南青山・表参道の根津美術館
南青山にある根津美術館では尾形光琳作の国宝、燕子花図屏風を公開する「国宝・燕子花図屏風 −光琳の生きた時代 1658-1716 −」展が始まり、時を合わせるかのように開幕初日には庭園の本物の燕子花が開花しました。
初日はあいにくの雨天だったので晴天になった翌日の日曜日に訪問。その後も晴天の日、雨天の日など何度か訪問しているので、燕子花の開花の様子や館内の混雑状況などを紹介します。
会期中は今後も何度か訪問し最新の状況をお伝する予定なので、この記事をブックマークして燕子花の開花状況などをチェックしてみてください。
▲会場となる南青山の根津美術館では良質な展覧会を数多く開催し、その建物や庭園なども素晴らしい南青山のランドマーク的存在として多くの人に親しまれています。
その歴史は戦前にさかのぼり、東武鉄道の社長などを務めた実業家・初代根津嘉一郎氏が蒐集した日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示するためにつくられた美術館です。
東洋古美術という一見地味なコレクション、また邸宅を改装した美術館、さらに南青山の分かりにくい場所ということもあり、少し前まではあまり目立つ美術館ではなかったかもしれません。
▲2006年(平成18年)から3年半をかけ3つの倉庫と旧本館を取り壊して新たな展示館(本館)を建設。2009年(平成21年)にリニューアルオープンしました。その設計が隈研吾です。
PR
国宝・燕子花図屏風展
根津美術館では毎年6本の展覧会が開催されるのですが、その中でも有名なのは毎年初夏に燕子花(カキツバタ)が咲く時期に合わせ美術館が所蔵する尾形光琳作の国宝、燕子花絵図が披露される展覧会です。
この頃は気候もいいし、ゴールデンウィークだし、花は美しいし、本物の燕子花と尾形光琳の燕子花と見比べることができる貴重な機会だし、ということで毎年大混雑します。
見逃さないためには展覧会を日時指定予約すれば確実です。2023年は4月11日(火)午後1時から受付を開始しています。
オンラインでの日時予約はこちらから。当日券の販売もありますが本当に混んでいる時は入場まで待たされることがあるそうです。
2023年は国宝の燕子花図屏風(尾形光琳)を中心に、光琳がこの世に生きた期間に制作された作品で構成される「特別展 国宝・燕子花図屏風 光琳の生きた時代 1658~1716」が開催です。
会期は2023年4月15日(土)から5月14日(日)まで。
通常は10時から17時が開館時間ですが、GW明けの5月9日から14日(日)までは19時までの夜間開館が実施されています。夕闇迫る中での幽玄な燕子花が観られますよ。(ライトアップなどはありません)
▲燕子花は庭園内の弘仁亭(こうにんてい)前などに咲いています。美術館内では尾形光琳の燕子花、庭園では本物の燕子花。どちらを先に見るか迷いますね。
展示作品
展示室内は写真撮影禁止なので展示作品のリストを紹介します。リストの画像をタップするとさらに大きな画像で見ることができます。
常設展では展示室3が展示品の入れ替えが行われていました。さらに展示室5と展示室6ではちょっとした企画展示が行われています。結果的に3月までとは常設作品がかなり変わっているのでお見逃しなく。
▲特別展 国宝・燕子花図屏風の目録です。
▲燕子花図屏風展に展示されている「伊勢神宮道中図屏風」の詳しい見どころが掲載されています。
館内のキャプションはここまで詳しくないので作品リストをもらうのを忘れずに。
▲最近寄贈された西田コレクションから ”唐物” をテーマに展示されている展示室5、茶道具を ”初夏の茶の湯” をテーマで取り揃えた展示室6の作品リストです。
PR
この時期の根津美術館
今はもう根津美術館自体の素晴らしさは世界中によく知られています。実際、お客さんの半数以上がインバウンド客ではないかと思えるほど。
▲表参道からみゆき通りを下ってきて、根津美術館に入った途端にこの光景。
木と竹林、砂利と大理石の通路。これを見るだけでワァーっとなってしまうますね。
これから始まる東洋古美術への旅に期待が高まるアプローチです。
天気が良い日は庭園のリフレクションも美しいものがあります
