廣尾稲荷神社(広尾稲荷神社)には龍が描かれた天井画がある。作者は日本で最初の洋画家、高橋由一!

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広尾の駅にも近い廣尾稲荷神社(広尾稲荷神社))の拝殿の天井には立派な龍が描かれています。

描かれたのは江戸時代末期、描いたのは藍川と号する20歳そこそこの日本画家。

そんなの京都だったらいくらでもあるよねという話ですが、広尾稲荷神社の天井画はまた別の意味でとっても貴重な天井画なのです。

▲高級住宅地の南麻布(最寄り駅は広尾)に建つ広尾稲荷神社は広尾の鎮守様。周囲には超高級マンションが建ち並んでいるいます。

坂の上にはドイツ大使館、まっすぐ進めばフランス大使館、すぐ近くにはナショナル麻布スーパーマーケット。そんな場所柄もあって行き交う人も国際的。

こんな場所に江戸時代からの古い稲荷神社と貴重な天井画があるのも何となく不思議です。

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拝殿天井の墨龍図

この広尾稲荷神社の拝殿には7枚つなぎの天井板があり、そこに墨で大きくて立派な龍が描かれています。題名は「墨龍図」。

▲鳥居を入って右手突き当りの建物が「拝殿」。

江戸時代、1845年(弘化2年)に火事で焼失しましたが1847年には再建され、それ以来関東大震災や戦災にも耐え今に残っています。

天井画は1847年に再建されたときに描かれたものです。

▲その辺りの経緯は拝殿の脇に立つこの案内板に詳しいです。

高橋由一筆の墨龍図

案内板に書かれているとおり、この龍の天井画を描いた藍川という日本画家は、後年「鮭」や「花魁」の絵で有名になる洋画家の高橋由一(たかはし・ゆいち)画伯(1828-1894)の若いころに号していた名前です。

高橋由一は日本で最初の洋画家と言われた人物としても有名ですね。

「鮭」と題されたこの新巻鮭の絵は切手にもなっていますし、美術の教科書などで見たことがある人も多いでしょう。

日本のリアリズム絵画黎明期の傑作でもあり高橋由一の代表作でもありますね。

これ以外にも「花魁」という有名な作品も知られていますし、多くの肖像画や風景画も残しています。

でも広尾稲荷神社の天井画が描かれたのはまだ江戸時代。高橋由一もまだ20歳の日本画家でした。

つまりその後は誰もが知る洋画家となる高橋由一の駆け出し、修行時代の作品なのです。

 

見学可能な天井画

拝殿の天井画なので、参拝して外から眺めただけでは全貌がちょっとわかりません。

▲ですが、ここ広尾稲荷神社では社務所に許可を取れば、中に入って見学することが可能なのです。

早速社務所に声をかけてみました。すると「どうぞ、どうぞ」と中から出てきたご婦人に許可をいただきました。

撮影も可能だということで早速、拝殿の中へ。なお拝殿は土足厳禁なので靴を脱いで入りましょう。

なお社務所が開いているのはお正月以外は朝9時から夕方5時までです。参拝だけならいつでも可能ですが、天井画を鑑賞するには社務所が開いている時間に訪問する必要があります。

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拝殿天井画「墨龍図」

拝殿の中に入るとその全貌がとてもよくわかります。眼力の強い真っ黒な龍が天井を這い回るかのようにイキイキと描かれています。

▲天井板いったぱいを使って描かれた龍。

くねくねと身をよじるダイナミックな構図です。

▲顔の部分のアップ。

眼力がすごいですね。

そして迷いなく大胆に描かれた龍の絵はなんとなく有名な鮭の絵のタッチに通じる気がします。

▲拝殿の中の様子です。

天井いっぱいを使って描かれているのがわかると思います。

藍川という銘の意味

作品には「藍川藤原考経俳画」と署名がしてあります。

これは高橋由一が、狩野派を学んでいた頃に使用していた名前です。

▲高橋由一が仕えていた堀田摂津守の下屋敷(現在の広尾タワーズ)が当時稲荷神社と隣接していたため、弘化4年(1847年)に社殿を再建する際にまだ20歳だった青年画家高橋由一に依頼があって天井画を描いています。

その当時はまだ狩野派などの日本画を学んでいた時期だったということですね。「鮭」のイメージが強いので高橋由一というと明治期の作家という印象が強いのですが、実は江戸時代から日本画家として活動していたのだということが分かります。

その後、高橋由一は石版画いわゆるリトグラフに出会い衝撃を受けて、洋画の道へと進みます。本格的に洋画の勉強を始めたのは1866年ですから、この龍の絵を描いてから19年後、中年になってからの転身です。

洋画家に転身してからの作品は今も多く残っていますが、それ以前の作品はあまり一般的には知られておらず、そんあ意味でもこの作品は洋画家高橋由一が洋画家となる前の貴重な作品ということになりますね。

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広尾稲荷神社の拝殿の中

天井画見学が目的とはいえ、拝殿の中に入ることは普段はなかなかありません。

▲拝殿の中から鳥居方面を見た様子です。神様目線の写真ともいえます。

拝殿の中は畳敷きで、お祭りで使用するのか太鼓などが置かれていました。

▲御神体である鏡が祀られている神殿の手前まで入ることができます。

神社の冊子

帰りに見学終了の連絡とともにお礼をかねて社務所に声をかけたところ、広尾神社についての冊子をいただくことができました。

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広尾稲荷神社の場所とアクセス

日比谷線広尾駅の1番出口を出たら、有栖川宮記念公園やナショナル麻布スーパーマーケット方面へ歩きます。

▲上の写真のように直進してT字路に突き当たったら、右折します。

▲右折して右側が広尾タワーズ、左にラトゥール南麻布という高級マンションに挟まれた道直進すると左側に広尾稲荷神社があります。

また徒歩か自転車なら、明治通りからニュー山王ホテルとフランス大使館前の間の道に入り(クルマは有栖川宮公園側から一方通行)有栖川宮公園の方に歩いていけば右側にあります。

▲鳥居の正面に神殿はなく、鳥居を入って右折すると拝殿とその奥に神殿があります。反対に社務所は左側の建物です。

なお、天井画を鑑賞できるのは社務所が開いている時間帯だけですので注意してください。

▲外苑西通りを挟んで広尾側、広尾の商店街の裏手に「広尾弁天閣」という白い鳥居が目印の小さな神社があります。こちらを”広尾神社” と勘違いしてないよう、別の神社ですので間違ってこちらに行かないよう要注意です。

高橋由一のお墓

広尾稲荷神社の天井画「墨龍図」を描いた高橋由一は明治27年(1894年)に66才で生涯を閉じます。

そのお墓はこの広尾弁天閣にほど近い祥雲寺内の禅寺光林院に祖父母と母と妻とともに眠っています。

廣尾稲荷神社 基本情報

名称 廣尾稲荷神社 (広尾稲荷神社)
住所 港区南麻布 4-5-61
最寄駅 広尾駅
例祭日 9月15日(に近い土曜・日曜)
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