まい泉通りの「月光茶房」
表参道と外苑西通り(キラー通り)を結ぶ ”まい泉遠り” 沿いのビルの地下にある喫茶店「月光茶房」。
▲この場所でのお店自体は30年以上、「月光茶房」としても20年近い歴史がある老舗のミュージック喫茶です。
メディアなどではジャズ喫茶として紹介されることも多いのですが、本当はヨーロッパのECMレーベルをメインに、フリーミュージックなどアバンギャルドな音楽もかかるミュージック喫茶です。
ファンも多い喫茶店だったのですが、数年前に店主の方の体調不良とそのリハビリで1年ほど休業したり、最近だとパンデミックで営業を自粛したりということもあり、2021年の春に惜しまれつつもいったん閉店。
でも嬉しいことに、2021年の夏から不定期ですが営業を再開しています。
▲表参道から原二本通りに入ったいわゆる ”まい泉通り” のど真ん中にあるのですが、近隣のおしゃれな店のようにテンパった観光客が押しかけることもなく、静かにコーヒーと音楽を楽しめるこだわりの喫茶店です。
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月光茶房の営業日
月光茶房の営業は不定期。
これは店主の年齢や体調を考慮してということで、残念ですがこれ以上営業日が増えることはなさそうですし、混んでいたら諦めてその日は引き上げるなど私たちも配慮しないといけないと思います。
▲広く営業日の告知をしている訳ではないので、通りかかってお店が開いていたらラッキーなくらいで訪問しましょう。
またSNSや電話などでお店に営業日を尋ねるのもNGです。
月光茶房の店内
店内はカウンターだけの小さな喫茶店です。
昔のジャズ喫茶みたいに私語禁止なこともなく、またオシャレなポップボサノバや軽快なポップ・ロックが流れるわけでもなく、ECMレーベルのアーティストを中心にした選曲を聴きながら、一滴一滴こだわって淹れたコーヒーをいただきます。
▲長ーいカウンターテーブルはL字型。
営業再開後の今は9席で営業しています。
▲窓際は後で紹介しますがレコード室です。
AVシステムとLPやCDが山積みになって店主が選曲してくれます。
▲壁際には様々なカップが並んでいます。
▲コンクリート打ちっぱなしの硬質な感じもECMの音に合っていますよね。
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月光茶房の壁に並ぶアルバムジャケット
月光茶房の壁にはいつも入れ替わりでアルバムジャケットがディスプレイされています。
▲このようにカウンター席の背中側壁際にはLPのジャケットが並んでいて、店主の気分やその時期のヘビーローテションなどでジャケットが入れ替わっているよです。
この写真を撮った時は、よく見ると一番右の青いのはThis Heatの1stアルバム。これはポストパンクでエクスペリメンタルなバンドですね。
ビリー・ホリデイともう一枚を挟んでAMM。イギリスのフリーミュージック集団です。さらにタキシードムーンの1stアルバム。
一般的なジャズ喫茶やロック喫茶とはもうチョイスが違っています。
▲右側はデレク・ベイリーとユージン・チャドボーンのライブ、左側はニュー・オーダーの1st。
うまく言い表せないですがこれらの音楽には通底するものがあるので、一見脈絡なくThis Heat 〜 ビリー・ホリデイ 〜 ニュー・オーダー 〜 デレク・ベイリーと並んでも、その音楽的なチョイスは一貫しているのです。
というのも店主の方はドイツの音楽レーベルであるECMレーベルの全カタログをコレクションされているという本物の音楽コレクター。「ECM Catalog」という書籍の執筆にも関わったというセミプロのような方なのです。
ECM catalog 増補改訂版/50th Anniversary
¥5,500 (2025-04-26 14:06 GMT +09:00 時点 - 詳細はこちら価格および発送可能時期は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で当該の Amazon サイトに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます。)
月光茶房のレコード室
窓際のもしかしたら特等席とも言える場所が月光茶房のレコード室です。
オーディオシステムとLP/CD、それと月光茶房の隠れキャラでもある「兎」が鎮座しています。
▲これがレコード室。LPレコード、CDそれに書籍などが納められています。
このオーディオシステムは英国スコットランドのLINN。
ただ店内に流れる音楽はすべてECMレーベルのものとは限りません。壁にディスプレイされるジャケットからも分かるように店主のお気に入りだったりその日の関心が向いた音楽だったりが流れています。
ちなみにECMレーベルのコンセプトは ”沈黙の次に美しい音” 。店内でお喋りしたりすると他のお客さんに嫌われちゃいますね。
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月光茶房のコーヒー
フリー、アバンギャルドな音楽と同様、コーヒーもこだわって淹れてもらえます。
一滴一滴時間をかけてゆっくり淹れる究極のサードウェーブコーヒーです。
お客さんの三分の一くらいはどうも同業者(喫茶店経営など)のようで、そうした人たちはじっと店主の手もとを凝視しています。音楽業界だけでなく喫茶業界でも注目の喫茶店のようです。
あと店主がKAWSのTシャツを来ているのもなにげに注目です。
どのカップをどのお客さんに出すか、雰囲気などで都度都度店主が選んでいます。
ネルドリップでじっくり落としたコーヒーは時間をかけていただきます。
▲カウンターの前に立つ黒い壁はコンロとの仕切り板。このコンロでドリップ前にフィルターを温めます。
