ジョンとヨーコの展覧会「ダブル・ファンタジー展」 at ソニーミュージック六本木ミュージアム

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DOUBLE FANTASY John&Yoko

六本木の「ソニーミュージック六本木ミュージアム」で開催中の「DOUBLE FANTASY John & Yoko」を紹介します。

Johnはビートルズやその後のソロ活動でファナティックなファンも多いジョン・レノン。
Yokoはコンセプチュアル・アートで有名な日本人前衛芸術家のヨーコ・オノ。
説明不要な20世紀の偉大なアーティストカップルです。

そして2018年から2019年にかけてジョンの故郷リヴァプールのリヴァプール博物館で開催されたジョンとヨーコの展覧会が、今回はヨーコの故郷である東京で開催されることになりました。

2020年はジョンの生誕80年、没後40年の区切りの年。
そういう訳でこの展覧会もジョンの80回目の誕生日である2020年10月9日開幕です。

もちろん10月9日のジョンの誕生日&展覧会初日に訪問したかったのですが、平日で都合が付かず翌10月10日の土曜日に訪問しました。

直前にチケットを予約購入したのですがどの時間帯も選択することができました(土日祝日は時間指定の事前予約が必要です)。
また台風の影響でかなり大雨だったのでそれもあって人も少なく入場待ちもなし、館内も閑散としていました。

もちろんジョンの命日である12月8日前後やクリスマスの頃は絶対混雑すると思います。

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アーティスト、オノ・ヨーコ (Yoko)

オノ・ヨーコに対する一般的なイメージは、70年代だったら訳のわからないサウンドをバックに絶叫している出たがり女性、90年代以降だとショーン・レノンの怖いお母さん、その後は青臭いメッセージを出し続けているサングラスのおばあさん。みたいな感じですが、この展覧会ではそんなオノ・ヨーコの本当の姿を目の当たりにすることができます。

ヨーコの有名なメッセージ。
”ひとりでみる夢はただの夢、一緒にみる夢は 現実になる”

このようにヨーコの前半生が貴重な写真や有名な写真、それとキャプションで紹介されています。

▲そのフレーズが最初に登場した「グレープフルーツ」の訳書と、歌詞としても登場する「ほぼ無限の大宇宙」。

60年代前半に産まれたフルクサスにも関わり、コンセプチュアル・アートの先駆者でもあったアーティストとしてのヨーコがよく分かる展示になっています。

今の時代なら彼女の表現やメッセージが一般にも理解できるのですが、半世紀前に ”日本人の女性” として活躍していたのは凄いとしか言いようがありません。やっと時代がヨーコに追いついたのだと思います。

▲「白いチェス・セット」と「You Are Here」。どちらも1968年の作品展を再現したものです。
また、ジョンの「Mind Games」収録の名曲「You Are Here」もこれを元にしたものでしょう。


また、このチェスセットは映画「Imagine」の中にも登場します。

▲「踏むための絵」。初出は1960年! 1968年にも再現されていて、これが何回目かの再現です。

これはインストラクション・アートで、インストラクション(指示書)に従って観客が実際にパフォーマンスしたり、頭の中でパフォーマンスを想像して楽しむものです。
ヨーコからのインストラクションは

キャンパスまたは完成した絵を
床に、あるいは道に置きなさい。
1960年 冬

▲ということで踏んでみました。

日本の踏み絵からインスパイアされた作品です。

もちろん踏んで問題ないことはミュージアムにも確認しています。そういう作品ですものね。

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▲もしかしたらこの展覧会最大の目玉作品。「天井の絵」の再現。
はしごを登って虫眼鏡で天井のキャンパスを見ます。

そこに書かれているのは ”YES” という究極にポジテイブな言葉。
これにジョンは打ちのめされ、ジョンとヨーコを結びつけることになった作品です。

当時ビートルズの周囲には有象無象の自称芸術家たちが群がっていたと思いますが、そんな連中とは違う ”本物” に出会ったんだからジョンにとっては衝撃だったでしょう。

金槌がぶら下がっている左側の作品は「釘を打つための絵」。

▲そしてこれは「リンゴ」。
成長と死と種で生命の循環を表現した作品です。

▲これもインストラクション・アート作品。
その中には ”Cloud Piece” という作品があります。

雲が滴り落ちることを想像する。
その雲を入れる穴を自分の家の庭に掘る。

▲そのインストラクションを実行した作品は日本国内にいくつかあるようですが、これは東京都現代美術館の前庭にあるものです。
雲が写っていればよかったんですけどね。

▲これは東京都現代美術館の常設展でのオノ・ヨーコ作品。東京都現代美術館ではヨーコの個展がすでに2回も開催され、コレクションも充実しています。

このインストラクション・ペインティングは “YES”, “REMEMBER” そして “IMAGINE”
ジョンの曲作りへの影響も伺えますし、ヨーコがIMAGINEの共作者として名を連ねることに異論を唱える人人は今やもういないでしょう。

