「旧朝香宮邸を読み解く A to Z」展 − 素顔の邸宅と現代アートが愉しめる展覧会を東京都庭園美術館で(閉幕)

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旧朝香宮邸を読み解く A to Z

1983年に開館した白金台の東京都庭園美術館は2023年が開館40周年。その記念展の第二弾《旧朝香宮邸を読み解く A to Z》展が開催されています。これは例年春に開催される建物公開展の拡大バージョン的な位置付けのようで、あまり見る機会のない素顔の旧朝香宮邸(庭園美術館本館)を見学できる貴重な展覧会です。またゲストアーティストとして二人の現代アーティストを招いて館内や美術館敷地内でインスタレーションが行われていて、建築と現代アートを同時に愉しめる仕掛けになっています。▲会期は2024年2月17日(土)から5月12日(日)まで。春休みからゴールデンウィークまでカバーするので、そうした時期のアート巡りにもピッタリ。またこの会期中には桜の季節になり3月下旬には夜8時までの夜間開館が行われる予定です。なお、この展覧会では庭園美術館の館内、作品とも写真撮影可能となっています(動画は禁止)。ただ会期後半になり混雑するようになると何らかの制限がかかる可能性もあります。展覧会、施設内で撮影を行う際は現地での最新の指示に従いマナーを守って撮影するようお願いします。

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会場の東京都庭園美術館

▲旧朝香宮邸として1933年、アールデコが全盛期を迎えていた時代に建設された貴重な建物で ”現存する世界一美しいアールデコ建築” ことも言われ、建物自体が芸術品とも言えます。▲朝香宮が明治天皇からこの土地を下賜される前は帝国陸軍の火薬庫だったそうです。そして朝香宮家が廃された戦後は外務大臣公邸、迎賓館などとして使われきて、日本の戦前戦後の歴史が刻まれた建物です。旧朝香宮邸を改修したのが本館、現代美術作家の杉本博司を迎えて建設された新館が美術館としての主な展示会場。さらに 西洋庭園と和風庭園を備えているところが 「庭園美術館」たるところです。

A to Zとは?

A to Z、つまり始めから終わりまで全部見せますということです。普段はカーペットに覆われ見えない床も、今回は特別にカーペットを剥がしたり絨毯を移動したりして見せています。これまで見ることのできなかった金庫室の内部もチラ見せしています。つまりお化粧を剥がした素顔の旧朝香宮邸の姿を見ることできるのです。そして展覧会の各セクションには日本語と英語でタイトルが付けられていて、英語の頭文字がAからZまで。つまり26セクションという構成になっています。

 

各セクションではキャプション代わりの解説と図や写真が入った「A TO Zカード」を配布しています。それを集めると「朝香宮邸の見本帳」が作れるのでトライしてみてください

▲なお、「A to Z」とはいえAから順番に並んでいるわけではありません。実際には玄関の「S」からスタートしています。

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A to Z − 本館1階の見どころ

それえは本館1階から見どころを紹介します▲庭園美術館本館の入って最初の「大広間」。そもそもこの部屋だけでも見る価値があるのですが、今回は大広間突き当りにある鏡の前の床が丸見えになっています。いつもはカーペットが敷かれているのですが、この部分だけカーペットが剥がされ「寄木床」の細工を鑑賞することができます。今後当分は見ることができない貴重な展示です。なお寄木床は一度傷つけてしまうとほぼ復元不可能(もはや職人さんがいない)なので、この部分は立入禁止です。▲「大食堂」の庭園側もカーペットが剥がされ寄木床を見ることができます。大広間と違い半円形の形状なので細工はさらに精緻です。いつもはテーブルが置かれ食堂としての空間を再現しているのですが、今回は建物自体を作品として鑑賞するので鑑賞用のベンチ兼テーブルが置かれています

A to Z − 本館2

続いて本館2階へ。▲「X」は謎を意味するXだそうです。この部屋は「書庫」として使われていたそうなのですが、開かずの戸棚があったり、用途不明な装置があったりと今でも謎が残る部屋なのだそうです。他の部屋も寄木床が見えるようになっていたりします。各部屋やエリアで配布しているA TO Zカードを読むとより見どころや着目点が分かると思います。▲普段は非公開のウィンターガーデン(温室)も特別に公開されています。中央にA TO Zカード配布用のデスクが置かれていますが、それ以外は本当に何もなくて素のままのウィンターガーデンを見ることができます。市松模様の人工大理石の床、アールデコなドアノブなどいくら眺めていても飽きません。なおウィンターガーデンは、現地で見学を申し込み、注意事項を了承した人だけが室内を見学することができます。ウィンターガーデンの見学申し込みは本館西側の階段のところに立っている係員さんに口頭で申し込みます。見学にあたっての注意事項は次の通り。・定員は9名
・混雑時の見学は10分以内
・階段の手すり壁から身を乗り出さない
・火災など緊急時は係員の指示に必ず従う
これを了承したら階段を上がってウィンターガーデンへ向かいます。