カップはお湯で保温、ポットはヒーターで加温。つまりフィルター、カップ、ポットすべて適温に管理しながらコーヒーを淹れているのです。すごいこだわり。
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月光茶房のオレ・グラッセ
コーヒーはもちろん他のドリンクにもこだわりが感じられます。
以前から手間をかけて作っているなぁと感心していました。
▲これの作り方を見ていると、まずグラスにミルクを注ぎ、それを冷蔵庫にいれてグラスごとしっかり冷やしてからコーヒーを入れていました。
一杯毎にそれだけ手間をかけて作っているのです。
月光茶房のメニュー
再開前と比べメニューはシンプルになっています。
ケーキやビールがメニューから落ちて、今はコーヒーとティーだけのメニューです。
注目はその価格。ブレンドで600円ですが、あれだけこだわって手間をかけて、しかも表参道のこんな場所で600円はリーズナブルにもほどがある価格だと思います。
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月光茶房の店舗
月光茶房は所有するビルの地階を使って営業しているのである意味贅沢な作りをしています。
左は「Bibliotheca Mtatsminda(ビブリオテカ・ムタツミンダ)」。ここは店主が集めたECMレーベルの全カタログが納められている店主のプライベートルームです。
名前の由来はグルジア(現ジョージア)の山奥の教会にひっそり作らた図書館・・・をイメージでしょうか。
お店が暇なときはカタログを説明してくるそうですし、時々イベントも開催されているそうです。
また月光茶房が満席になると「Bibliotheca Mtatsminda」が待合室になって、そこで入店待ちします。私たちは入店待ちしたことはないのですが、むしろ「Bibliotheca Mtatsminda」に入れて羨ましいですね。
▲これは見ての通りの喫煙スペース。いちおう屋外ですしタバコはこちらでどうぞ。
月光茶房の場所とアクセス
表参道のまい泉通り沿いになります。
Apple Store表参道のところから原二本通りを入りとんかつまい泉の方へ。
そのまままいせん通りを真っ直ぐキラー通りへ向かって左側のビルの地下です。
ロータスも過ぎてプレッツカフェも過ぎて、「パンとエスプレッソと」の向かいのビルになります。
キラー通りからなら原宿幼稚園前の信号のところからまい泉通りを表参道方面へ向かい200mちょっとです。
距離的には外苑前からも表参道からも同じくらいですね。
▲そしてビルの入り口にはこのように小さな看板が。
▲1階はLattestというカフェですがそこは後回しにして階段を降りると月光茶房です。
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流れる音楽はECMを中心にアンダーグラウンドだったりアバンギャルドだったり、コーヒーも丁寧にこだわって淹れてもらえて、でもそれでも敷居の高さを感じさせずゆっくりできるし、普通に会話してもよいし、変に突っ張ることなくお客さんが時間を過ごせる大人の喫茶店です。
すっかり観光地化してしまった表参道ですが、こうした大人の遊び場がまだ残っているという意味でも貴重なお店です。
不定期営業になってしまいましたが、だからといって営業日が大混雑するわけでもなく、いつものように淡々と営業しています。ただ以前より本気のお客さんが増えたかなぁという感じはします。
月光茶房 基本情報
名称 | 月光茶房 |
住所 | 渋谷区神宮前 3-5-2 |
最寄駅 | 表参道駅 |
営業日 | 不定 |
時間 | 13:00 – |
閉店前の月光茶房
最後に、記憶に残す意味で閉店前の月光茶房の様子を紹介します。
月光茶房の店内
今と大きく違うのは店内の明るさ。
▲流行っていた明るいカフェへのアンチテーゼとして和の内装で「月光茶房」としてリスタートした当時の雰囲気を残しています。暗いです。
ただ向こうの窓際に見えるレコード室や兎は今と変わっていません。
コーヒーやオレ・グラッセ
閉店前のオレ・グラッセ、今より量が少なかったんですね。
▲これは閉店前のオレ・グラッセ。
作り方は今も変わらないのですが、今はもっと量が増えています。
シフォンケーキ
▲これはシフォンケーキ。
数も少なく、人気も高いシフォンケーキなので売り切れていることもしばしばです。
▲コーヒーとシフォンケーキ。
ジャズやアバンギャルドな音楽を聴きながらこだわりのコーヒーという贅沢な取り合わせ。
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月光茶房のメニュー
閉店前というかそれ以前はビールやサンドイッチのメニューもありました。
▲いつ頃撮影したメニューか覚えていないのですが、ドラフト・ギネスは2015年春で中止、サンセットピルスは2009年冬で中止、サンドイッチやソーセージは2014年12月でメニュー落ちだったそうです。
月光茶房の店舗
店舗まわりも今とは微妙に違っています。
▲これは2019年頃の店頭の様子。ちょうど店主がリハビリから復帰した頃ではないでしょうか。
当時は日曜日と月曜日が定休日でした。
この時は開店直後だったのでレコードがかかっていませんが、LPやCDをかけているときは外からも分かるようにジャケットが置かます。
▲これは店外の看板。月光茶房と並んでビブリオテカ・ムタツミンダの看板が出ています。
ECMのコレクションもありますし、海外からのお客さんも多そうですね。
月光茶房 基本情報
名称 | 月光茶房 |
住所 | 渋谷区神宮前 3-5-2 |
最寄駅 | 表参道駅 |
営業日 | 不定 |
時間 | 13:00 – |