港区立 大門際公衆便所
港区には31ヶ所の公衆トイレがあるのですが、そのうちの一つ「大門際公衆便所(だいもんぎわ こうしゅうべんじょ)」。ここは1932年(昭和7年)、つまり90年以上前に開設された日本でもかなり古い公衆トイレです。
それ以来何度か改修されているようですが半地下という大まかな外観は開設以来変更されていません。戦前は半地下形式の公衆トイレは普通だったようですが、今はもうほとんど残っていません。というか、知る限り都内ではここ1ヶ所だけという貴重な公衆トイレです。
▲増上寺の大門の際に設置されているので「大門際公衆トイレ」。
知っている人は便利に利用させてもらっていると思いますが、増上寺や東京タワーを目指してくる観光客や参拝客の人にしてみれば、なにやら寺院のような不思議な建物だと思われているんでしょうね。大きな看板がある訳でもありませんし。
港区の公衆トイレのあり方
渋谷区と日本財団が展開している、日本を代表する建築家やデザイナーが参画し誰もが快適に利用できる公共トイレを目指す「THE TOKYO TOILET」プロジェクトに刺激されてか、港区でも「港区ならではの清潔できれいな公衆便所のあり方」を策定し、港区立の31ヶ所のトイレをリニューアルしていくようです。
もしリニューアルされると、半地下でノンバリアフリーで男女兼用という大門際公衆トイレの特徴は今の時代にまったくそぐわないので、全部改良されてしまうかもしれません。
昭和初期、戦前の公衆トイレの様式を色濃く残す大門際公衆トイレを利用できる時間は残り少ないかもしれません。
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大門際公衆トイレの外観
ではその大門際公衆トイレの外観はどのようなものかというと、まずは写真を見てもらうのが一番。
トイレの設備自体は地下にあるのですが、建屋は地上です。
場所は芝大門の交差点、増上寺の大門がある交差点のファミマの前です。
浜松町や大門の駅から東京タワーや増上寺や箱根駅伝の応援などで大門を通る人たちは、一度はこの瓦屋根を目にしていると思います。
▲ファミマの前から階段下を覗き込むとトイレのマークもあるし、トイレのドアのようなものも見えるし、やっとははぁ~ここはトイレだなと分かります。
建屋も中の便器なども当然これまで何度も改修されているのだと思いますが、半地下式という構造や瓦屋根という基本フォーマットは変わっていないと思います。ちなみに直近で改修工事が行われたのは1988年(昭和63年)、もう30年以上経っているのでトイレとしてはいろいろ今の時代に合わない部分もあります。
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大門際公衆トイレの内部
内部は男子用便器が2器と個室が1つ。
▲階段を降りると左側に小便器が2つ、奥には洋式が備わる個室があります。
個室のドアは外から丸見えなので女性が利用するのはかなり勇気がいるんじゃないでしょうか。特に夜間に利用するのは勇気以前に危険だと思うので避けた方が良いでしょう。
半地下、瓦屋根の基本フォーマットを踏襲しながら、その時代にあった改修をしてきたのでしょう。
でも大きな梁が残されていたりと不思議な空間なので、いろいろ苦労をしてきたのだろうなぁと思います。
大門際公衆トイレのスペック
この公衆トイレの概要をまとめてみるとこうなります。
・男女兼用。入り口はもちろん、洋式(大)トイレも男女兼用です。
・ノンバリアフリー。入り口は階段。スロープも昇降機もありません。
・案内表示はありません。また視覚障害者向けの案内もありません。
ないないづくしですけど、基本形態ができたのが90年前、最後の改修も30年以上の前の昭和の時代ですからしょうがないですね。
レトロというより昭和の遺物と言われてもしょうがないスペックです。でも観光や初詣の際、ここに公衆トイレがあることを知っているかどうかで大きく変わることもありますからね。
増上寺の大門の際に、古いけれど今でも利用できる公衆トイレがあることは覚えておいて損はないと思います。
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大門際公衆便トイレの場所
大門駅や浜松町から増上寺へ向かい、大門のある「芝大門」交差点の角、ファミマの前の瓦屋根がトイレです。
▲これだけ瓦屋根だけが見えていても、それがトイレだとは絶対気が付きませんよね。
たぶん都内では他でお目にかかれない半地下式公衆トイレです。戦前を感じられるそのトイレ、一度利用してみてはどうでしょう。ただ女性にはおすすめしません。
また数年前に大改修が実施され新しくなった増上寺の大門。クルマが通れる区道がお寺の門をくぐっているのもかなり珍しいと思います。
そんな大門と半地下式公衆トイレの両方を一度に見ることができるのもポイントです。
増上寺へ参拝するなど芝大門を通る時は、この公衆トイレも思い出してあげてください。
大門際公衆便所 基本情報
名称 | 大門際公衆便所 |
住所 | 港区芝公園 1-7-11先 |
最寄駅 | 大門駅、浜松町駅 |
開設 | 1932年 |
利用料 | 無料 |