新館 − 朝香宮家の家づくり

本館でアールデコ様式の素の邸宅を見た後は新館の展示室へ。そこでは「朝香宮家の家づくり」として、どのような背景やコンセプトでこのような邸宅を建てたのか、当時の世界の流行だけでなく日本らしさをどう反映させ、どんなところにこだわったのかを紹介しています▲これは邸宅内の仕切りドア。今は美術館になっているので各部屋の仕切りドアは外されていますが、住居として使用されていた頃は当然各部屋にドアが付いていたのです。美術館へと改修される際に取り外されたドアは大切保存されいて、このように公開されているのです。旧朝香宮邸の背景やこだわりを知る貴重な展示です。スポンサーリンク

二人のゲストアーティスト

今回は二人の現代アート作家がゲストアーティストと招かれインスタレーションを行っています。現代アートの視点で旧朝香宮邸を紐解いてみようという企画です。

須田悦弘

本物と見紛うほど精緻な花や草を木彫でつくり、それらを思いがけない場所にひっそりと展示するのが須田悦弘(すだ・よしひろ)。本館内各所に本当にひっそりと展示されていますから探してみましょう。以下ネタバレです。▲階段下の洗面台には《椿》。水が使われる場所なので水に流れる椿の花をイメージしているかもしれません。▲庭園美術館の代名詞でもある香水等の周囲には《雑草》が2点。時間が流れ訪れる人間もいなくなった遠い未来の旧朝香宮邸が脳裏に浮かぶようなインスタレーションです。▲2階の姫宮居間には《ユリ》。この部屋は床も見えますし大理石のマントルピースも見事ですし、みどころ満載の部屋です。▲第一浴室の浴槽蛇口には《コヒルガオ》。案内には設置場所として「第一浴室」と書かれていますが、実際にはベランダ側の窓から覗き込んだ方がよく見えます。▲金庫室には《葉》が展示されています。これまで開いているのを見た記憶がない金庫室ですが今回はドアが半開きになっています。その隙間から覗き込むと床に置かれた作品が見えます。▲本館正面に向かって右端の丸窓の中に見えるのは《野菊》。なんと、この作品は館内からは見ることができません。建物の外側からしか見ることができないのです。金庫室の《葉》と並んで発見難易度高めの作品です。

伊藤公象

もう一人のゲストアーティスト伊藤公象(いとう・こうしょう)は。土を素材にした作品で知られますが ”陶芸” の枠を超えたアーティストです。▲本館の北の間に展示されているのは展示作品の一つ《「土の襞」− 白い光景 − 》。これはたぶん見逃すはずがない作品です。▲本館と新館をつなぐ通路前には《「ブルーパール」− 蒼いそらへ空から − 》。▲そして日本庭園のせせらぎ全体を使ったインスタレーションが《シリーズ「多軟面体」− 庭園の森の風景 − 》。最上流から池の中まで展開されている大規模なものです

撮影と注意事項

撮影について

通常ですと東京都庭園美術館は原則として本館内の撮影は禁止です。しかし今回の「A to Z」展では写真撮影が可能です。ただし動画撮影は禁止ですそれ以外の撮影に関する注意事項は

フラッシュ、レフ板、三脚、自撮り棒、望遠レンズは使用しない
動画の撮影は禁止
作品や建物に危険が及ぶ行為は禁止
作品の上、階段などから身を乗り出しての撮影禁止

です。常識的なことばかりですね。

注意事項

・撮影以外の鑑賞自体に対する注意事項は

作品、建築、家具、スクリーン等には手を触れない
混雑時の不意の接触にも注意する
要するに荷物はロッカーに入れましょう
傘・日傘の館内への持ち込みはできません
飲料、食料品は展示室内へ持ち込みできません

