ノアビル ー 孤高の建築家白井晟一の手による飯倉のランドマーク

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ノアビル

飯倉の交差点にそびえ立つ黒く円筒形の怪しいビル、それがノアビルです。

15階建てでそれほど高いビルではありませんが桜田通りの坂の頂上付近に位置しているため、どの方向から見ても実際以上に高く見えます。

そのため1974年に完成してから、場所のわかり易さと外見的な特徴からこの場所のランドマークとして機能しています。

▲ただ実際はテナントに飲食店もない単なるオフィスビルで一般の人が入る機会もまずないことから、誰もが知っているけどそれが何かを知らないミステリアスなビルとして語られることが多いようです。

▲これは桜田通りの神谷町側から見たノアビル。

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ノアビル内のフィジー大使館

ノアビルのテナントのうち一般人が行くなら「在日フィジー共和国大使館」のある階が最適です。

もちろん大使館の中には用件がなければ入れてもらえませんが、大使館のあるフロアのロビーにはフィジーの観光資料などが置かれているので、それを取りに自由に行くことができます。

▲これはフィジー大使館の来客帳ですね。

外側から見ると窓がほとんど無いように見えるノアビル。それが逆にミステリアスな、秘密結社の基地のような雰囲気を醸し出しているのですが、でも当然窓はあります。

ノアビルからの眺望

アメリカンクラブに元麻布タワー。そして遠くには富士山も見えます。
15階建てなので上層階はさすがに高さのある景色を眺めることができます。

そして、この窓のある側から外を見ると。ノアビルの形状が実はかなり複雑であることが判ります。決して単なる円筒形のビルではないのです。

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アーチだらけのノアビル

交差点側からノアビルの入口を見てみると・・・

▲レンガ造りのアーチ型入口。

ここから御影石の階段を登りドアを開けて中に入ります。
ここで後ろを振り返ってみましょう。

▲アーチはそのままですが、外の景色が見える! ・・・でも何かおかしい・・・
種明かしをすると、アーチ型に空いた部分からは外の景色がそのまま見えていますが、アーチの左右の部分はガラスに反射して外の景色が左右対称で見えています。
黒っぽいガラスを使ったことで外との明暗差によってはほどんと鏡のようになるからですね。

▲ビルの中にも入るとまたこのようなアーチ型が現れました。

▲それにしても、1974年という時代にこのような凝った、今でも異形と認識されるデザインがされていたのはすごいですね。

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設計者の白井晟一

このノアビルを設計したのは白井晟一(しらい せいいち)という建築家です。
独特の感性が特徴で決して主流ではない異端の建築家かもしれません。

▲戦前にベルリン大学の哲学科で学びましたが建築を学んだことはなく、哲学科出身ということからくる感性を建築に反映させているため、存命時からカルト的な評価を得ていたようです。

都内では松濤にある「渋谷区立松濤美術館」も白井晟一が設計を手掛けたことで知られています。

▲こうして松濤美術館の入口とノアビルの入口を並べてみると、アーチや石と金属の組み合わせなどその類似性がよくわかると思います。

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白井晟一入門

その松濤美術館で2021年10月から2022年1月30日までの会期で「白井晟一 入門」という展覧会が開催されています。

これは松濤美術館の開館40周年記念行事の一つで、2021年12月までの第1部と翌1月の第2部との二部構成になっていて、白井晟一の全体像が把握できるような展覧会になっています。

第1部では設計図や資料などの展示が行われ、そして第2部ではがらんどうの美術館自体を展示物と見なして美術館を鑑賞するという展覧会です。

▲ノアビルは白井晟一の代表作なので、1/50の大きな模型も一番目立つ場所に置かれています。

レンガの基盤の上に黒い楕円形の建物が建っているのが模型でみるとよく分かりますね。

▲横から見るとゲーム機みたいにも見えます。

また特徴的な黒いタワーの背後にも建物が連なっているのが模型だとよく分かります。

この模型が制作されたのが10年近く前なので現在の周囲の状況とは少し異なりますが見慣れたノアビルをこうして見られる良い機会です。

▲今回の松濤美術館での白井晟一展で初めて知ったのがこれ。

ノアビルの ”N”(オーナーの頭文字でもあるそう) が刻まれた石。お地蔵さんがあるべきという白井晟一の想いで作られたものだそうです。

何かあるのは知っていたけどお地蔵さんだったとは。

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▲このビルの前を歩いて通りかかっても不思議なビルだなぁくらいにしか思いませんが、実はその不思議さも調べてみると理由があるのですね。
時には会社の人の仕事のお邪魔にならない程度にノアビルを探検してみるのも面白いかもしれません。

ノアビルの場所と行き方

このノアビル、桜田通りと外苑東通りが交わる「飯倉交差点」の角に建っています。

自動車を運転する人にはお馴染みの交差点ですね。電車の場合は、日比谷線神谷町駅、大江戸線赤羽橋駅それと六本木駅が最寄りです。

六本木からなら外苑東通りを東京タワーの方に歩いてロシア大使館の先になります。六本木の交差点から徒歩10分くらい。

神谷町や赤羽橋の駅からなら、桜田通りを飯倉交差点方面へ歩けば徒歩5分くらいで到着です。

ノアビル

港区区麻布台 2-3-5

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