▲やはり隈研吾設計による「NEZU CAFE」も庭園入口付近にあります。10時の開店直後に行かないと行列に並ぶことになってしまいます。
今の根津美術館は日時指定の予約優先というシステムを取っているため、パンデミック前のように大行列ができることはあまりないようです。行列ができたとしても当日券を求める人たちなので、事前に予約して訪問する限りはスムーズに入館できているようです。行列ができていても美術館のスタッフや警備の人に予約である旨を伝えれば適切に案内してもらえます。
根津美術館やNEZU CAFEについてはこちらの記事に詳しいです。
また展覧会の会期中は茶室「披錦斎」でお抹茶セットがいただけます。
実はこの披錦斎は燕子花を見下ろす位置にあって、茶室からカキツバタを眺めながらお茶をいただける絶好のロケーションです。お一人様1,000円、12分での入れ替え制ですが満開の時期には絶対のおすすめです。
PR
庭園の燕子花
それでは根津美術館庭園の燕子花(カキツバタ)の最新状況です。
▲2023年4月15日(土)の「国宝・燕子花図屏風」展が開幕したその日に開花したのがこの燕子花。たった一輪だけだったそうです。
▲これは5月11日。もう終わりですね。週末まで残るかも微妙なところです。
燕子花はけっこう広い範囲に咲くのですが、まだ花が見られるのは全体の3分の1くらいです。
地下水が自噴する「吹上の井筒」周辺の燕子花はまだ少し咲いています。
燕子花苑の半分くらいはもう咲き終わってしまいましたが、半分くらいはまだ咲いています。
残り会期は少ないですが、たぶん展覧会最終日まで残りそうです。
4月27日と比べてみれば分かりますが満開が過ぎ一本一本がちょっと元気ないです。また咲いている数も少なくなっています。
GW中でも後半は厳しいかもしれないですね。でもGW明けにもう一回開花するはずです。
すでに燕子花は満開ですが、よーく見るとそろそろ下り坂。
最初の開花はゴールデンウィーク前半までが見頃になりそうです。
また館内も庭園もお客さんでいっぱい。特にインバウンドのお客さんの姿が目立ちます。戻って来ているんですねぇ。
この日は当日券は比較的簡単に買えたみたいですが、週末やGW期間中はできれば事前予約を。
▲燕子花がピークだったのは4月26日。
この日は生憎の雨天でしたが、それが逆に植物には良かったみたいですし、雨の燕子花というのも風情があっていいです。
開館の10時ちょっと過ぎに訪問したのですが、開館と同時に入場しようというお客さんで混んでいました。
ただ雨天ということで庭園まで出てくるお客さんは比較的少数。空いているし風情もあるし。雨の日は意外と狙い目かもしれません。
燕子花は花が2回咲くので開花している燕子花を楽しめる期間は意外と長いです。最初の開花が終わってもその後にもう一回チャンスがあるので、展覧会の終わる5月14日まで本物の燕子花も楽しめるんじゃないでしょうか。
▲燕子花は茶室の弘仁亭前の広いエリアに咲いています。群生して咲くところは本当に見事です。
最近はその日のカキツバタの開花状況をTwitterなどで告知していますし、美術館の入り口で写真付きで案内もしています。入館料を払って中に入ったら開花が終わっていたなんて心配がなくて嬉しいですね。
PR
夜間開館の根津美術館
例年、尾形光琳の燕子花屏風図展が開催される時期には夜間開館が実施されます。
2023年は5月8日から14日まで、会期最終週が夜19時まで開館しています(通常は17時まで)。
昼間は大混雑の燕子花屏風図展ですが夜間の時間帯はお客さんの数も激減し、尾形光琳も庭園も貸し切りに近い状態で楽しめますし、夜しか見られない根津美術館の姿を見ることができます。
夜はこのようにライトがいい感じに効果を上げています。(このような劇的な光景になるの18時30分以降です)
館内の照明がやはり劇的です。
▲庭から見ても隈研吾の直線的を館内の照明が引き立てています。
昼間には見られない根津美術館の姿です。
これも夜しか見られない贅沢な光景です。
▲通常17時閉館のところ19時まで開館しているのですが、18時も過ぎるとお客さんもかなり少なくなります。
燕子花屏風図の前にも多くて数人、タイミングによっては一人で鑑賞することもできます。
