松岡美術館
プラチナ通りから少し入った場所にある「松岡美術館」は実業家の故松岡清次郎氏が個人で収集したコレクションを収蔵する美術館です。
実業家のコレクションを展示する美術館としては南青山の「根津美術館」や広尾の「山種美術館」が有名ですが、白金台の松岡美術館もそれらと同じような性格の美術館です。
白金台の、それもプラチナ通りに建つコレクターのセンスが詰まったこじんまりした美術館。白金台を散策するなら一度は訪問しておきたいですね。
▲この美術館の創設者は貿易で財を成した松岡清次郎。年商100億の松岡グループの創業者です。
古代オリエントから古代東洋芸術、そして西洋近代絵画や現代彫刻まで。そのジャンルは幅広く生涯で収集した美術品は約1,800点。それがすべて松岡美術館の収蔵品となっています。
松岡美術館の面白いところは、常設展はもちろん、企画展もすべて収蔵作品を展示すること。他に作品を貸し出すことはあっても借りることはありません。
自ら収蔵する作品だけで企画展が構成できてしまうところからも、このコレクションのクオリティの高さがうかがい知れます。
松岡美術館は以前は日比谷通り沿いの西新橋にある松岡ブループの自社ビルにあったのですが、2000年に白金台の松岡清次郎の私邸跡地に移転してきます。
このような美術館が白金台の閑静な住宅地にあるのはそんな理由からです。
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松岡美術館の常設展示
松岡美術館はCOVID-19のパンデミック直前2019年からリニューアルのため長期休館し、2022年1月に再オープンしたばかり。そのような話題性もあって最近はTVなどメディアで取り上げられることも多いです。
まずはリニューアル後の常設展示の様子を紹介します。
エントランスとロビー
松岡美術館のもう一つの特徴は「写真撮影OK」。作品はもちろん館内もOKです。最近解禁したような美術館と異なり、ずっと以前から写真撮影OKです。ただしシャッター音、フラッシュ、三脚や自撮り棒、照明などの使用は禁止でう。
▲エントランスで迎えてくれるのはミール=アントワーヌ・ブールデルの「ペネロープ(Pēnelopē)」。
ギリシャ神話に登場するオデュッセウスの妻、ペーネロペーの像ですね。
これ以外にも数点の現代彫刻作品が展示されています。
また現代彫刻専門の展示室もあって、ヘンリー・ムーアやエミリオ・グレコの作品が展示されているのですが、その展示室内は写真撮影禁止でした。 ▲広々としたロビーには古代ギリシャ彫刻や古代ローマ彫刻も展示されています。
古代ギリシャから現代彫刻までですから、2,000年間にわたる彫刻が展示されているということです。
▲右がゼウス像、左がアフロディテ像(ローマではヴィーナス)。
どちらもギリシャ神話に登場する神々ですが制作期としてはローマ時代だそうです。
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古代オリエント
ロビーからは3つの展示室にアクセスできるようになっていて、それぞれ第1展示室が古代オリエント、第2展示室が現代彫刻(撮影禁止)、そして第3展示室が古代東洋彫刻と分かれています。
▲ここで常設展示されているのは写真に写る古代エジプトのブロンズ像や木棺(ミイラを収めるもの)、それとトルコから出土した馬の頭部像です。
さすがに木棺にミイラは入っていませんでした。
古代東洋彫刻
第2展示室は撮影禁止なので飛ばして古代東洋彫刻が展示される第3展示室。 ▲第3展示室が一番広く、また常設展示される作品も一番多いのは、美術館の創設者が仏教彫刻を好んだからだそうです。
ガンダーラの仏教彫刻が多いのですが、珍しいクメール彫刻やヒンドゥー彫刻、それと中国の仏教彫刻など。まさに古代東洋の彫刻作品の宝庫になっています。
庭園
緑の季節も良いのですが、ここは桜の季節がベストのようです。通常は開放していない中庭ですが、桜の季節だけは開放するそうです。
このアングルからだとアフロディテやゼウスの後ろ姿もよく見ることができます。
玄関前駐車場
美術館としては珍しいことに正面玄関のところに3台分の駐車スペースが用意されています。 ▲かわいい羊の石彫が2頭。見逃さないでください。
それと駐車スペースの車止めに置かれている石もきちんとデザインされているます。これも注目です。
こんなちょっとした遊び心も楽しいですね。
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松岡美術館の企画展
美術館の再開記念として企画展がずっと開催されていて、私たちが訪問した時は「めぐりあう ものたち Vol.2」が開催されていました。
企画展は美術館2階の展示室4,5,6を使って開催されます。
霊獣の文様(しるし)
展示室4では企画展の前半部分、サブタイトル「霊獣の文様」が展示されていました。 ▲想像上の動物 ”霊獣” が描かれた中国の工芸作品をテーマにした「霊獣の文様」。
中国古代からの近代までの工芸品が並んでいます。
西洋絵画展 − 東洋のかおり
でも私たちにも馴染みがあるのはやっぱりアーティスティックな西洋絵画の方ですね。
ただ東洋文化からの影響を感じさせる西洋絵画という、いかにも松岡美術館なテーマです。
▲19世紀後半に活躍したオランダの画家ヨン・ポルティーリエ(Jan Portielje)の「オリエントの少女像(Junge Orientalin)」。
東方風(トルコあたり)の衣装をまとったオランダ人女性のポートレートです。
▲20世紀初頭のモディリアーニの作品。
▲専門の美術館があったくらい日本で人気の高いマリー・ローランサンもありました。これ以外にもクロード・モネやポール・シニャックなどの大御所の作品も展示され、もちろんそれらも撮影可能です。
ただ藤田嗣治、パブロ・ピカソ、マルク・シャガールなどいくつかの作品は撮影禁止です。
古代エジプトからヘンリー・ムーアまでですから、時間軸でいうと3500年くらい。その間の古今東西の人類の美術観を見通すことができるのは私設美術館としてはかなり貴重です。
また館内の空間から作品まで基本的に撮影OKというのも時代に即しています。企画展の都度足を運んで1,800点全部を鑑賞してみたいものです。
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松岡美術館の場所とアクセス
プラチナ通りのほぼ中央辺り。
クルマの場合は玄関前に3台分の駐車スペースがあります。満車の場合はプラチナ通りのパーキングメーターか近隣のコインパーキングを利用することになります。
白金台駅を出て目黒通りとプラチナ通りが交わる「白金台」交差点方面へ歩き、プラチナ通りに入ったら左側歩道を直進します。
2つ目の信号手前に写真のような案内板があるので左折してすぐです。
都営バスの「橋86」または「黒77」系統に乗って「東大医科研病院西門」バス停で下車してもすぐ近くです。
▲この辺りによくある大きなお屋敷かと見逃しそうですが、こんなシックな外観が松岡美術館。
企画展
名称 | めぐりあう ものたち |
会場 | 松岡美術館 |
会期 | 2022年8月2日(火) 〜 10月23日(日) |
松岡美術館 基本情報
名称 | 松岡美術館 |
住所 | 港区白金台 5-12-6 |
最寄駅 | 白金台駅 |
休館日 | 月曜日 |
時間 | 10:00 − 17:00 |
入館料 | 一般 1,200円、25歳以下 500円、高校生以下 無料 |
予約 | 予約不要 |
併せて行きたい
プラチナ通りですし、せっかく松岡美術館に行くなら併せて白金台のオシャレなカフェで休んだり、ケーキ屋さんでお土産を買ったり、あるいはアート巡りをしてみたいですね。