森美術館開館20周年記念の展覧会「私たちのエコロジー」。環境問題をはじめとする様々な課題について考えてみよう(閉幕)

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私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために

六本木の六本木ヒルズ53Fの「森美術館」は2023年で開館20周年。それを記念した展覧会「ワールド・クラスメート」に続く20周年記念展の第二弾「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」展が開催されています。この展覧会では環境や生態系、そして人間をテーマにした約100点の作品が4つの章で紹介されています地球上に多様な生態系が存在するように、環境問題をはじめとする様々な課題について多様な視点で考えてみることを提案する展覧会です。主に20世紀生まれの世界各地の現代アートの代表的な作家、代表的な作品も展示されていますし、作品ごとのキャプションも現代アートとしては詳細な解説がされています。現代アートはちょっと苦手、判りづらいという方も気にせず来場できると思います。▲会期は2023年10月18日(水)開幕で2024年3月31日(日)まで5ヶ月半の長い会期です。冬休みから春休み期間にも重なりますし、けやき坂のイルミネーションが点灯する六本木ヒルズが最高に盛り上がるホリデーシーズン中も開催されています。そのような時期に東京や六本木を訪れる予定があるなら「私たちのエコロジー」展も訪問してみてはどうでしょうか。スポンサーリンク

出展作家たちと写真撮影について

出展しているのは国内外から全部で34組のアーティスト。アーティストのリストは公式サイトを参照してください。写真撮影は動画も含めて原則可能です。ただし一部の作品は撮影禁止、また動画も1分以内という制限付きです。撮影できないのは「第二章 土に還る」の全ての作品、それ以外の章でも全体の1/3くらいが撮影禁止という感じです。フラッシュ使用禁止、三脚や自撮り棒の使用禁止といった点はいつも通りです。特に暗い部屋でのインスタレーション作品は意図せずフラッシュが炊かれてしまうことがあるので、事前にフラッシュがオフになっていることを確認しておきましょう。

第1章 全ては繋がっている

第1章では地球上の全ては何らかの因果関係で繋がっている、そんな視点で表現活動をしている現代アーティストたちの 展示です。▲全4章、それぞれのセクションの最初でキャプションによる説明があります。

ハンス・ハーケ

まずは60年代から活動するドイツのコンセプチュアル・アーティストのハンス・ハーケ。▲1965年から1972年にかけて制作された生物学的彫刻「システム」の記録が展示されています

 ニナ・カネル

第1章でひときわ目立つのがニナ・カナルの《マッスル・メモリー(5トン)》。

ニナ・カネル《マッスル・メモリー(5トン)》 この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています

5トンの貝を床に敷き詰めたインスタレーションです。

観客は自由に歩き回って構いません。ただサンダル、ハイヒールなどを履いている場合は避けた方が良いです。

▲開幕から3週間後。だいぶ貝殻が踏み潰され細かくなってきました。

自然が年月をかけて形成した炭酸カルシウムが石灰石となりコンクリートとして人間が再利用していく、そんな大きな循環を表現しているようです。

エミリヤ・シュカルヌリーテ《時の矢》 この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています

▲第1章では2本の映像作品が上映されています。

この写真は没入型の映画や映像作品で知られるリトアニアの映像作家エミリヤ・シュカルヌリーテの《時の矢》。約16分のビデオ・インスタレーションです。地球が水の惑星だということを再認識するような映像です。

1本はタイのアピチャッポン・ウィーラセタクンの《ナイト・コロニー》という12分35秒の作品

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第2章 土に還る 1950年代から1980年代の日本におけるアートとエコロジー

第2章は高度成長期、”公害” という言葉が知られるようになった日本で活動していた日本人アーティストたちの特集。▲水俣病を始めとする環境汚染、光化学スモッグなど身近な公害、オイルショックによる省資源への風潮。当時世界的な潮流でもあった”Back to Nature(自然に帰ろう)” と呼応するような日本でのアート活動に焦点が当てられています。霧の彫刻家として知られる中谷芙二子がメディアアートの先駆者として活動していた時代の《水俣病を告発する会ーテント村ビデオ日記》など興味深い作品が多いのですが、このセクションはほとんどの作品が撮影NGです