2020年の今でも通じるオノ・ヨーコの先進性が実感できる展示でした。

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John & Yoko

どちらかというヨーコの作品が大きくフィーチャーされた前半部でした

この展覧会の特徴は、2人の経歴を当時の写真とキャプションと映像で紹介し、重要なものは現物や再現作品を展示するというものです。

熱心なファンは見慣れた写真や映像と知っている情報が多いので物足りないと感じるかもしれません。でも、これまで公開されていなかった品々などの現物もいっぱいあるので、最後には2,500円という高額な入館料も納得です。

▲現物の例えばこれ。ジブラルタルで婚姻届を出した時に2人が来ていたジャケットとスカートです。

何万回も目にしたはずのあの写真ですが、そこに写っている現物が目の前にあるとやはりおおっとなりますね

▲ジョンの有名な丸メガネ。

映画「僕たちの戦争」出演の際に使って似合っていたので、その後はジョンのトレードマークにもなりました。
これも実物を見ることができます。


▲2人で開催した展覧会での作品。
この新聞を模した作品には上の方に ”新聞を読んだら燃やしなさい” というインストラクションが書かれています。

今ならバンクシーが言いそうなフレーズですが、これは彼女の詩集「グレープフルーツ」からの引用です。ちなみにその「グレープフルーツ」のあとがきでジョンは ”今まで燃やした中で一番偉大な本だ” と書いています。

▲これは1971年の個展のポスター。

ヨーコとジョンの顔が交互に並ぶデザインはフルクサスの創始者ジョージ・マチューナス。

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70年代のJohn & Yoko

正式に結婚したジョンとヨーコは自らの知名度を生かして様々な社会的メッセージを発信していきます。

普遍的な問題やティピカルな問題を自分たちの個人的な問題とリンクさせて表現していたこの時期はまさにアートの理想を体現していた時期ですね。

▲有名なベッドイン

▲ジョンがベッドの中で弾いていたGibsonのギター。

自筆のイラストが可愛いです。

▲ベッドの中で歌っていたのは ”平和を我等に Give Peace A Chance”
”We Shall Overcome” に代わるモダンなプロテストソングを書こうとして実際に書けてしまうのが才能です。

”Drove from Paris to the Amsterdam Hilton 〜♪” というのはビートルズの ”ジョンとヨーコのバラード” の一節です。

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日本の過激派のヘルメットを被って二人でシングルをリリース。

ヨーコの “Open Your Box” という曲とタイトルはまさにフェミニストなヨーコの真骨頂です。
「Woman Power」というそのものズバリな曲もありますが、1970年の時点でこのように女性性を全面に打ち出しているところが平凡な社会的メッセージと違うところですね。