混んでいる時は屏風図の前にはかぶりつきで見る人の列、その後ろで距離を取って見る人の列、ベンチに座って見る人の列、その後ろから俯瞰で見る人の列と4列くらいになるのですが、それに比べるとあまりに贅沢な鑑賞です。
屏風図展も行ってみたいけど混雑がイヤという方は夜間開館の時間に訪問してみてはどうでしょう。
PR
根津美術館の庭園の見どころ
この庭園は燕子花が有名ですがそれ以外にも多くの見どころがあります。東京の大都会、南青山・表参道とは思えない、緑豊かなところが魅力です。
▲新緑が水面にリフレクトする美しい池。
向こうには満開の燕子花が見えています。
武蔵野台地の端、西麻布方面へ谷になっている場所なので地下水が自噴するのですね。
この吹上の井筒の周囲にも燕子花が生えているのでお見逃しなく。この場所もすでに満開になっています。
PR
▲この時期はNEZU CAFE脇を抜けて薬師堂まで連なる回廊も新緑が映えて、ここが青山だなんて忘れてしまいそうです。
今にも朽ち果て沈んでしまいそうですが、ずっとこんな感じで佇んでいます。
たぶんこういう風情を出すべく、朽ち果てる寸前の状態でメンテナンスをしているんだと思っています。
茶室の前に置かれる蹲居(つくばい)からこぼれた水滴が地中の瓶の中に落ちて音色を奏でます。
骨董通りや六本木通りも近い場所ですが耳を澄ませば美しいサウンドを聴くことができます。”静寂の次に美しい音” とはこういう音なのかもしれません。
(音を強調しています。実際に聞こえる音はこれほど大きくないので近づいて耳を澄ませてみてください)
水琴窟(すいきんくつ)は外苑前、隈研吾事務所の前の「梅窓院」にもあるので隈研吾お気に入りなのかもしれません。
▲燕子花と鹿威し(ししおどし)。
静寂を破る音も楽しめます。
PR
庭園の楽しみ方ヒント
根津美術館の庭園は美術館本館よりも広く、隅々まで回ろうと思うと結構時間がかかります。
写真撮影に夢中になっているとあっという間に1時間くらい経ってしまいますから、時間には余裕を持って出かけたいですね。
また庭園内には茶室(入室はできません)だけでなく、由緒あるつくばいや祠などもあります。
それに加えて何気なく仏像なども置かれているので、庭園内をいろいろ探しながら散策するのも楽しいと思います。美術館の展覧会も早々に庭園に繰り出して、散策を楽しむ。そんな人も多いかもしれません。
PR
根津美術館の場所とアクセス
根津美術館の場所は、表参道駅のA5出口を出てみゆき通りをコムデギャルソンなどがある方向へ直進します。「フレンチレストランのフィガロ」も過ぎ、「美術館通り」と交わる「根津美術館前」交差点の角に美術館の入り口があります。
表参道の駅から徒歩10分弱です。
▲ちなみにこの美術館の交差点の逆側にあるドイツの家電ミーレのショールームも隈研吾設計です。
リニューアル後のここ十数年は日本でもトップクラスの人気を誇る美術館になっていますし、展覧会と庭園を楽しもうと特に燕子花の季節は平日でも大混雑する美術館です。
平日なら開館直後、週末は閉館間際が比較的空いている印象です。日時指定予約制になったことで以前のように入館待ちの大行列になることは少ないようですが、それでもゴールデンウィーク中はそれなりの行列は覚悟しないといけないかもしれません。
根津美術館へ行く際の注意
笑い話のようですが、文京区にある根津神社の美術館と勘違いしたり、千代田線根津駅へ行ってしまう人が本当にいるそうです。
根津美術館があるのは住所でいえば港区南青山、駅でいえば銀座線/半蔵門線/千代田線の表参道駅です。
経路検索したりする際は注意しましょう。
国宝・燕子花図屏風 基本情報
名称 | 国宝・燕子花図屏風 −光琳の生きた時代 1658-1717 − |
会場 | 根津美術館 |
会期 | 2023年4月15日(土) − 5月14日(日) |
休館日 | 月曜休館(5月1日は開館) |
開館時間 | 10:00 – 17:00 (5月9日から14日は19時まで開館) |
入館料 | 特別展 オンライン予約 一般 1,500円、学生 1,200円 当日券は1,600円 |
予約 | 日時指定予約 (1時間前まで予約可能) |