《私たちのエコロジー》展示風景、森美術館、2023年

▲第2章ではこの展示エリアだけが撮影可能です。

”土、水、空気、火といった基本元素を全面に出した作品” なんですって。”air, fire, earth and water”つまりバカラの世界観ですよね。ここだけオカルトというかスピリチュアルな視点での作品とその展示になっているようです。

第3章 大いなる加速

第3章では急激な工業化、グローバル化による地球環境の変化を批判的な視点で表現する作品が並びます。

モニラ・アルカディリ

第3章も見どころの多いセクション。

モニラ・アルカディリ《恨み言》 この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています

▲クウェート籍のアーティスト、モニラ・アルカディリの《恨み言》。オブジェと言葉によるインスタレーション。

そしていわゆるSNS映えするインスタレーションですが、白く丸いのは真珠をモチーフにしたもの。真珠と人間の関係や工業化やグローバル化による環境変化などを表現しているようです。

保良 雄(やすら・たけし)

日本のアーティスト保良雄のインスタレーションも目立っています。

保良雄《fruiting body》 この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています

▲新作のインスタレーション《fruiting body》。

自然が形成した大理石と人間が産業廃棄物から作り出した人工的なスラグによる作品です。

保良雄《fruiting body》 この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています

▲スラグだけでなく金属音が鳴り響き、電球が点滅する空間はインダストリアルアートの現在の位置を知らしめているようでもあり興味深いです。

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第4章 未来は私たちの中にある

最終章、第4章は「未来は私たちの中にある」。タイトル通り、アートの力で未来を再考し構想していこうという、この展覧会のメインテーマでもあり、ボリュームも多いセクションです

アグネス・デネス

ハンガリー出身でアメリカで長く活動するアグネス・デネス(アグネス・ディーンズとも。Agnes Denes)は、未来とアート、環境とアートというテーマで知られ、ある意味「私たちのエコロジー」展を体現しているようなアーティストです。

アグネス・デネス《「行きているピラミッド」シリーズ》 この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています

▲「生きているピラミッド」の記録。

人間の原初的な文明を象徴するピラミッドと自然との関わりを追ったインスタレーションです

松澤 宥(まつざわ・ゆたか)

長野県を拠点に高校の数学教師を続けながら国際的にも知られるアート活動も行っていた、日本を代表するコンセプチュアル・アーティストの松澤 宥。あの草間彌生が師と仰いだことでも知られます。

松澤宥《消滅の幟》 この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています

▲その松澤 宥の代表的な作品《消滅の幟》の記録やΨ(プサイ)の部屋で描かれた連作シリーズも展示されています。

”人類よ、消滅して次へ行こう” という強烈なアジテーション。今の時代への反語的なメッセージのように聞こえます。

このように第1章から最後の第4章までじっくり見ていくと激動する地球環境の変化の先になんとなく希望が見えてくる、そんな展覧会になっています。

関連企画

また、銀座の「銀座メゾンエルメス フォーラム」では関連企画として「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」展が開催されています。そちらは二部に分かれていて最初が《ダイアローグ1:「新たな生」崔在銀(チェ・ジェウン)展》で10月14日から2024年1月28日までの開催、第二部が《ダイアローグ2:「つかの間の停泊者」展|ニコラ・フロック、ケイト・ニュービー、保良雄、ラファエル・ザルカ》で2024年2月16日から5月31日までの開催です。▲崔在銀の「新たな生」展のもよう。朝鮮半島を分断するDMZ(非武装地帯)で森を復元させる《大地の夢プロジェクト》で知られ、自然との共存関係を探る作品を多く発表している作家です。この写真は新作の《White Death(白い死)》。死滅し白化した珊瑚を沖縄県から特別な許可を得て会場に運び展示しているものです。まさに今の地球の環境をそのまま提示しているように見えます。六本木から銀座までは地下鉄日比谷線で10分の距離ですから、森美術館と銀座メゾンエルメス フォーラムを併せて訪問してみましょう。スポンサーリンク

