国立代々木競技場
東京オリンピック2020とパラリンピックが開催された東京都心では、国立競技場と国際フォーラムの他にもうひとつ「国立代々木競技場」でハンドボールなどの競技が行われました。
国立競技場周辺や国際フォーラム周辺の交通規制についてはレポートしたので代々木競技場についてもレポートしたいところですが、こちらはほとんど規制らしい規制がありません。
▲2021年4月1日から代々木競技場は門が閉鎖され敷地内へ立ち入ることができません。
この規制は10月31日まで継続する予定です。
また周辺の道路は駐車禁止を徹底するくらいで一方通行、進入禁止などの規制はないようです。
規制についてのレポートは以上なので、代々木と言えば丹下健三、丹下健三の代表作といえば代々木競技場というくらいの、国指定の重要文化財である第一体育館と第二体育館を紹介します。
PR
代々木第一体育館
▼前回1964年の東京オリンピックでは水泳が行われたのが第一体育館。
建築家 丹下健三の代表作で日本の戦後モダニズム建築の傑作と評されている建築物です。
▼とにかく特徴は吊り橋と同じ仕組みで屋根を吊って支えていること。
▼こっち側の柱と向こう側の柱から屋根を吊っているので、建物の内部には柱がありません。
内部に柱がないので、観客席からフィールド(プール)の視界を遮るものがなく競技者も観客も競技に集中できる、アスリートファースト、オーディエンスファーストな構造です。
▼屋根を吊るケーブルの太さは1本50.8cm。そのケーブルが2本使われています。
敷地の端にケーブルを繋ぎ止める土台があるので、そこでは実際のケーブルの太さを間近で見ることができます▼
▼土台のところから屋根の方を向くと、ケーブルを支える柱とケーブルから吊り下がる屋根が見えます。
ここから見ると吊り橋とほとんど同じですね▼
その半円形の屋根が2つ、ずらして組み合わせっているのでなんとも微妙な曲線が生まれています。
こうした美的センスが一流の建築家のものだなぁと感じさせます▼
▼横から見ると建物自体が南北に傾いていることが分かります
(写真左が南です)
代々木に泳ぎに行ったり(もうプールはありませんが)スポーツ観戦に行った時はあまり着にしていませんでしたがこうやってじっくり見ると半世紀前とは思えないモダンな建物に圧倒されます▼
▼南側は基礎になる部分が高くなっているので、屋根の形状とそれが作り出す曲線は南北で微妙に異なっています。
ケーブルと柱と屋根というところは原宿プラザ側から見たのと全く同じです。
内部の写真があればよかったのですがもう随分訪問していないので残念がらありません。
でも外から眺めるだけで、前人の遺したまさにレガシーを見て取ることができると思います。
PR
代々木第二体育館
▼第一体育館の南西側にあるのがやや小ぶりな代々木第二体育館です。
収容人数は第一体育館が約13,000人に対して第二は約4,000人ですから規模的には1/3です。
第一が柱2本でその間にケーブルを通し屋根を吊っていますが、こちらの第二は柱が1本だけ。
そこから半円状に屋根を広げています。上から見ればカタツムリみたいに見えるはずです。
▼第二体育館も近くからその屋根の曲線や屋根を吊る柱の力強さを堪能したいですね。
東京2020のオリンピックではハンドボール、パラリンピックではバドミントンと車いすラグビーの会場になります。
代々木で丹下健三の名建築をじっくり見たので、近隣の丹下健三作品も紹介します。
PR
丹下健三の建築
▼三田のクウェート大使館。
取り壊すか改修して保存するか揺れ動いていますが、この丹下健三らしいと言えばらしい、らしくないといえばらしくないユニークな建物は必見です。
三田の聖坂(ひじりざか)にあって「蟻鱒鳶ル(ありますとんビル)」のすぐ近所なので一緒にどうぞ。
▼期間限定ですが、今は向かいのマンションが取り壊され再開発中なので、クウェート大使館の全景を眺めることができます。
▼青山の「草月会館」も丹下健三の手になるものです。
全面ガラス張り、そして内部に広がる大空間が見どころです。
新宿の東京都庁(これも丹下健三です)落成の翌年にできたのがこちら。
丹下健三晩年の都庁ビルと同じような権威主義的にも感じるゴシック風建築です。
もし丹下健三や都心の建築物に興味があれば「麻布・白金・青山の名建築を巡ってみよう」も読んでみてください。
国立代々木競技場
渋谷区神南 2-1-1