じたままなので、実際に開いた勝どき橋を見たことがある人は少ないでしょう。
▲橋桁の重さは片側で約900トン。そこに約1000トンの重りを付けてバランスを取りながら開閉する仕組みなのだそうです。
左右に見える丸い大きな機械がモーターです。
これを回して900トンの橋桁を跳ね上げるのですが、重り(カウンターウェイト)が付いているので900トンをこのモーターで動かす訳ではなさそうです。パワーは1基あたり150馬力。意外と少ない気もしますがモーターはトルクがあるのでこれで十分なのでしょう。
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勝どき橋の運転室
さて見学ツアーの時間になったら紹介や説明などを受けてから見学開始。
隅田川を往き来する船舶と橋を利用する人や自動車の両方を見渡せるようになっているのでしょう。
また建物のサイドには船舶用と思われる信号機も付いてます。
▲運転士の中に設置されている運転台。
アナログメーターと多くのスイッチが並んでいます。もう完全に戦前の、20世紀前半の機械という感じです。
錆びついて固着しているように見えますが、ここにある機械は手入れさえすれば今でも動作するものばかりだそうです。動いていないけど動態保存されているということですね。
スイッチ類はむき出しのもので、これでガッちゃんとスイッチを入れたり切ったりしていたのでしょう。
1980年で送電が止められているので、これらの電源装置も最後に使われてから40年以上経っています。
▲天井からぶら下がっている風向計です。建屋上に風向計があってそこから繋がっているのだと思います。
80年前の最新ハイテク機器ですが電源機器はある意味枯れた技術でもあるので、今でも現役で使えそうな感じです。
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勝どき橋の橋脚内部
続いて勝どき橋の橋脚内部へ。
▲橋脚には開口部が設けられていてこのように隅田川の水面が目の前に見えます。
頻繁に観光船や水上バスが通るので手を振ってみましたが気付いてもらえないみたいです。
▲そして橋脚内の心臓部へはこのようなむき出しの鉄ハシゴを使って下ります。その高さは3.5m。
ハーネスを着用しロープで安全を確保しながらハシゴを下ります。そのために体重100kg以下(それ以上だとロープで確保できない)、身長110cm以上(それ以下だとハーネスが抜ける)という参加制限があるのです。
また手を傷つけないよう軍手が用意されています。
このような場所があるので女性のスカートは避けた方が良いですし、汚れてもよい服装で訪問するのが良いでしょう。
▲橋脚内部のほぼ全景です。3.5m降りたので位置的には隅田川のほぼ水面下になります。
そこにこんなに大きな空間があって、ここで合わせて2,000トン前後になる橋桁とカウンターウェイトをモーターの力で動かすのです。
動力は直流式の電気モーターですがいざという時は人力で動かすこともできるようです。
21世紀になった現代でもダムとかこうした大掛かりな機械装置はありますが、現代のそれにも引けを取らない装置が80年前から現役というのも凄いです、感動的です。
細かいところはアナログからデジタルへと変化していますが、基本のところはあまり変わっていませんし、何かあった時は安全側に振る仕組みになっていたり根本的な考え方も変わっていないような気がします。昨今のシステム全般についてのヒントにもなるんじゃないでしょうか。
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見学ツアーの最後に
80年前、錢高組による設計と施工が行われて完成した勝どき橋ですが、長い年月と戦争に耐え橋としては今も現役です。しかもその気になれば今でも動かすことができるというのが凄いです。
▲ロゴ入りの軍手はそのままお土産として持ち帰ることができます。
こんな見学ツアーが無料で体験できるのはうれしいですね。ただ平日木曜日ということで参加のハードルはやや高めです。
でも休みを取れるなら、例えば春先に隅田川の上流側の「隅田川テラス」の花見と併せて行くとかも良いと思います。
また築地市場は更地になってしまいましたが場外市場はまだ残っています。勝どき橋から徒歩3分ですので見学ツアーの前後にお昼やおやついうのも良いでしょう。
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勝どき橋の場所とアクセス
クルマの場合は晴海通りを真っ直ぐという一言で済むのですが見学ツアーの会場にもなる橋の資料館には駐車場がないので電車かバスでということになります。
一番近いのは日比谷線築地駅で1番出口を出てそのまま真っ直ぐ、築地4丁目の交差点を左に曲がって真っ直ぐで勝どき橋です。大江戸線の築地市場駅の場合はA1から出て真っ直ぐ進んで築地4丁目の交差点を右に曲がって真っ直ぐです。どちらも徒歩10分弱です。
橋脚内見学ツアー 基本情報
名称 | 勝どき橋 橋脚内見学ツアー |
開催日時 | 毎週木曜日 10:00〜、13:30〜 (各回90分) |
人数 | 毎回10名程度。応募多数の場合は抽選 |
料金 | 無料 |
対象者 | 小学生以上 (小中学生は保護者同伴) 体重 100kg以下、身長 110cm以上 |
申込方法 | 毎月1日〜14にホームページから翌月分を申込 22日にメールで結果通知 |
勝どき橋 橋の資料館 基本情報
名称 | 勝どき橋 橋の資料館 |
住所 | 中央区築地6-20-11 |
最寄駅 | 都営地下鉄 築地市場駅、勝どき駅。日比谷線 築地駅 |
入館料 | 無料 |
開館日 | 火・木・金・土 |
時間 | 9:30 − 16:30 |