ミュージアムショップ

最後はミュージアムショップですね。▲トートバッグ、軍手(!)など▲展覧会カタログ(図録)は12月刊行予定です

MAMコレクション:さわひらき

森美術館の「私たちのエコロジー」展と同時開催で、同じフロアにある「MAMコレクション」、「MANスクリーン」それと「MAMプロジェクト」でも展覧会が開催されています。▲おすすめはなんと言ってもMAMコレクションでの「さわひらき」展です。虚実織り交ぜた幻想的な映像を使ったインスタレーションで知られるさわひらきの《hako》という2007年の作品。6チャンネルの映像インスタレーションです。▲《hako》は12分間の映像がループしています。このように窓の外の東京の夜景を借景にして鑑賞できる夜間の訪問がおすすめです。スポンサーリンク

チケット情報、アクセス

チケット購入方法

森美術館のチケットの入手方法は2つ。一つは六本木ヒルズのチケットサイトで購入する方法。最初に会員登録をするかヒルズIDが必要なのが面倒ですが、いったん登録すればHILLS APP(ヒルズアプリ)を使った入場ができるので便利です。
iPhone用のiOS版ヒルズアプリ(App Store)
Androidスマホ用のAndroid版ヒルズアプリ(Google Play)
もう一つは六本木ヒルズ森タワー3階の美術館・展望台チケットで購入する方法です。ただし当日枠に空きがある場合だけです。あと森美術館の「MAMC(メンバーシッププログラム)」に入れば予約不要で入館することができます。森美術館を年に2回以上訪問するならMAMCへの入会も検討してみてください。

期間限定お得チケット情報

期間限定でお得な料金で鑑賞できるチケットが設定される場合があります。まず11月2日(木)から11月5日(日)にかけて開催される「アートウィーク東京」。無料で予約不要のシャトルバスで都内50の美術館やギャラリーを巡ることのできるアートイベントです。森美術館もアートウィーク東京に参加していて、期間中は特別料金で入場できます。詳しくはアートウィーク東京の案内ページを参照してください。それ以外のお得チケット情報について開幕時点では森美術館から特にアナウンスはありませんが、ホリデーシーズンや春休みなどのイベントに向けお得チケットの情報がアナウンスされたらこのページでも紹介します。

森美術館へのアクセス

まず六本木ヒルズへのアクセスですが最寄り駅は日比谷線六本木駅。六本木ヒルズ側改札(広尾側)から出れば直結です。大江戸線六本木駅を利用の場合はいったん地上に出て六本木ヒルズに向かいます。また渋谷駅から都営バスの都01系統で新橋行きに乗り「六本木駅前」で降りればほぼ向かいが六本木ヒルズですし、「RH01六本木ヒルズ行き」なら文字通り六本木ヒルズ直行です。利用しやすいルートを使ってください。▲六本木ヒルズに着いたら蜘蛛みたいなオブジェ「ママン」がある66プラザに出て大屋根広場を目指してください。映画館や大屋根広場の手前の小さい丸い建物(ミュージアムコーン)が美術館入り口です。週末ならたいてい行列しているか、付近でここだけヒルズのスタッフが立っているのですぐに分かると思います。▲そしてミュージアムコーンから3Fに上ってブリッジを渡り、チケット・インフォメーションで入館手続きします(紙チケットの場合)。予約してある場合はゲートでQRコードをかざしてそのまま入館。直通エレベーターで52Fへ上がります。▲森美術館は53F。エレベーターで52Fへ着いたらこのエスカレーターで53Fへ上がります。ロッカーはこのエスカレーターの裏側にあるので、大きな荷物などはロッカーに入れましょう。100円ですが荷物を取り出す時に返却されます。2024年3月末まで5ヶ月以上の会期です。長いように思えますが、閉幕が近づけばどんどん混み合うのがこうした展覧会です。少しでも空いている早い時期に訪問して現代アートの代表作をゆっくり鑑賞してみてください。

私たちのエコロジー 基本情報

イベント名 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために
会場 六本木ヒルズ内 森美術館
会期 2023年10月18日(水) 〜2024年3月31日(日) 会期中は無休
開館時間 10:00 – 22:00 (火曜日のみ17:00まで)
ただし1月2日と3月19日は22:00まで、10月26日は17:00まで
入館予約 事前予約制
入館料 大人 1,800円、高校大学 1,300円、4歳〜中学 700円、65歳〜1,500円 (平日 オンライン料金)
土・日・祝や窓口購入は別料金
料金詳細はこちらから
撮影 原則可能。動画は1分以内。撮影NG作品には掲示あり。
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