坂道の多い麻布
港区内には89の坂がありますが、なんとそのうち42の坂が麻布エリアに集中しています。
武蔵野台地がこの辺りで終わっているので必然的に坂が多くなっているのですね。
そんな多くの坂の名前の由来や、往時を偲ばせる歴史を知って麻布を歩けば、坂を登るのも苦ではなくなるかもしれません。
今回はそんな坂道の中から西麻布の霞坂、笄坂をご紹介します。
西麻布の坂
西麻布は西麻布交差点を中心としてほぼ四角形に位置する町です。旧地名に笄町、霞町、桜田町、材木町、三軒家町があります。
これらの旧地名は今でも坂の名前として残っているものもあります。そんな旧地名を感じる上に西麻布の中心に位置する2つの坂です。
霞坂(かすみざか)
「明治初年に霞山稲荷神社(現在の桜田神社)から霞町の町名が出来、そこを貫通する道が明治20年代に開かれて霞坂と読んだ」
旧町名で麻布霞町の中央をこの霞坂が通っています。
現在は、六本木ヒルズから西麻布交差点までの坂で、上には首都高速が走り、坂の途中には幸鮨や老舗博多ラーメンの赤のれんが店を構え、反対側には三保谷硝子店があります。
六本木通りもヒルズから六本木交差点までのいわゆる六本木駅周辺は人も多く騒がしいのですが、この霞坂まで来ると人の往来も極端に少なくなります。
この坂道を界に六本木から西麻布になるのですが、都心の喧騒から都会の住宅街へと街そのものが変わるのかもしれません。
笄坂(こうがいざか)
「坂下を流れていた笄川の名からついた付近の地名によってこう呼ばれるようになった」
笄坂も六本木通りです。
こちらは西麻布交差点から渋谷に向かう坂道です。
霞坂よりさらに人の往来は減ります。笄坂まで来ると六本木駅からも、乃木坂駅からも結構な距離になりますので、行き交う人は住民と近隣で働く人になります。
坂の途中に以前にも紹介した通称大使館ビルと呼ばれる12の大使館が入ったビルがあります。各国の国旗が掲揚されているのでわかりやすいですね。
大使館スタンプラリーでは一気に何カ国もの大使館を訪ねられるので便利な場所です。
今回紹介した霞坂、笄坂は西麻布交差点を中心の谷として六本木方面に登る坂が霞坂、渋谷方面に登る坂が笄坂です。
笄坂を渋谷方面に進み、首都高の高樹町出口の先では骨董通りと交わっています。富士フィルムやコシノジュンコがあるところですね。
西麻布と南青山は入り組んで隣接しているので、このように西麻布のすぐ先が骨董通りだということは忘れがちですが、地元の人は普通に六本木も表参道も歩いて往き来しているのです。
(このブログでもこれから南青山や広尾など隣接エリアも少しづつ紹介できたらいいなと思っています)
霞坂と笄坂。どちらも旧町名を彷彿とさせる坂の名前なので、ただ単に六本木通りと言うよりは霞坂、笄坂と行った方がどのあたりかを詳しく言えますし、何よりもとても地元ぽい通な言い方ですね。