おかえりなさい The Okura Tokyo (ジ・ オークラ 東京)

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惜しまれつつクローズしたホテルオークラ本館がようやく帰ってきたので、早速行ってきました。

新しくなったオークラはThe Okura Tokyoというのが正式名称です。

新しいthe okura Tokyoの設計は元々のホテルオークラ本館を設計した谷口吉郎の息子である谷口吉生が設計しています。

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The Okura Tokyoは2棟のビルから成り立っています。

左が 17F建のThe Okura Tokyo ヘリテージウィング、正面が41階建のプレステージタワーです。▼

プレステージタワーの8F-25Fはオフィスフロアです。▼

プレステージタワーのロビーフロントは5Fです。▼

ホテルオークラ本館ロビーが取り壊されることが発表された時、国内外から取り壊しを反対する声が数多く発表されました。

それもそのはず1962年竣工のホテルオークラ東京は「日本モダニズム建築の最高傑作」と言われていたからです。

casa BRUTUSは「なくならないで、私のオークラ! MY MOMENT AT OKURA」というWebサイト上で世界中のクリエイターの惜しむ声を掲載しています。

またイギリスの雑誌monocleは、「Save the Okura hotel」(現在閉鎖)という署名サイトを立ち上げて取り壊しに反対をする運動をしました。

しかし、そんな運動があったにも関わらずホテルオークラ本館は取り壊されてしまったのです。

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ですが!息子谷口吉生に託された新しいオークラには、旧本館ロビーフロントがそっくりそのまま再現されているのです。▼

オークラの象徴と言われるオークラランターンに、梅の花を模したテーブルセット、床も麻の葉模様の組み木も全部、そのままではないですか。

本当に再現されている!

新しいけど懐かしい!

レプリカではなくリデザイン!

いろんな言葉が頭の中をぐるぐる駆け巡りました。けれど「お帰りなさい」これが最もこの空間にふさわしい言葉でした。

旧ホテルオークラ本館ロビーのアイコン的存在のオークラランターンは古墳時代の装飾玉の切子玉形を由来としています。▼

▼上から見ると、漆仕上げのテーブルが梅の芯に、5つの椅子が花弁のように見えるテーブルセット。

麻の葉紋の木組み格子は一つ一つ木を組んでいるのです。まさに工芸品!▼

花台もそのまま▼

東洋でよく育つ竹は日本にはなじみの深い植物です。

障子越しに透けて見える窓外の竹はまるで墨絵のような趣。この竹も当時のまま美しい姿で再現されていました。▼

六大陸各都市の時を刻む世界時計も蘇りました。▼

四弁花が織り込まれた壁面。四弁花とは日本固有の蘭の花をさします。▼

この照明は谷口吉郎設計の迎賓館赤坂離宮の和風別館「游心亭」でも使われているものです。▼

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こちらが金沢の谷口吉郎・吉生記念金沢建築館の中にスケールそのまま再現した迎賓館赤坂離宮の和風別館「游心亭」の写真です。

同じ照明が使われているがわかります。▼

美しいですね。

ここも新築の建築館の設計は吉生氏で、その中に吉郎氏の和風別館「游心亭」をそっくりそのまま再現しています。

The Okura Tokyoもこの金沢建築館も吉郎氏の建築を吉生氏の建築で包みこむという斬新な試みなのです。▼

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The Okura Tokyo の写真に戻ります。

梅の花のテーブルセットと同じ椅子は旧本館ロビー同様2Fの回廊にもセットされています▼

照明はLEDに変更されたもののオークラランターンの美しさは相変わらずです。▼

階段の美しいこと。正面の金の壁の裏面に旧本館についての解説があるので必ず見てみましょう。

解説パネルの一部です。▼

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この美しい階段は谷口吉生らしいです。▼

EVホールの菱くずし文様も。

新潟の溝口家の家紋で、娘が喜七郎と結婚する際、五階菱が大倉家の家紋となったため多用された。旧オークラではエレベーターの扉に菱くずし文様が描かれていました。

菱くずし文様は大倉喜八郎(喜七郎の父)の向島別邸の襖に由来します。▼

プレステージタワーEVホール

金色と木目が美しい▼

よく見ると扉には麻の葉紋が彫り込まれています。なんと美しい事!▼

プレステージタワーからヘリテージウイングへ向かう地下通路です。▼

ヘリテージウイング1F、壁には旧本館オーキッドバーにあった蘭花照明▼

ヘリテージウイングは完全に谷口吉生設計の空間ということになります。

しかし、旧本館の様々なものが移設されているので、旧本館の面影を感じるデザインになっています。

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正面の作品は京都西本願寺に伝わる国宝である、平安時代の和歌帖『三十六人家集』を手本とした旧本館「平安の間」の壁面装飾が移設されています。▼

藤の花をイメージしたガラス装飾が美しい〜▼

カウンターバックにあるのはオークラ東京別館にもある錦を張り交ぜた装飾で仕上げた「錦張り」の作品▼

奇しくも金沢にオープンした谷口吉郎・吉生記念金沢建築館を訪れたばかりだったので、非常に感慨深いものがありました。

建築館はある意味ホワイトキューブですし、谷口親子の記念館なのでOkuraに比べると谷口氏の希望が通りやすかったのではないかと推測します。

しかし、ホテルとなると様々な制約や条件、そしてOkuraの要望やブランドイメージをクリアしなければなりません。

その中でここまで完璧な空間を作り上げたという事に驚嘆と共に感動を覚えました。

ぜひ、金沢の建築館と共に新しくなったThe Okura Tokyoへ出かけてみてください。

期待を裏切らないどころか、更に上をいく空間が待ち受けています。おすすめです。

The Okura Tokyo

東京都港区虎ノ門2-10-4

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