ジャズ喫茶の「Asylum(閉店)」、ソウルバーの「George’s」さらに表参道の「月光茶房」と紹介してきた音楽繋がりで今回は青山のライブハウス「青山 月見ル君想フ」を紹介です。
青山、六本木のライブハウスというと六本木の「ビルボードライブ TOKYO」や南青山の「ブルーノート東京」が有名ですが、それ以外にも大小様々なライブハウス、ジャズクラブがあります。
その中でもこの「月見ル君想フ」は音楽に限らず様々なパフォーマンスがラインナップされ、一番アバンギャルドで感度の高いパフォーマンスを体験できるライブハウスだと思います。
▲外苑西通りから一本裏の道沿いにある月見ル君想フ。
ライブハウスですが週末の昼間はウェディング会場としても使われています。
こんな場所でのウェディングも素敵ですね。
また、「Big Romantic Records」というインディレーベルも運営していたりと単なるライブハウスの枠を超えた活動もしています。
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月見ル君想フの店内
店内といっても普通のライブハウスですし、いろんなシステムも普通のライブハウスと変わりません。
▲雑居ビルの地下が店舗になっています。
この階段を下りたところが入り口です。
入り口から入ってすぐ左側にカウンターがあります。事前予約していれば整理番号を伝え前売り価格でチケットを買うか、当日なら当日券を購入というスタイル。
当然ですが1ドリンク700円も購入する必要があります。
▲郵便ポストにも可愛いロゴが。
この郵便ポストの前が喫煙所になっていますがそこで喫煙する人はほとんどいません。
みなさんマナーが良いから・・・ではなく、お店の中がほぼ喫煙可能だからです。
▲店内に入るとまずは2階席。といっても地上と同じレベルなので通常なら1階です。
ステージの向こう側に ”十五周年” という文字が見えるように、月見ル君想フは今年2019年でオープン15周年なのです。
開演前は丸いライトが当たっているように見えますが、ライブが始まればこれが満月になって気分を高揚させてくれます。
▲2階席(実は1階)から1階(実は地下一階)のフロアを覗いたところ。
左手がカウンターですね。
ここでドリンクを引き換えるのですが、C&Dで料理もオーダーできます。
フードメニューもあってタコライスとカレーがお薦め。開演まで時間に余裕をもって来場して、カレーなどでお腹を満たしておくのも良いと思います。
1階フロアは基本的にスタンディングですが、サウンドボードの後ろやフロア横がベンチになっているので、混んでいなければゆっくり座って鑑賞というスタイルもOKです。
▲店舗の入るビルにはこのようなポップな三日月がかかっていて、これが目印といえば目印です。
1階にはヘアサロンが入居はしていますが、基本的には南青山の住宅街の中です。
ライブ後に高揚した気分のまま大声で感想会したくなりますが、そこはぐっと抑えてキラー通りまで出るまで我慢です。
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ライブ!
今回久しぶりの月見ル君想フだったのは、アフリカはマリのバンド「Tamikrest(タミクレスト)」の来日公演を聴きに行ったから。
▲ライブが始まると、このように満月をバックにしたステージに変貌です。
Tamikrestはアフリカの遊牧民トゥアレグの人たちによるバンドです。
トゥアレグというとTinariwen(ティナリウェン)というアルジェリアのバンドが有名ですね。
同じトゥアレグの民なのにTamikrestがマリでTinariwenがアルジェリアと国が別れていることで分かるように、もともと国境線など関係なく生活していたトゥアレグが勝手に国境線を引かれ差別や迫害に遭ったりしたことがこの21世紀のレベル・ミュージック(Rebel Music)を産んだ背景です。
ちなみにTamikrestはフランスを拠点に活動しているそうです。
そのためステージに向かって右側の3人(ギターとベースとパーカッション)はマリ出身ですが、左側の2人(ギターとドラム)はフランス人です。
▲”砂漠のロック” のタミクレストの前座は ”雪原のロック” なアイヌのミュージシャンOKIにソロパフォーマンス。その前座を含めれば2時間を超える大熱演。
期待通りというか、それ以上に感動的な演奏でした。
特にびっくりしたのがフランス人コンビ。手数が多く煽りまくるドラムとそれに乗せられるかのようなノイジーなギター。まるでミッチ・ミッチェルとジミヘンを彷彿させるような演奏でした。
極東日本ツアーの最終日に相応しい演奏と盛り上がりでした。
▲お店の前に出ていた案内ボード。
日付を見てもらうと分かりますが即位の礼の前夜でした。
Tamikrestの人たち、あの格好で青山通りに出たら絶対職質されるだろうなぁという夜でした。
TamikrestもTinariwenも音楽のジャンルとしては日本ではほとんど認識されいませんが世界的には 「Tishoumaren」というジャンルになります。
”砂漠のブルース”、”Desert Blues” あるいは ”Tuareg Blues” と言った方が一般的かもしれませんが。
Tinariwenの方は1980年頃から音楽活動を始めたバンドで、ラジオから聴こえる欧米のロックなどを聴き手近にあったギターで見様見真似で出した音という感じです。
なのでプリミティブでありながらエモーショナルな、まさに ”砂漠のブルース” という音楽を奏でています。
それに対して活動を始めたのがもっと遅くTishoumaren第二世代ともいえるTamikrestの方は、インターネットを通じて過去から現在までの欧米の膨大な音楽を聴き込み、自分たちなりに消化した上で音楽を始めているので、音の引き出しが多いんですよね。
そのためTinariwenなどよりもっとロック寄りの音楽になってまさに ”砂漠のロック” と呼ばれるようになっています。
実際こうしてライブを聴いてみるとDesert Musicという根底があってのロックなんだと実感することができました。
▲Tamikrestは2010年のデビュー以来、数枚のアルバムを発表していますが日本のアマゾンでは最近のアルバムしか入手できないようです。
▲Tinariwenの方はさすがに知名度もあり歴史もあるので入手できるアルバムはもっと多いようです。
TinariwenにしろTamikrestにしろ、トゥアレグを巻き込んだ内戦などを体験しつつ、でも銃を持つ代わりにギターを持って世界を変えようとしているところが素晴らしくて、それが世界中の人の心を打つのだと思います。
60年代のサザン・ソウル、70年代のパンクやレゲエなどから続くレベル・ミュージックを21世紀の今でも奏でなければならないのが彼らなんですね。
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月見ル君想フ の場所
西麻布からならコーエー堂の横道を入って外苑西通りから一本裏側の道をひたすらキープして青山通り方面へ向かいます。
「甲賀」などやある通りより一本外苑西通り側ですからね。でもとにかく青山通り方面へ。
▲歩くこと15分ほどで月見ル君想フのビルの前に到着です。
あるいは西麻布からでも外苑前の南青山三丁目交差点からでも外苑西通り沿い、のりピーの元旦那の実家というかスキーショップジローのある交差点を表参道側(青山墓地の反対側)へ入って、すぐの小路を左に入ります。
▲その2,3軒目のビルが目的地です。
外苑前の駅からなら徒歩5分、表参道の駅からでも徒歩10分弱くらいです。
▲キャパ的には200人くらい入れば超満員になる小さなライブハウスですが音楽やアートが好きな大人に向けたラインナップが並ぶ貴重なハコです。
青山 月見ル君想フ
港区 南青山 4-9-1
定休日:不定
営業時間:14:00 – 22:00