です。これも常識的なことばかりですね。スポンサーリンク

フェルミエ白金台

2024年最初の庭園美術館訪問でびっくりしたのがチーズ専門店「フェルミエ」の白金台店が庭園美術館の敷地内にオープンしていたことです。▲あの愛宕の「フェルミエ」です。本店同様、カフェとしても利用できます。▲もちろん品揃えや店舗の広さは本店には及びませんが、ここでコーヒーやサンドイッチなどをイートインすることもできます。イートインスペースはいつも「ランドスケープをつくる」を開催しているチケット売り場裏の建物です。コーヒーを飲んだりしながら眼の前の「ランドスケープをつくる」展を見ることができて、ある意味で贅沢なストアです。営業日、営業時間は庭園美術館と同じです。愛宕山の本店は虎ノ門ヒルズ駅が開業して行きやすくはなりましたが、この白金台店の方が利用しやすい人も多いでしょう。

夜間開館

庭園美術館では不定期ですが夜間開館を実施しています。

A to Z開催中の夜間開館は3月22日(金)と23日(土)、それと3月29日(金)と30日(土)です。この夜間開館の日は通常18時の閉館が20時まで延長されます。

日付を見てピンとくるかもしれませんが、うまくすると桜の見頃と重なります。2024年は暖冬で桜の開花がどうなるのか読めない部分はありますが、例年通りだと夜桜満開になるはずです。

Welcome Youth 2024

東京都庭園美術館は都立の美術館なので「Welcome Youth(ウェルカムユース) 2024」の対象施設です。

これは高校生以下(18歳以下)の若い方にも気軽に文化、芸術に親しんでもらおうというプログラムで、庭園美術館の他に恵比寿の東京都写真美術館、清澄白河の東京都現代美術館、上野の東京都美術館などが対象施設です。

18歳以下(2005年4月2日以降生まれ)の方なら2024年3月1日(金)から4月7日(日)までの期間中、対象施設の対象展覧会に無料で入場することができます。

都民でなくても、都内の学校でなくても、18歳以下なら無料ですから対象の方は春休みにぜひ庭園美術館や写真美術館などで素晴らしいアートや建築に触れてみてください。

フラットデー

開館40周年記念とは関係ありませんが、庭園美術館では 「フラットデー」という、誰もがフラット、安心して楽しめる環境づくりに取り組んでいます。

この春のフラットデーは以下の予定で開催です。

ゆったり鑑賞日

人が多い美術館に不安がある方、車椅子の方や介助が必要な方でもゆとりある環境でゆっくり鑑賞できる日です。

開催日は2024年3月13日(水)。どちらも10時から18時です。チケットは通常通りの日時予約制です。

ベビーアワー

赤ちゃんも一緒に美術館へ。普段はベビーカーを使えない本館もベビーカーで入館できるのが「ベビーアワー」です。

開催日は2024年3月27日(水)。3月1日(金)から受付開始です。

40周年記念もですしフラットデーもそうですし、館長が妹島和世氏になってから意欲的な企画が目白押しという感じの庭園美術館です。

庭園美術館の場所とアクセス

庭園美術館は広い敷地を誇りますが一般向けの入り口は正門しかありません。白金台の目黒通り沿いです。

地下鉄の白金台駅、JRや東急線が通る目黒駅が最寄駅ですが徒歩の場合は白金台駅の方が近いですし、庭園美術館の行き帰りに白金台の街を楽しめるのおすすめです。

もし目黒駅からなら都営バスの黒77/橋86/品93いずれかの系統に乗り2つ目の白金台五丁目バス停で降りると近いです。逆に言うとこの系統のバスが使えるなら電車よりバスの方が良いかもしれません。

駐車場もありますが1回1,500円の有料駐車場になります(レストランだけを利用する方は有料でも駐車場を利用することはできません)。

旧朝香宮邸を読み解く A to Z 基本情報

名称 旧朝香宮邸を読み解く A to Z
会場 東京都庭園美術館
会期 2024年2月17日(土) 〜 5月12日(日)
時間 10:00 − 18:00
3/22, 3/23, 3/29, 3/30は20:00まで開館
入館料 一般 1,400円、大学生 1,120円、中高生・65歳以上 700円
予約 日時予約推奨
撮影 写真撮影可能、動画撮影禁止

東京都庭園美術館 基本情報

名称 東京都庭園美術館
住所 港区白金台 5-21-9
最寄駅 白金台駅、目黒駅
休館日 月曜日
時間 10:00 − 18:00 (土日祝は17:30まで)
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