▲1973年に日本限定で発売されたヨーコのシングル ”女性上位ばんざい”。

その後キョンキョンこと小泉今日子がカバーしたりしていますね。
今回のダブルファンタジー展に合わせて当時の7インチシングルという形態で復刻発売されています。

▲1971年のジョンとヨーコ。
このアーミージャケットに憧れた人も多いんじゃないでしょうか。

▲あまりに有名な、ジョンが着ているリンガーTシャツのノースリーブタイプ。

ちなみにこれ、写真家のボブ・グルーエンがジョンにプレゼントしたものだそうです、

今も強烈なメッセージとして伝わる ”War is Over!”。
そしてこの後、ジョンは失われた週末に入っていきます。

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1980年

できれば1980年12月8日の夜の出来事はなかったことにして、パンク、ニューウェーブな時代のジョン・レノンや、その後のジョン・レノンを聴いてみたかったです

▲展覧会の最後の方に展示されているIMAGINEのモザイク。

これも乗ったり触ったりすることができます。

空いている今なら独り占めして好きなポーズで写真を撮ることができますよ。

▲これはニューヨークのセントラルパークにある本物のImagine Mosaic。911の前か後か記憶が定かでないけど、20年ほど前に訪問した時のものです。

訪れた人はみんなこうやってジョンや銃が原因で亡くなった人を偲んでいます。

▲実はセントラルパークの中には ”Strawberry Fields” という一角があるのです。

今も多くの人がここを訪れ、IMAGINEモザイクの辺りでジョンを偲んでいます。

▲Strawberry Fieldsから72丁目通りに出ると目の前がダコタハウス(ダコタマンションとも)です。

ジョンとヨーコがニューヨークでの日々を過ごしたマンションです。

▲これがその入口。

ここに立つだけで胸がいっぱいになってしまう人も多いでしょう。

「ダブル・ファンタジー展」、ジョンの記憶に残る第二次世界大戦の微かな思い出から1980年まで、2人の歩みをもう一度再確認し、新しい発見もある良い展覧会でした。

最後はこのジョンのイラストで。

日本語を勉強していたジョンがローマ字で日本語を書いています。

OWARIMSAU ・・・ FINISH

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ソニーミュージック六本木ミュージアムの場所とアクセス

”ソニーミュージック六本木ミュージアム” なんて聞いたこともないという人も多いでしょう。少し前まで ”スヌーピーミュージアム” だった場所です。そしてその前は・・・あれ、思い出せない。

スヌーピーミュージアムだった頃も運営はSME(ソニーミュージック)だったので、実際は単に看板を掛け変えただけです。

六本木でも鳥居坂の真ん中辺りなので地元の人以外があまり馴染みがないかもしれませんね。近くに区役所の麻布支所があるので選挙などで地元の人はしょっちゅう行くのですが。

六本木の駅からなら外苑東通りを飯倉の方へ向かい、ロアビル(工事中)の角を右へ曲がります。ウルフギャングも過ぎ、麻布支所も過ぎて東洋英和女学院の向かいがソニーミュージック六本木ミュージアムです。
ちょっと距離はありますが徒歩10分弱でしょうか。

もっと近いのが南北線の麻布十番駅から歩くコース。
7番出口出て鳥居坂下の信号を右に曲がって鳥居坂を上ります。シンガポール大使館を過ぎて国際文化会館を過ぎて、東洋英和の向かいです。徒歩5分もかからないのですが、鳥居坂の上りがけっこうきついです。

麻布十番側からなら、国際文化会館のカフェで時間を調整するのもありです。

さらに近いのはちいばすでしょう。ヒルズから田町ルートに乗って東洋英和女学院前で降りるか、けやき坂から麻布東ルートに乗って麻布総合支所前で降りればどちらもすぐです。

ともかく、2,600円という入館料と鳥居坂というよく分からない場所ということでどうしようか悩んでいる人、ジョンのことは何でも知ってるファンの人、愛と平和だけがジョンじゃないぞというコアな人もみんな楽しめると思います。

DOUBLE FANTASY – John & Yoko

会期 : 2020年10月9日(金) – 2021年1月11日(月)
開館時間 : 10:00 – 18:00、10:00 – 20:00(金・土)
休館日 : 12月31日&1月1日
入館料 : 当日2,600円、前売2,500円(一般)
土日祝は時間指定予約

ソニーミュージック六本木ミュージアム

港区 六本木 5-6-20

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ジョンゆかりの場所と品々

普通ならここで終わりだけど、最後にジョンゆかりの品を場所をいくつか紹介します。

万平ホテルとロイヤルミルクティー

▲軽井沢万平ホテルの「ロイヤルミルクティー」

ジョンは英国人なので当然ながら紅茶を飲みます。

そんなジョンが軽井沢滞在中、つまり万平ホテル宿泊中に、ホテルの料理人に作り方を教えてくれたジョン直々のロイヤルミルクティー。今もジョンに教わったレシピのまま当時と変わらぬ味で飲むことができます。

▲同じく万平ホテルのピアノ。

ジョンはすっかりこのピアノを気に入り、欲しがったそうです。

▲軽井沢滞在中のジョン・レノン一家。

左からヨーコ、ショーンそしてジョン。

離山房

▲軽井沢に滞在中のジョンとヨーコがショーンを連れて訪れた軽井沢のカフェ「離山房」の裏庭にある木。

ショーンの背の高さを測った木です。
どのくらいの身長だったか・・・これは実際行って見るに限りますね。

フランスベーカリー

▲こちらは「軽井沢フランスベーカリー」さんのフランスパン。
”あの人も買いました!!” とPOPにある ”あの人” ってジョンのことです。
ここは万平ホテルからもほど近く、自転車で気軽に買いに来ていたのでしょうね。

浅野屋や沢村の方が都内にも店舗があるため知名度が高いと思いますが、軽井沢のここにしかお店がないフランスベーカリーもどうぞ。

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