令和の蔵出し
南青山の「岡本太郎記念館」では開館25周年の記念企画「令和の蔵出し」展が開催されています。会期は2023年7月13日から11月26日までの4ヶ月間。
岡本太郎が没して2年後の1988年に開館した岡本太郎記念館では、これまでの25年間で80本以上の企画展を開催しほとんどの収蔵作品が公開されてきたそうなのですが、題名が不明だったり、痛みが激しかったりの事情があって未公開だった作品が残っているそうです。
そうした作品を一挙に公開するのが今回の「令和の蔵出し」展です。
▲左の陶器は制作年不明、タイトルも不詳。
このように岡本太郎記念館が所蔵しているんだけど堂々とお見せできなかった・・そんな作品が並んでいます。
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岡本太郎と岡本太郎記念館
岡本太郎というと ”藝術は爆発だ!” のイメージばかり強調されがちですが、日本が生んだ偉大な芸術家ですね。
生命力に溢れる彼の作品は世界中のアーティストたちからも人気が高く、以前レディ・ガガが来日した際にも岡本太郎記念館を訪れ作品集を購入しています。▼
岡本藝術: 岡本太郎の仕事 1911~1996→ (小学館クリエイティブビジュアル)
¥3,190 (2025-03-18 07:10 GMT +09:00 時点 - 詳細はこちら価格および発送可能時期は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で当該の Amazon サイトに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます。)
また、この岡本太郎記念館は岡本太郎が亡くなるまでの42年間、住居兼アトリエとして使っていた建物を中心に美術館として公開されているもので、年間3本前後の展覧会が開催されています。
令和の蔵出し 第一展示室
いつものように650円を受付で支払いスリッパに履き替えて館内へ。
まずは2階へ上がって第一展示室から鑑賞です。
▲第一展示室では平面作品と立体作品。
習作のようなものから、なぜこれ公開されなかったのか不思議に思える作品まで。
点数はそれほど多くありませんが、かえっていつもの展覧会以上に時間をかけて鑑賞です。
かなり傷んでいます。
剥落した部分はきちんと収集、保存されているのですが、制作当時の写真資料がないので修復できないのだそうです。
傷んだ絵画とその破片、どちらも保存処理を施されたものの、復元されることなく永遠に時を過ごしていくのですね。
令和の蔵出し 第二展示室
第二展示室にも展示が続きます。
▲幅5.5m、展示室の壁一面を使って展示されているのは絨毯です。
タイトルは「群生」、1969年の制作だそうです。
▲他にも太陽の塔の原型や岡本太郎が関係した雑誌といった資料も展示されています。
これまで未公開だった秘蔵作品を観ることができたり、貴重な資料も見ることができて、展示点数こそ少ないけど岡本太郎に関心のある人には貴重な展覧会ではないでしょうか。
2022年に大掛かりに開催された「岡本太郎展」で岡本太郎を知った人、あるいは若い岡本太郎ファンにもオススメの展覧会です。
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サロンの岡本太郎
2階で「令和の蔵出し」展を観たら、次は忘れずに1階の「サロン」と「アトリエ」も観ておきましょう。
1回見たことがあるからいいやという人も見ておきましょう。なぜならサロンもアトリエも毎回展示内容が変わっているからです。
緑色の半袖シャツとパナマ帽という姿です。
このエリアも展覧会ごとに模様替えをしています。
▲この岡本太郎人形は2022年の7月20日、「岡本太郎の1世紀」開幕日のものです。
スラックスに半袖シャツに帽子という夏らしい装いの岡本太郎です。2023年も同じような装いでしたがシャツの色も帽子も違いますね。
実際に生前着ていたもので、ちょっと見えにくですがネクタイは岡本太郎デザインのもの。
定期的に衣替えしているので、訪れたびに何を着ているのかチェックするのも楽しみです。
軽やかなスタイルなので初夏って感じでしょうか。
▲もう一回、2023年夏の「令和の蔵出し」展での岡本太郎人形を。
とにかく展覧会のたびに服装や配置が変えられていて、”間違いを探せ” 状態なのです。これも岡本太郎記念館の展覧会に毎回足を運ぶ理由ですね
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岡本太郎のアトリエ
サロンの奥にある「アトリエ」も定期的に配置される作品が変わり、毎回異なる姿のアトリエを見ることできます。
▲2023年夏の「令和の蔵出し」展の時のアトリエの様子。岡本太郎が創作活動に勤しんでいたアトリエです。
中央のイーゼルに置かれた作品は特に記載はありませんがたぶん「令和の蔵出し」展のものです。毎回、その展覧会での公開作品の一部がここに置かれていますから。
また膨大な絵画作品が収蔵されているのが分かります。ほとんどの作品は川崎の岡本太郎美術館に寄贈されていて、この岡本太郎記念館には未完成作品などを主に収蔵しています。逆に創作の過程を知る資料はここにしかなくて貴重です。
▲これは2022年の7月20日、「岡本太郎の1世紀」開幕日のアトリエです。
「令和の蔵出し」展のときと比べ、展示されている作品や椅子が異なっているのが分かると思います。
毎回異なった展示がされているので岡本太郎記念館を訪問したら展示室部分だけでなく、サロンとアトリエも記憶と記録に刻んでおきたいですね。
ベランダの太陽の塔
さらに、岡本太郎記念館の庭とベランダにも作品が置かれています。庭は入館料を払った人だけが入れるので、記念館の中を鑑賞したら庭も忘れずに鑑賞していきましょう。
▲ベランダから顔をのぞかせ下を向いている太陽の塔。
岡本太郎の作品ではありませんが岡本太郎記念館のシンボル的存在です。
▲岡本太郎記念館のブロック塀に書かれたこれも岡本太郎の作品ではなく現代アートコレクティブのChim↑Pom(ちんぽむ)の作品です。
岡本太郎の1967年の有名な作品 ”殺すな” を彼らが再制作したもの。10年経って文字がだいぶ消えかかっています。消えてしまう前にきちんと見てメッセージを受け止めたいです。
岡本太郎記念館の場所とアクセス
青山通りから骨董通りに入り六本木通り方面に直進し、「クリントンストリートベイキング」の先の信号を左折します。
左折してSOUSOUを左にみながら一本目を右折すると左側にあります。
最寄り駅は表参道駅。表参道の交差点から徒歩10分くらいです。
令和の蔵出し 基本情報
名称 | 開館25周年記念「令和の蔵出し」 |
会場 | 岡本太郎記念館 |
会期 | 2023年7月13日(木) 〜 11月26日(日) |
入館料 | 一般 650円、小学生 300円 |
予約 | 予約不要 |
岡本太郎記念館 基本情報
名称 | 岡本太郎記念館 |
住所 | 港区南青山 6-1-19 MAP |
最寄駅 | 表参道駅 |
休館日 | 火曜日 |
時間 | 10:00 − 18:00 |