東京都庭園美術館で開催中のルネ・ラリックの展覧会の紹介です。
ルネ・ラリックと言えばアール・デコ、アール・デコと言えばルネ・ラリックというくらいの存在なガラス工芸作家です。
そして、ラリック展が開催されるこの東京都庭園美術館は元々は旧朝香宮邸で日本を代表するアール・デコ建築の邸宅です。
朝香宮家は久邇宮朝彦親王の第8王子鳩彦王が1906年に創立した宮家で、鳩彦王がフランス滞在中にアール・デコに出会い、自邸の建設をフランス人芸術家アンリ・ラパンに設計を依頼して1933年に竣工しました。
現在は庭園美術館として使われていますが、内部の改造は僅少で、アール・デコ様式を正確に留め、貴重な歴史的建造物として、国の重要文化財に指定されています。
そんなアール・デコ建築の邸宅に、ガラスを素材としたエレガントな作品の数々で、アール・デコの時代を切り開いたルネ・ラリックの作品が展示されるのですから、見に行かない理由がありません。
▼玄関で最初に迎えてくれるのがルネラリックのガラスレリーフの扉です。
この作品はいつでも鑑賞可能ですが、今回の展覧会はここから始まっています。
ガラスレリーフの横の第一応接室にも作品が展示されています。▼
アンリ・ラパンデザインの大広間にはこの展覧会のメインビジュアルになっている孔雀のモチーフの作品が中央に展示されています。▼
展示ケースがなければ溶け込みすぎちゃう作品たち。
アール・デコ作品がアール・デコの館に里帰りしたような感じに見えますね。▼
ルネ・ラリックがモチーフにするのは人物だけでなく、植物や動物たちです。
この蔦モチーフも美しい▼
こちらは抽象的な模様です▼
蛇!▼
亀!▼
鳥!
そしてこちらは大食堂に設えたテーブルセッテイングのシチュエーション展示。
中央の本物のクリスマスローズと呼応するようにガラスの花が飾られ、本当に美しいですね。
優雅で贅沢な食卓です▼
食卓の上にある照明はフルーツ山盛りのこれまたルネラリックの作品です。
この照明は元々この大食堂にいつでもある物ですが、今回の展示ではより一層存在感が増しています。▼
本物のクリスマスローズとガラスの花▼
乳白色のガラスベースには人体の彫刻が施されています▼
この作品はTOKYOというタイトル。しかしルネラリックは日本に来たことはないそうです。▼
ここは朝香宮一家が普段食事をしていた小食堂です。▼
書斎に飾られた作品。左の棚には猫の置き物があるのがお分かりでしょうか。
ルネ・ラリックは愛猫家だったそうです。▼
二階の広間です。▼
窓枠もよく見ると凝っていますね。
この作りつけのソファは当時からこの位置にあったそうで、ピアノが置かれていたりして家族の憩いの場所だったようです。▼
浴室にはパワダーボックス。
踊り子を模した蓋の部分、これが本当に美しかった。見ているだけでうっとりしました。▼
ネックレスも鳥です▼
こちらも雀がぎっしり▼
抽象的な模様もかっこいいですね▼
幾何学模様▼
こちらはカーマスコット。いわゆる車のボンネットの先端につける物です▼
宝石のオパールのような輝きをするオパルセント・ガラス▼
ガラスの技法の数々です▼
新館は朝香宮とルネラリックの展示です。
朝香宮邸にも所蔵のまたは作りつけのルネラリックが多くありますね▼
空間とガラスを堪能したのでTEIEN CAFEでちょっと一息です。
ルネラリック展オリジナルケーキは残念ながら売り切れだったのでショートケーキを▼
諏訪湖畔の「北澤美術館」からも多くのラリック作品の出品を受け、今回のルネ・ラリック展はかつて開催された展覧会のなかで最も作品と空間がマッチしていたのではないでしょうか。
秋の紅葉の時期も美しい庭園美術館ですが、アール・デコ建築の中でアール・デコガラスが堪能できるまたとない貴重な機会です。ぜひ足を運んでみてください。
北澤美術館所蔵「ルネ・ラリック」
ーアール・デコのガラス モダン・エレガンスの美ー
東京都庭園美術館
2020年2月1日(土)– 4月7日(火)
休館日:第2・第4水曜日(2/12、2/26、3/11、3/25)
開館時間:10:00–18:00 *3/27、3/28、4/3、4/4は夜間開館〜20:00
入場料:大人1100円 大学生880円、中高生650円、65才以上650円